No. 60 血は争えない
『モテモテね』
頭の中に、アダマスの声が響いた。
「••••••起きてたのか」
右手の紋章に話し掛ける。
客観的に見たらアレだが、今は気にしない。
神器は、紋章の中に収納出来る。
そう言って、アダマスはオレの右手に入って寝たわけだが••••••いつの間にか起きていたようだ。
『ついさっきね。あんたがティアと話し始めた時かしら』
「あっそ」
正直、どうでもいい。
『どうでもいいとは酷いわね』
頭の中にため息が響く。
人の頭の中でため息つくなよ。
『別にいいでしょ。細かいことは気にしないことよ。それより、何処に向かっているのかしら?』
「愛しの妹のところへ」
『••••••うわぁ』
引いたような声のアダマスは、無視することにした。
「あ、お兄ちゃん!見て見て、似合うでしょ!」
メイド服を来た真冬が嬉しそうに笑っている。
なんだかんだで、真冬もフォルティシモ家でメイドをすることになったのだが••••••凄まじく心配である。
家事スキルゼロどころか、マイナスラインに達していそうな真冬である。
ドジっ子のアインスよりも心配だ。
「ねぇねぇ、お兄ちゃん?似合う?」
とりあえず感想を求めてくる真冬に言うだけ言っておこう。
「似合うし、可愛いけど••••••お前が着るとコスプレに見える」
中身がメイドには程遠いから。
「お兄ちゃんは一言多いよ••••••」
ふぅ、とため息をつく真冬。
オイ、そんな残念なものを見るような目を向けるな。
「残念なお兄ちゃん••••••」
「思ってはいいけど、口には出すなよ!」
オレは残念じゃないぞ!
『いえ、あんた結構残念だと思うわよ』
アダマスまで!?
『文字通り、残念な(ギリギリ)イケメンね』
「(ギリギリ)ってなんだ!?余計なものを付けるな!?」
失敬な!
自称イケメンだとか言うつもりは無いが、そこはお世辞でも残念なイケメンで止めておけよ!
いや、”残念な”は要らんけど!
『えー、だって、あんた、イケメンというほどカッコイイわけじゃないでしょ?でも、普通よりはいい。••••••イケメン一歩手前?ちょっと物足りないけど、これよりいいのは少ないような容姿じゃない』
色々と失礼だなこいつ!?
『大体、あんたが女顔なのが悪いのよ。カッコイイというより可愛い系の顔立ちじゃない。女装して街にでも行けば男どもに喜ばれるかもね』
や め ろ !
女顔については、気にしてるんだよ!
てか、母親からの遺伝だよ!
未だに街で、星水”姉妹”と間違われる男の気持ちが貴様にわかるか!?
『全然』
即答すんなや!
「まあまあ、落ち着いてね、お兄ちゃん。大丈夫、お兄ちゃんはカッコイイよ••••••偶に」
「今、小声で偶にって言ったよな?言ったよな!?」
お前も一言多いわ!
人のことは言えないだろ••••••。
『••••••血は争えないわね』
「何だって?」
『何でも無いわ』
そうか••••••。
まあ、聞こえてますけどね!
兄妹だから仕方ないのだよ。




