No. 62 謎の忠告
「んじゃ、行ってきます」
「••••••行ってらっしゃいのちゅーは」
「要らん」
「••••••あなたには聞いてない。残念な天使は、黙ってて」
「君のほうこそ黙るがいい。役立たずな王女様?」
「お前ら少しは仲良くしろよ••••••」
玄関先で争い始める、はた迷惑な天使と王女を見て、ため息が出てくる。
午前のハードなスケジュールをこなし、王城に向かおうとした矢先にこれである。
「あはは、まあ、頑張ってね。怪我しないように気をつけてね」
「今日行くとは限らないんだけど••••••まあ、気をつけるさ」
苦笑いしているスピカ。
今日は、他の資格持ちとの顔合わせだから、いきなりダンジョンに行けとか言われるわけじゃ••••••無いよな?
無いと信じたい。
「アインスも気をつけてね」
「はい、足を、引っ張らない、ように、頑張り、ます」
少し不安そうにしながらも、やる気を見せるアインス。
アインスのステータスは、王城に行ってからステータスカードを渡されるので、今のところ不明だ。
ただ、リオンが大丈夫だと言っていたので、戦闘系のスキルは有るのだろう。
「じゃ、改めて行ってきます」
「行ってきまーす」
「行って、来ます」
「待て、秋矢。流石に苦しいから猫掴みはーー」
もう面倒くさいので、リオンの首根っこを掴んで連れて行く。
リオンが軽くて助かったよ。
しかし、オレの腕力でも持てる程度の体重って、どれくらいだろうか?
「女性の体重については気にするな」
それは済まなかったな。
とりあえず、心の中で謝っておいた。
「ご機嫌よう」
「••••••どうも」
城に入ってすぐ、何を考えているかわからない笑みを浮かべるラドゥンに遭遇した。
面倒なことにならないように、一緒にいる三人には黙ってもらっている。
「すみません、急いでいるので」
「ああ、王に呼ばれているのですね。これは失礼しました」
わざとらしい仕草で、そう言ってくる。
一々、こちらを煽っているとしか思えないくらいわざとらしい。
「呼び止めてしまって申し訳ない」
「••••••いえ。では、オレ••••••私達はこの辺で失礼します」
「ええ、また会いましょう」
オレ達は、ラドゥンの横を通り向ける。
その途中に、奴は小声でこう言った。
「何をするにしても••••••手遅れになる前に行動することをお勧めしますよ」
「ーーッ」
オレは、得体の知れない何かを感じてラドゥンの顔を見る。
「どうかしましたか?」
「••••••いえ、何も」
そう言って、オレは振り返らずに王様の部屋に向かう。
そんなオレの手は、何故か冷や汗で濡れていたのだった。




