No. 42 帰ったら筋トレです
視点が秋矢に戻ります。
「••••••落ち着いたか?」
「••••••うん」
恥ずかしそうに下を向きながら、真冬が頷く。
召喚してしばらくの間、お互いに呆然としていたのだが、オレだと認識した真冬が、オレに抱きついてきて、思いっきり泣いた。
どんな風に泣いたかは、真冬の名誉のために省略されてもらう。
ちなみに、空気を読んだのか、真冬との感動の再会の間は魔物が寄って来なかった。
「うわ、どんだけ涙出てたんだよ••••••オレの学ランが」
思いっきり濡れてます。
特に胸元がビショビショです。
まあ、仕方ない。
「お兄ちゃん、普通、妹との感動の再会を果たしてすぐにそういうこと言う?」
だいぶ落ち着いた真冬がオレに不満気な顔を向ける。
••••••まだ、目は赤くなっているが。
「悪いな。生憎、オレは空気が読めないんだ」
「お兄ちゃんの場合は空気が読めないんじゃなくて、読んだ上で無視してるだけだよね」
「そうともいうな。流石真冬。よくわかってらっしゃる」
久し振りの妹との愛のある会話に勤しむ。
うーん、しかし。
「お前、ちょっと痩せたか?元々細いんだからこれ以上痩せるのはマズイんじゃないのか?」
「••••••お兄ちゃん。わたしが相手だからいいけど、他の女の人の身体をジロジロ見たり、体型の話はしちゃダメだからね。セクハラだよ」
真冬のジト目が痛い。
以後気をつけます。
「それで、ここはどこなの?」
「あー、それはな」
オレは、真冬にこの世界でのことを話した。
「ーーまあ、こんなところか」
真冬にこの世界のことと、これまでの出来事、今の状況を説明する。
王女様に求婚されたぜ!って、ところで真冬が殺人的な目をしたのは怖かった。
オレ、刺されないよな?
ちなみに、似たようなことをしているリオンには、特に反応してなかった。
いや、正確には何か考えこんでいたけど。
リオンのこと、何か知っているのか?
見た目はソックリだし。
「異世界、か。妹を放って何をしてるんだか」
呆れたようにため息をつく真冬。
別に自分の意思で来たわけじゃないからな?
「まあ、もう少し細かい詳しい話はここを出てからにしてくれ」
こんなダンジョンに、いつまでも居たくないからな。
真冬と話している間に、魔力も少しばかりは回復したし、先に進みたい。
「まあ、確かにこんなところじゃ落ち着けないよね」
真冬も頷く。
「今のわたしは、お兄ちゃんより強いんだよね?」
「ああ、ステータスカードが無いから正確なところはわからんが、ステータス面では間違い無くオレより上だ」
妹よりステータスが圧倒的に劣る兄••••••。
目から汗が出そうだよ。
「それならわたしが前に出るよ。全力で守るからね、お兄ちゃん」
「ああ、よろしく頼む」
妹から全力で守られる兄••••••。
オレは心の中で誓った。
帰ったら、頑張って鍛えよう、と••••••。
・おまけ
牢屋3(by. ティア)
ティア「••••••スピカ」
スピカ「何?」
ティア「••••••元気だね」
どれくらい時間が経ったかはわからないが、そろそろここにいるのも飽きてきた。
ボーとしているのは嫌いじゃないが、ここは殺風景過ぎる。
あと、お腹空いた。
ティア「••••••シュウヤまだかな」
とりあえず、来たら文句を言おう。
いつ来るかはわからないけどね。
そして(by. 秋矢)
なんか、誰かがオレの話をしてる気がする••••••。
誰だろう?




