No. 19 楽しいトーク
「オイ、リオン」
オレがこの家に来てから一週間が経った。
最初はちょっと大変なこともあったが、少しは慣れてきた。
ちなみにリオンは制限通りに一日で家事をマスターした。
異常に優秀過ぎてオレのやることが無くなりかけたくらいだ。
しかしだ。
「うむ、何かあったのか?」
キョトンとしているリオン。
こいつは••••••。
「単刀直入に言うが••••••」
「ああ、どうした」
「お前、魔物を狩りまくっているだろ?」
ため息をつきながらオレは言う。
「何の話だ?」
「トボけんな!」
オレはステータスカードを見せつけて続ける。
「なら、何でこんなにレベルが上がってんだよ!」
そう、オレのレベルはこの一週間の内にかなり上昇していたのだ。
••••••相変わらず魔力以外は貧弱なステータスだが。
「執事の仕事をこなしていたからじゃないか?」
「ンなわけあるか!」
家事でレベルアップするわけが••••••無いよな?
無いはずだ。
「まあ、確かに上がらないが」
リオンは肩をすくめる。
「確かに君の言うとおり、仕事が終わった後に緑とクエストに励んでいた」
スピカよ、お前もか。
今更ながら仮にもお嬢様なんだから自重しろよ。
「運が良いのか悪いのかは不明だが、やたらと魔物に遭遇することも多くてな。狩りまくっていたらかなりレベルが上がってしまった」
レベルが上がったのは別にいいんだけど、オレにも一言くらい言って欲しかったよ。
「なんだ、寂しかったのか?」
「いや、違うけど」
ハッキリ言ってやる。
「そこは寂しかったと言ってくれよ••••••」
残念そうなリオン。
しかし、今度は不機嫌そうな顔で反撃してきた。
「だがな、そう言う君も私に内緒で召喚術を使っているじゃないか」
ギクリとした。
詳細不明の能力とはいえ、いざという時使えるようにコソコソとスキルレベルを上げるために使っていたのだ。
まあ、呼び出したのは小動物だけだが。
とりあえずトボけてみよう。
「••••••何の話だ?」
「ある意味で、君のことは君以上に私の方がわかっていてな。私に内緒で召喚術を使うとは••••••この浮気者が!」
「人聞き悪いこと言うなよ!?」
何で召喚術を使っただけで浮気扱いなんだよ!?
The・理不尽!
「君には私がいれば十分だろう!」
「いや、何言ってんのお前!」
「他の女を呼び出すとは私に喧嘩を売っているのか!」
「いや、他の女って小動物だぞ!」
具体的にはハムスターとかモルモットとか••••••何でネズミ系のばっかり召喚してんだろ?
「何故、君はメスばかり呼び出すのだということだ!」
「知らねぇよ!」
初めて知ったわ!
あいつらメスだったの?
「しかもやたらと君に懐いているし••••••」
「いや、何度も言うが、相手は小動物だからな?」
理不尽というか、こいつ頭大丈夫か?
「私が怒っているのは、君があの獣畜生共に構って私をないがしろにしていることだ!」
「••••••え?」
呼び出した対象は帰還させることは出来るのだが、相手の同意を得ないといけない。
そして、オレが呼び出したやつらはほとんど帰ってくれないので、マイクさんに許可を取って飼うことにしたのだが••••••。
「••••••ないがしろにしてるつもりは無いんだけど」
つまりこいつは構ってちゃんだったのかよ。
ハッキリ言おう。
めんどくさい性格してるな••••••。
「自覚はしてるさ」
拗ねたようにつぶやくリオン。
やれやれ、だな。
「何かして欲しいことはあるか?」
よく考えてみたら、オレとリオンは仲がいいらしいからな。
オレにはよくわからないが、仲のいい知り合いから忘れられるっていうのもキツイのかも知れない。
リクエストがあれば可能な限りは聞いてやろう。
「では結婚してくれ」
「お断りします」
「冗談だ」
リオンが楽しそうに笑う。
うん、こいつはこういう顔の方がずっといい。
「惚れたか?」
「いや、まったく」
それからリオンと楽しいトークを続けた。
そして今度一緒に買い物(デートでは無い)に行くことになった。
時間があるか分からないが、リオンが嬉しそうだったし、ちゃんと時間を取ることにしよう。
・リヴァディ草原
秋矢が寝ていた草原。かなり広く、特別強い魔物も存在しない。魔物では無い野生の動物はたくさん生息している。




