No. 39 元凶
今回はリオンの視点です。
「まったく、これで何体目だ」
私に向かって、突進してくるワイバーンを呆れながら焼き払う。
今日の基本的な仕事が終わったので、探知のスキルを使って秋矢を追ってきたのだが••••••。
突然、探知の反応が切れたかと思えば、秋矢がいると思わしき山にはワイバーンの大群が徘徊していた。
そして、さっきから性懲りも無くワイバーンが襲って来てイラっとしている。
「私は君たちのような雑魚に構っている暇は無いのだがね」
魔導書を向け、前方のワイバーン共を薙ぎ払う。
「私はよほど竜種と因縁が深いらしいな」
竜種は、比較的珍しいはずだが、私は何故かやたらと遭遇することが多い。
それは、秋矢にも言えることではあるが。
「••••••ふむ」
しかし、今回に限っては何か理由があるだろう。
幾ら何でも、こんなにたくさんのワイバーンがいきなり湧いてくることは無いはずだ。
何らかの異常事態でも起こったか••••••もしくは誰かが人為的に引き起こしているか、だ。
「••••••」
改めてワイバーン共を見る。
ワイバーンは下級の竜種である。
そして、竜は他の竜種の気配に敏感だ。
この辺り周辺に竜種がいなかったのは、竜王であるバーンがいたから、であるはずだ。
ならば、このタイミングでワイバーンが現れたなら、何かがあったのだろう。
「••••••」
探知と看破のスキルをフルで使う。
やはり、秋矢や同行者二人の気配は掴めないが、やたらとワイバーンが群れてる場所を見つけた。
ワイバーンがいる中心には、謎の気配がある。
「こいつか••••••」
元凶かはわからないが、無関係では無いだろう。
今の状況がわからない以上、こいつと話をするのが一番手っ取り早いだろう。
「警戒はしておくか」
竜殺しのチカラを持った魔導書をあらかじめ手元に持っておく。
そして、襲いくるワイバーンを蹴散らしながら進んだ。
「••••••お?」
ワイバーンの群れの中心から、驚いたような男の声がした。
声に焦りがまったく無いことから、ワイバーンが襲ってこないのは当然だというように聞こえた。
つまり、この上なく怪しい。
「誰だ?」
余計なことは口にせずに、簡潔に詰問する。
しかし、男は答えず、こんなことを口にした。
「お前、機能持ちか」
警戒心を強める。
機能持ちであることは簡単に見破ることは出来る。
片方の目が金色に輝いているならば、機能持ちである可能性が高いので、その言葉そのものは別段驚くことではない。
相手がこんな場所にいなければ。
機能のことを知っているような奴が普通の人間な訳が無い。
そんな奴がこの山に一体何のようがあるというのか。
先ほどの倍以上怪しく感じた。
「何者だ?」
「あん?ああ、知りたいか?」
こいつはさっきからマトモに会話する気があるのか?
質問したなら知りたいのだとわかれ。
「いいぜ、教えてやる」
偉そうに言われ、思わず結構です、と言いたくなるのをぐっと堪える。
「まずは、顔を見せるのが礼儀ってもんか?」
今更だな。
そんな私の考えが伝わるはずはないが、とりあえず男の言葉に、ワイバーンが道を開けた。
そして、ワイバーンがいた中心のところには一人の男がいたのだが、私はその男を見て、警戒心を更に強めた。
その男は、片目が金色に輝いていた。
「俺はジークフリート。かつてファフナーを殺し、”猛毒の黄金”の機能を奪い取った男だよ」
・おまけ
妹の召喚(by. 真冬)
兄が行方不明になってから、もうすぐ一ヶ月になる。
真冬「ただいま」
誰もいない家に、虚しく響く。
真冬「••••••お兄ちゃん」
今、何処にいるのか。
お兄ちゃんのことだから割と何処にいても楽しくやっていそうではあるが、連絡の一つも無いのはおかしい。
否定はしているが、お兄ちゃんは間違い無くシスコンである。
そんな兄が妹を放ったらかしにするはずがない。
何かがあったはずだ。
改めてそう思う。
『ーーー』
真冬「••••••え?」
ふと、声がしたような気がして上を見ると、薄っすらと何かがあった。
何だろうと思って、それに触れた瞬間、目の前が光に包まれた。
そして(by. リオン)
次回に続く。
次回も私の視点だ。




