No. 29 楽しそう?
「今度からはシュウヤも部屋に鍵をかけるとかして注意してよ?ティアもこんなことしちゃダメなんだからね!」
スピカが顔を真っ赤に染めながら怒る。
オレ達の様子を見に来たスピカは、オレのベッドで寝ていたティアを見て見事に誤解した。
なんとか勘違いだと理解してもらえたはいいが、今は絶賛説教タイムである。
「ああ、全くだ!秋矢の布団に潜り込んでいいのは私だけの特権だ!」
「リオンもダメだからね!絶対、絶対にダメなんだから!」
「それは振りか?『やるなよ?絶対やるなよ?』ってことだな。つまり、やってもいい」
「わけあるか!」
お前らは芸人じゃねぇだろうが!
自重しろ!
「••••••でもスピカ。夫婦なら普通のことだと思う」
「二人はまだ結婚してないでしょ!」
「そもそも、君に秋矢は絶対にやらんぞ!」
なんだか面倒くさくなってきたな••••••。
うん、放っておこう。
たとえ自分に関わりがあることでも、女の争いに巻き込まれるとろくなことにならないし。
「あらあら、大変ね」
アストレアさんが姦しい三人を見ながらやってきた。
「青春してるわね、シュウヤちゃん」
「青春••••••なんですかね?」
まあ、意味的に青春してるんだけど、オレはもっとこう、平和的な青春が欲しいところなんだけど。
「奥様、コーヒーです」
「あら、ありがとうマシュちゃん」
マシュさんがアストレアさんにコーヒーを差し出す。
おお、ブラックで飲んでる。
「苦くないんですか?」
「苦いわよ。でも、朝は目が覚めてちょうどいいくらいかしら」
なるほど。
それでも、まだオレにはブラックは早いかもな。
コーヒーには砂糖とミルクがまだ必要なお年頃です。
「シュウヤ様はコーヒーは?」
「砂糖とミルク入りで」
「かしこまりました。••••••それより、モテモテですね、羨ましい限りですよシュウヤ様」
コーヒーを注ぎながら、からかうような目を向けるマシュさん。
「マシュさんもですか••••••」
「わたくしも、と言うと?」
その質問には無言で返すが、マシュさんは理解したようだ。
「そもそもマシュさんが羨ましいって••••••羨ましいんですか?」
「ええ、わたくしも長らく独り身ですから••••••」
マシュさんから放たれる負のオーラ。
見た目は若いけど、この人も色々苦労しているのだろう。
そっとしておこう。
「ふふ、楽しいわね」
楽、しい?
「スピカちゃんもティアちゃんもリオンちゃんも、みんな楽しそう」
どうやらマジで言ってるらしい。
いや、まあ、楽しそうといえば楽しそうだけどね。
天然なのか大物なのか。
この人の場合はどっちもか。
「あなた達が来てくれてよかったわ。スピカちゃんにも新しい友達が増えたし、あのティアちゃんが恋をするなんてね。そのおかげか少し変わったしね」
いきなり求婚されたんだが、恋の過程をすっ飛ばしてないかとオレは思うんだ。
「ティアって、前、オレと会う前はどんな感じだったんですか?」
つまりは、つい昨日以前のことだけどな!
「そうねぇ、ボーとしてて自分の興味があることにしかやる気を出さない娘かしら」
変わってないじゃないか。
オレの考えたことが分かったのか、アストレアさんが首を横に振る。
「変わってないと思う?でもね、以前のティアちゃんならリオンちゃんの言葉に反応したりしなかったわよ。だから、だいぶ変わったと思うわよ」
ティアを見て、優しげに笑う。
おそらく、スピカとティアは幼馴染だろうし、ティアのことは小さい時から知っているのだろう。
ティアを見る目は、スピカを見る時と同じような目をしていた。
・おまけ
純情少女(by. スピカ)
シュウヤがティアと一緒にベッドに入っているのを見てしまった。
ベッド。
男女が。
一緒に。
入る。
••••••。
スピカ「う、うなあああああァァァァァァァ!!ええええええっちぃことはダメなんだから!ダメなんだからぁ!?」
秋矢「落ち着けスピカ!」
ティア「••••••うぅ、うるさい」
リオン「君はいい加減離れろ!」
そして(by. 秋矢)
スピカはえっちぃことが苦手なようです。
いや、やってないけどね!




