No. 43 やる気は大事です
「ハァ!」
真冬が、華奢な身体に不釣り合いな大きさの両刃斧を振るう。
それに当たったミノタウロスが、壁にぶっ飛んだ。
「やった!」
現在、真冬がパーティに加わってダンジョンを攻略中。
ちなみに、真冬が今使っている両刃斧は、倒したミノタウロスから拝借させて貰った。
クソ重い斧なので、オレは持てない。
真冬が持てているのは、強化召喚でステータスがアップしているからなんだろうけど••••••男として、兄として、妹より腕力が無いってどうなんだろうね。
てか、真冬のおかげでオレ、何もやってねぇ。
そんでもって、真冬はリオンと同じような立場なので、真冬が魔物を倒すたびにオレにも経験値が入ってくる。
あ、今の戦闘でレベル上がった。
「やったよ、お兄ちゃん!」
「ああ、そうだな」
満面の笑みの真冬だが、ミノタウロスをぶっ飛ばした後でその顔は逆に怖い。
「返り血がついてるぞ」
オレは、ハンカチで血を拭いてやる。
「ありがと、お兄ちゃん」
「いや、気にするな。今のオレには他に出来ることが無いからな」
はぁ、とため息をつく。
オレ、完全なお荷物状態だな。
「そんなこと無いよ。お兄ちゃんは役に立ってるよ」
真冬がまるでオレの心を読んだように答える。
「お兄ちゃんはわかりやすいから」
読むな、心を。
リオンと同じようなことしやがって!
「てか、慰めは要らん」
余計に悲しくなってくるからな。
「慰めじゃなくて、本心だよ」
「ほう、じゃあ、何の役に立っているんだ?」
「お兄ちゃんがいるだけでわたしのテンションがマックスになるよ」
「••••••それって、役に立っているのか?」
「お兄ちゃん。やる気っていうのはね、人間にとって最も大切なものの一つなんだよ。お兄ちゃんだって前に、『テストだりぃー。やる気起きねぇ。帰ってテレビでも見ていたい』とか言って、本当にテレビ見てノー勉だった結果赤点ギリギリだったじゃん」
「あー、あったね、そんなことも」
まあ、それでも赤点では無かったんだがな、フッ。
「心の中で格好つけないの」
「頼むから心を読まないでくれないか?」
読んでも口に出すなよ。
「うん、心の中にとどめておくよ」
言ったそばから読むなよ!
嫌がらせか!
「まあ、それはともかくなんだけど」
おい、話逸らすな。
「やる気もあるけど、お兄ちゃんが近くにいると、何故かチカラが増してる気がするんだよね」
「••••••どういうことだよ?」
「んー、上手く言えないんだけど、ステータスが上昇してるのかな?」
「オレに召喚された時点でステータスは上昇するけど」
「いや、それとは別枠っぽいんだよね••••••なんだろ?」
知らんがな。
オレが近くにいるとステータスがアップするようなスキルでも持ってるのか?
「BURAAAAAAaaaaaaaaaa!!」
「おっと、牛とエンカウントしたぞ」
いや、まあ、このダンジョンで遭遇するのは基本牛のみなんだけどね。
あ、集団で来たな。
「じゃ、軽く倒してくるよ」
妹様は、両刃斧を手にミノタウロスに突撃する。
真冬がミノタウロスを全滅させるのは、割とすぐのことだった。
・おまけ
武器は拾った(by. 真冬)
秋矢「••••••死ぬかと思った」
お兄ちゃんが汗を拭いながらつぶやく。
ステータスがアップしてると言っても、素手でミノタウロスを倒せるわけないと、お兄ちゃんから下がれと言われたが、正直、お兄ちゃんが心配で見てられない。
そこでふと、思った。
ミノタウロスが使っていた両刃斧を使えないか、と。
真冬「よっと」
ちょっとフラついたが、なんとか持てる。
秋矢「おま、よく持てるな••••••」
真冬「お兄ちゃん」
秋矢「何だ?」
真冬「素手じゃないから戦ってもいいよね?」
その後、お兄ちゃんとしばらく口論したが、わたしが勝った。
そして(by. 秋矢)
口でも負けたァァァァァ!!




