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197/199

No. 197 薬

「ところで薬は出来たのか?」



考えてもわからないことは潔く放棄して次の話題を口にする。

というより、元々の目的に戻る。

オレの記憶を取り戻したことなんてオマケだオマケ。

今回重要なのはスピカだけだ。



「安心するといいよ。とっくに完成しているから。ちなみに完成品はご本人の目の前です」



その言葉に従ってスピカの方を見ると、スピカの前にヤ○ルトのような容器に入った深緑の液体があった。

……。



「……それが薬なのか?」



「うん。飲みやすいように液体にしたんだよ」



飲みやすい?

見た目がグロくて逆に飲みにくいんじゃないか?

あ、スピカの顔が青ざめている。

オレの方を見て口をパクパクさせるスピカ。

えっと、これは口パクで何かを伝えようとしているのか?

何々……『タスケテ』?



「……」



どうやら助けを求めているらしいが、オレにはどうすることも出来ん。

オレは無言で首を振る。

良薬は口に苦し。

これはスピカのためだ。

オレは心を鬼にする。

スピカは絶望した!



「ちなみに、薬が切れたらまた取りに来ないといけないのか?」



「当然じゃないか」



「ですよねー」



いや、わかっていたけどね。

またここに来ないといけないのかと思うと……。



「まあ、流石に迷路に最初から挑めというのは可哀想だから、ここまで直通で来れるようにはしよう」



「そうじゃなけりゃ、来る気失せるわ」



それでもなんだかんだ言って来そうだけどな。



「ああ、一応君にも教えておくが、薬は夜、寝る前に服用すること。彼女だけでは忘れてしまう可能性もあるから、君にも伝えておくよ」



「夜寝る前にこれを飲むって……」



どんな拷問だ。

明らかに寝苦しくなるだけじゃん。

可哀想に。



「嫌なら飲まなければいい。ただし、夜は君が相手をしなければならなくなるがね。まあ、一回やったなら変わらないさ。貴族の純潔を奪ったのなら、どのみち結婚するのだろう?なら、特に問題があるわけでもないと思いよ」



「……だ、そうだが、どうだスピカ?」



「ええっと、問題はあると思うよ?そりゃ、わたしが原因ではあるけど、シュウヤに責任を取ってもらうのは多分確定ではあるけど……」



「……まあ、オレはスピカの意思を尊重するから」



会話を終わらせてコーヒーを飲み干す。

そして、無言でおかわりを要求したところで、眠っていた二人が身じろぎした。

どうやら、そろそろ目を覚ますらしい。













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