No. 20 前夜
「••••••えっと、もう一度お願いします」
オレは自分の耳を数回叩く。
••••••どうやら、ゴミが詰まっていたわけでは無いようだ。
おそらく、耳に異常があるわけでもないだろう。
「明日、僕達と王城に行こうか」
••••••空耳でも無いらしい。
いや、何でいきなりそんなことを言い出したんですかマイクさん。
現在、オレはマイクさんの相談に乗っているところだった。
何でオレに相談するかって?
知らん。
まあ、そんな場面だったわけだが、唐突にマイクさんから王城に行こうと言われたのだ。
正直意味はまったくわからないが、とりあえず理由を聞こうじゃないか。
「何でですか?」
オレの質問にマイクさんは実ににこやかに笑いながらこう言った。
「実は王様に君の話をしたら会いたいって言ってね」
「お断りします」
そんなお偉いさんどころか国のトップになんて会えるか!
なんかやらかしたら死刑とかになりそうじゃん!
だからオレは拒否する!
「第一、オレの話をしたのはいいとして、王様はオレの何処に興味を持ったんですか?」
「その理由は二つある」
マイクさんは、真面目な顔をする。
「一つ目は君が異世界から来たことだ」
「それを話したんですか••••••」
別に内緒なわけじゃないが、面倒くさいことになりそうだから基本は隠しておきたかったんだけど。
「すまない。悪いとは思ったけど、王様なら何か君の力になれるかも••••••と思ったんだ」
何故に?
「こう言ってはなんですけど、王様だってただの人なわけですし••••••」
というか、オレの力になるって、オレが今必要なのは、リオンに関わる記憶を思い出すことと召喚術を使いこなせるようになることなんだけど••••••。
なんて考えていたら、マイクさんがオレの言いたいことはわかっているというように一つ頷き、こう言った。
「君の言いたいことはわかっている。その上で、これは二つ目の理由にも繋がるんだけど、君の持つ強化召喚について、この国の王家が一番詳しく知っているからだ」
••••••え?
「どういうことですかね?」
「さて、一応口止めされてるからね。僕のほうからはなんとも」
マイクさんが肩をすくめる。
••••••これは、また。
「この国の王様って、いい性格してますね」
「まぁ、否定は出来ないね」
つまりは、オレが拒否する可能性があったから口止めしておいたのだろう。
「わかりましたよ、明日ですね」
顔も見た事が無い王様が、計画通りと笑ったような気がしたが、おそらく気のせいだろう。
と、ここでちょっと気になることを思い出した。
「そういえば、僕達って言ってましたけど、達って他に誰のことですか?」
「あぁ、スピカだよ」
スピカ?
「何か用でもあるんですか?」
リオンと一緒に魔物狩りしてたお嬢様が意味も無く王城に行くとは思えない。
「何でも君に合わせたい人がいるらしいよ?」
何か面白がってないか、この人。
隠そうとしてるんだろうが、見るからに面白がっている。
「まぁ、明日になればわかることだよ」
「意味深な感じで言わないで欲しいんですけど••••••」
ちょっと不安になりながら、明日のオレがやらかさないことを祈った。
・ミストフォレスト
通称・霧の森(まんまじゃん、とか言わない)。魔物の出現率は高いが、強い魔物は一種しかいない。一見すると、迷いそうだが、道に沿っていけば迷うことはまずない。




