No. 16 見なかったことにしましょう
「どれだけ家事が出来ますか?」
翌朝。
着替えてマシュさんの下に集まった、オレとリオンとアインス。
そんなオレ達を見て、マシュさんがそう尋ねてきた。
「家事は••••••まあ、それなりには、ですかね」
親は昔からいないのが普通だったし、妹の真冬が出来ない人だったから必然的にオレが頑張って覚えた。
それなりに自信もある。
「出来ん!」
リオン、凄まじいドヤ顔である。
何で胸張ってんだこいつ。
「だが、安心しろ。一日でマスターしてやる」
一日で家事をマスターするのか••••••。
こいつなら案外簡単に出来そうで怖い。
「その、やった、こと、ありません」
アインスの場合は仕方ないと思う。
「つまり、経験者はシュウヤ様だけですね。わかりました」
マシュさんが頷く。
「では、明日からそのつもりで指示を出します」
「明日から?」
今日からでは無く?
「今日はこの家の見取りを把握してもらいますから」
ああ、そういうことか。
納得した。
「最初はキッチンにでも行きましょうか」
そう言ってマシュさんが歩き出す。
オレ達もその後に続いた。
「ユグニ・チューンだ」
イケメンがぺこりと一礼する。
「彼はこの家の料理人をしています」
マシュさんがそう補足する。
いや、まあキッチンにいるわけだし、コックの格好してるんだから料理人だろうけどさ。
「ちなみにこの家にはシュウヤ様も含めて三人しか男性の使用人がいませんので、何かあったら彼に相談するといいですよ」
へえ、オレ含めて三人ねぇ。
「ところでこの家って男女合わせて何人くらいなんですか?」
「あなた方も合わせてちょうど九人です」
つまり今まで六人でこのデカイ家の家事をしてたのかよ。
ヤバイな、もしやこれは使用人のエキスパートの集まりなのでは?
「はは、まあ、人数が少ない分、料理人としては大量に作らなくていいから楽だったけどよ」
ケラケラとユグニさんが笑う。
「軽い男だな」
素直な感想ありがとうリオン。
オレは何と無く右を見た。
するとそこにはいつの間にかメイドさんがいた(マシュさんでは無い)。
「オワッ!?」
「キャン!?」
オレは反射的に飛び退いた。
そんなオレの挙動を見て、アインスがビックリしていた。
「ユグニちんよ、そんな態度じゃまーたマシューちゃんに怒られるぜ?」
「それはお前のことだよ。見ろ、新入りくんがビックリしてるだろ」
ユグニさんが窘めるように謎のメイドさんに声をかける。
メイドさんは、悪い悪いと言いたげに手を振りながらオレ達に話しかけてきた。
「ハッハー自己紹介が遅れたな!アタシはこの元・ヤンキーの成り損ないのぱっと見イケメンの顔だけ男と一緒に料理人をしてるテト・コラードだ!ヨロシクな!」
••••••なかなか愉快な職場のようだ。
残りの人もこんなじゃないように期待しよう。
「とりあえずは、アダ名からだな!」
いきなり何の話だ!?
「よし、お前はシューヤ。お前はリオッチャンで、お前はアインシュだな!」
(((いきなり、謎のアダ名を付けられた!?)))
シューヤって適当過ぎだろ!?
リオッチャンって何だ!?
アインシュって噛んだだけじゃね!?
「このお花畑女は人にアダ名をつけんのが生き甲斐みたいなもんだからな。諦めてくれ」
ユグニさんが苦笑している。
チラッとマシュさんを見ると••••••。
「さて、次です」
なんというスルースキル。
何事も無かったかのように立ち去ろうとしている。
「ククク、チャレンジャーよ、この先も頑張るのだな!」
••••••いつからオレ達はチャレンジャーになったのだろうか?
なんか、リオンもアインスも何も見てませんよ、みたいになってるし••••••。
••••••うん、見なかったことにしよう。
オレ達はユグニさんとテトさんと別れて、次に向かった。
・管理者
管理者にも色々あるが、今回は無限図書館の管理者の説明。無限図書館の管理者は、人間の中から選ばれるが、管理者になった時点でより高位の存在になるので、実質的に管理者は人外。管理者の特権として、図書館の内部の本を自分の好きなように魔導書にすることと、世界から特定の本を破棄することができる。




