No. 53 夜はマッサージで決まりです
「オスカ・アルファ・ギシリヤって••••••初代様だよね?」
スピカが首を傾げる。
それにアダマスが頷く。
「そうよ」
「へぇー、凄い人が契約者だったんだね」
「••••••凄いことは凄かったけど、アレは人間としては残念な部類に入るわよ」
アダマスも中々に辛辣である。
「あのダンジョンを創ったのも奴か?」
「そうよ。ちなみに、あんた達が落ちた時の仕掛けは、資格がある者が近くに来ると足元にスイッチが出てくる仕掛けになっていたわ」
「性格悪ッ!?」
なんだ、その最低の仕掛けは!?
「誰かが引っ掛かった時のことを考えて、気持ち悪い笑顔になっていたわ。私、思わず殴っちゃったわよ」
うん、それで正解だったと思うよ。
「そ、そうなんだ••••••」
生粋のギシリア人であるスピカは、引きつった笑みを浮かべている。
まあ、自国の建国王がアレな性格だと知ったらそんな反応にもなるか。
心中、お察しします。
「しかし、そんな奴が残した本って••••••」
不安にしかならない。
開けた瞬間に爆発とかしないだろうな。
「それは無いんじゃないかしら?」
意外にも、アダマスはハッキリと否定する。
「ほう、その根拠は?」
「その本を渡した時 だ け は真面目な顔をしていたから」
だけ、を強調するアダマス。
他は真面目じゃなかったんだな。
「うーん、リオンに見てもらえば何かわかるかな?」
「リオンに?」
「ああ、あいつの図書館なら、こいつも保管されているかもしれないし」
いや、むしろ高確率で保管されているだろう。
本であれば、なんでも保管されるらしいからな。
まあ、それは帰ってからにしよう。
リオンは今ここにはいないのだから。
「私ならここにいるが」
「••••••え?」
突如横から聞こえてきた声に、思わずそちらを二度見する。
そこには少し疲れた様子のリオンが立っていた。
「おま、いつの間に!」
「今だ。君たちが地上に戻ってきてから急いで来たところだ」
ふぅ、とリオンが息を吐く。
「何かあったのか?」
「ん?ああ、はた迷惑な英雄が大量発生させたワイバーンを駆除していたのだ」
「••••••そういえば、ワイバーンがいたね」
今思い出した様子のスピカ。
いや、まあ、オレも忘れてたけどさ。
てか、英雄って何のことだ?
オレ達がダンジョンにいる間に何かあったのか?
「特に強いわけでは無かったが、数が多くてな。時間が掛かってしまった」
••••••ワイバーンが特に強くないんじゃなくて、お前が強いだけじゃないのか?
「まあ、そうだろうな」
否定しないだと!?
天使様は違うな。
「しかし、体力はあくまで人間な私は疲れたぞ」
リオンは肩を揉みほぐしている。
「帰ったらマッサージをしてくれると嬉しいが••••••」
「むしろ、オレがして欲しいくらいだ」
「そうみたいだな」
オレの姿を見て、リオンが頷く。
「では、私がマッサージしてやろう。その後に君が私にしてくれ」
「うーん••••••まあ、そういうことなら」
今日の夜はマッサージタイムだな。
••••••回復系の魔導書使えばいいだろうとは、言ってはいけないのだろう。




