No. 33 ギルドへ
「ふあ••••••眠い••••••」
オレは欠伸を噛み殺し、襲ってきた睡魔を退治する。
「••••••寝不足?」
「ダメだよ、ちゃんと寝ないと」
ティアとスピカは少し心配そうにオレの顔を覗き込む。
昨夜、テトさんに不名誉なアダ名をつけられたりしたが、その後にすぐ寝たので寝不足というわけでは無い。
ただ。
「ちょっと変な夢を見てな。やたらとリアルな夢だったから寝た気になってないんだろ」
最初、夢だと思わなかったくらいだからな。
なんか懐かしかったような気もするが••••••。
でも、まったく覚えが無い。
何でそんな夢を見たのかは不明だが、多分、自覚してないだけで疲れてたのだろう。
「••••••」
「ん?どうしたリオン?」
リオンが無言でオレの顔をジッと見ていたので、問いかけた。
「いや••••••何でもないさ。あえて言うなら、トラブルに巻き込まれないようにな」
何かちょっと変だな。
体調が悪いのだろうか?
「リオン、気分が悪いならマシュさんに言ってみたらどうだ」
「別に気分は悪くないさ。少し、考えごとをしていただけだ」
それならいいけど••••••。
今日のリオンは仕事が終わりしだいオレ達と合流する予定だが、無理はしないで欲しい。
「そろそろ行こっか」
スピカの言葉にオレとティアは頷き、腰を上げる。
「それじゃ、行ってくる」
「行ってらっしゃいのチューはいるか?」
「いりません」
迷わず即答するオレ。
若干残念そうなリオンに見送られてオレ達は家を出た。
「••••••着いた」
そう言ってティアは、目の前の建物の扉を押す。
「••••••開かない」
「逆だからな」
押すんじゃなくて、引くんだよ。
そんなオレの指摘にティアが目を逸らす。
「••••••忘れてた」
ティアは少し頬を赤らめて扉を引く。
建物ーーギルドの中に入って感想を一つ。
「騒がしいところだな」
意外にもギルドの中は綺麗だったのだが、とにかくうるさい。
てか、昼間っから酒飲んでる人多すぎィ!
「まあ、騒がしいところもギルドの特徴だから」
嫌な特徴だなオイ。
「まずはシュウヤの冒険者登録をしちゃおうか」
そう言ってスタスタと歩いて行くスピカについて行く。
ちなみにオレはギルドに入ってから、男に殺意に満ちた目を向けられている。
うん、嫉妬ですね、わかります。
ティアもスピカも美少女だからな、オレも客観的に見たら同じ目を向けるかもしれない。
まさかオレがこんな目を向けられる日が来ようとは••••••と、一瞬思ったが、日本にいた時も美少女な妹絡みで同じような目を向けられてたな。
「本日はどうかなされましたか、スピカさん」
オレが思い出に浸っていた間に、受付についていた。
目の前には美人な受付嬢••••••テンプレだな。
「今日はこの人の冒険者登録に来たの。ウチの新しい執事ね」
サラッとスピカがオレの紹介をする。
執事だと普通に暴露してるわけだが、そうなるとスピカが貴族だということはギルドも知っているのか。
「あら、スピカさんの彼氏さんじゃないんですか?」
「な、かかかか彼氏って••••••!?」
初心なスピカが真っ赤になった。
からかわれてるな。
受付嬢の口がちょっとニヤついている。
「ふふっ、冗談ですよ」
「••••••その冗談は面白くない」
今まで黙っていたティアが若干不機嫌そうに言う。
「••••••シュウヤはボクの婚約者」
ティアの爆弾発言に受付嬢が微笑む。
「またまた、ご冗談を」
冗談だと思っているらしい。
まあ、本当のことでは無いんだけど。
婚約してないし。
そんなことを考え、遠くを見ていると受付嬢が不思議そうに尋ねてきた。
「あれ••••••冗談ですよね?」
「えっと、どう答えるべきか••••••」
「••••••本当のこと」
オレが返答に困っていたら、ティアが一言。
受付嬢はそれを聞いて、首を傾げた後、爆発した。
「え、えええええええええェェェェェェェェ!?!?!?」
凄い驚き様だった。
・夢
ダレカノキオク(by. ???)
???「つまらない••••••」
私はため息をつく。
目の前にはたくさんの問題集があるが、どれもこれも歯ごたえが無かった。
私は天才らしい。
お母さんやお父さん、近所の大人や同じ歳の子からもそう言われる。
私はまだ5歳になったばかりだが、友達は一人もいない。
私の話は理解出来ないからだそうだ。
私としても彼等のやっていることに意味を見出せないので人のことは言えないが。
???「ねぇ」
???「ん?」
唐突に声をかけられ振り返る。
そこには一人の男の子がいた。
今日、ウチに遊びに来た親戚の女性の息子で私とは同い年らしい。
男のくせに女みたいな顔をしているのが特徴だ。
???「遊ぼうよ」
???「なんで私がそんなことを。あ、いや、言わなくていい」
お母さんだな。
お母さんは私に友達がいないことを気にしてたからな。
まあ、ちょうど暇になったし、話くらいはするか。
???「君の名前は?」
???「人に名前を聞くときは自分から名乗れってお母さんが言ってたよ?」
???「それは悪かったな。私の名前はーー」
これが、私達の始まりだった。




