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No. 38 ダンジョンにて

「••••••行ったか?」



小部屋から、通路を確認し、敵が去ったことを見届ける。

成り行きでダンジョン攻略をすることになってしまったのだが、正直かなり状況は悪い。

まず、魔物の強さ。

このダンジョンの魔物は、基本的に牛と人間の中間ーー迷宮(ダンジョン)だけにミノタウロスみたいな魔物が多い。

こいつらは基本的に動きが遅いので、攻撃はしやすいのだが、耐久性に優れているようで、並の攻撃が効かない。

今のところ、武器が強いものであるほどすぐに消えてしまうので、長く使おうとしたら、武器のランクを落とさなくてはならない。

しかし、そうなると中々倒せないので、強い武器を使うことになるが、そうすると距離を詰めないといけないので、相手の無駄に広い攻撃範囲に入ってしまうのだ。

器用度補正のおかげでなんとかなっているが、流石に限界がある。

次、というかこれが一番重要なのだが、魔力。

残りの魔力がほとんど無いので、スローイングオウルにやった、武器のぶっぱが出来ない。

そんなことしたら、魔力が速攻で無くなって今の状況的にすぐに死ねると断言できる。

てか、残りが300ちょっとしか無い。

武装召喚三発でガス欠になる。



「BURAAAAAAaaaaaaaaaa!!」



「チッ、見つかったか!」



先に進もうと小部屋から出て、すぐ。

曲がり角からミノタウロスが現れた。

早く仕留めないと、仲間を呼ばれる。

よくわからんが、こいつらは同族の雄叫びに寄ってくるようだからな。



「『異界の以下略!来い!』」



ミノタウロスの頭上に、ギロチンを召喚し、真っ二つにする。



「BURAAAAAAaaaaaaaaaa!?」



断末魔の悲鳴を上げ、血を撒き散らしながら、ミノタウロスは絶命した。



「すぐに離れないと••••••」



残り魔力200。

あと、二発か。

まったく、こういう時は魔力回復用のポーションとかあるだろ。

このダンジョン、ダンジョンのくせしてそういうアイテムが落ちてないどころか宝箱一つ無いんだぜ?

詐欺じゃねぇか!

ダンジョンの風上にもおけない!

••••••うん、オレはいったい何を言ってんだろうね。

疲れてんだろうな。

と、思ったところで都合良く小部屋を見つけたので入る。

ちなみに、このダンジョンの小部屋は隠れるだけのものである。



「••••••ふぅ」



壁にもたれ掛かって息を吐く。

少し休憩しよう。

それと、対策を考えないと。

ひとまず、冷静に今の状況を見返してみよう。

まず、今手元にある武器は、一応呼び出しておいたダガー。

もしも召喚術が使えなくなったときのために事前に呼んでおいたのだが、どうやら正しい判断だったらしい。

次だが、防具は当然の如く無いに等しい。

てか、ただの学ランだし。

紙装甲、一撃でも攻撃が当たったらアウトと考えるべきだ。

そうなると、やっぱり迂闊に近づくことは出来ない。

最後に魔力はさっきも言ったが残り200。

武装召喚は残り二回しか使えない。

強化召喚ならあと四回使えるが••••••一か八かでこっちに賭けるか?



「••••••」



頭の中で、どっちにするか真剣に考える。

強化召喚は、召喚対象者が友好的とは限らない。

任意の召喚なので、召喚そのものに不満は無いだろうが、相手がどんな理由で召喚に応じるかはわからない。

相手が悪意全開で、呼び出した瞬間に襲ってくるような奴なら、オレはその時点でゲームオーバーだ。

なにせ、強化召喚の影響で、オレよりステータスが高いのは確定なのだから。



「••••••」



しかし、武装召喚はあと二回しか使えない。

現在、ダンジョンの何割を進んだかは、わからないが、今のペースからすると、この先も魔物はバンバン出て来るだろう。

少しはステータスが上がったとはいえ、まだまだ雑魚同然のオレは、魔物と正面からのタイマンなんて出来るわけがない。

すると、二回以降の戦闘でオレは詰む。



「••••••はぁ」



まったく、日本にいた時には考えられないな。

日本といえば、真冬は大丈夫かな。

あいつ、割とオレに依存してたからな。

家事とかまったく出来なかったし、偏った食事とかしてないといいんだが••••••。

って。



「これ以上は死亡フラグが立ちそうだな」



頭を振って、切り替える。

今のオレに選べる道なんて、一つしか無いよな。



「『次元の扉よ今開け!我がもとに集いてチカラを貸せ!』」



痛いセリフを高らかと叫ぶ。

小部屋の中心に魔法陣が出現する。

さて、何が出るか。

オレは緊張で少し汗ばんだ手を握る。

魔法陣は、何度か光り、中心に誰かが現れる。



「ーーえ?」



オレは、その人物を見て、呆然としてしまった。

どんなリアクションを取ればいいのか、まったくわからなくなった。



「ーーお兄ちゃん?」



そこにいたのは。

オレと同じように呆然とした妹の姿だった。












・おまけ

牢屋2(by. スピカ)



スピカ「ハァ!」



わたしは、杖を鉄格子に叩きつける。



ティア「••••••効果無いみたいだね」



ティアの言葉通り、鉄格子には傷一つついてなかった。



スピカ「どうしようか?」



ティア「••••••どうも出来ない。助けが来るまで待つしか無い」



ティアが諦めたようにため息をついた。



そして(by. リオン)



秋矢はお取り込み中のようだ。

というわけで、次回は私の視点で楽しむといい。



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