No. 14 記憶喪失少女
「そういえばお父さん。記憶喪失の女の子を保護したんだっけ?」
スピカがマイクさんに尋ねる。
「誰から••••••って、マシュ君か。サプライズ的に紹介しようと思っていたんだけどなぁ」
「申し訳ありませんでした旦那様。わたくしは空気が読めないメイドでして」
と、まったく申し訳なさそうじゃないマシュさん。
「まあ、いつも通りのマシュ君だね。そこまで気にしてはいないから大丈夫だよ」
「流石旦那様。心がお広いですね」
「そうかい?いや、そんなに褒めないでくれよ」
褒めてませんよ、旦那様。
ああ、女性陣が生暖かい目で見ているよ。
本人が気づいてないのは果たしていいことなのか••••••。
「それじゃ、マシュ君。呼んできてくれないかい?」
「嫌です」
拒 否。
それでいいのかメイドさん••••••。
「••••••わかった。自分で呼びに行くよ」
••••••可哀想に。
哀愁漂う背中を見せ、マイクさんは自らの足で呼びに行った。
それから、少しして。
残ったオレ達が雑談に興じていると、マイクさんが一人の少女を連れて戻って来た。
「待たせたね」
「いえ、旦那様は待っていませんでしたが」
「ふふっ、ダメよ。そんなことばかり言ってちゃマイクちゃんが拗ねちゃうわよ」
辛辣なメイドを奥様がやんわりと戒める。
戒めているかは微妙だが。
「そんなことよりお父さん!その娘を紹介してよ!」
そんなこと扱いか。
さりげなく、無自覚にダメ押しするとは••••••。
スピカ、恐ろしい娘!
「ふむ、それもそうだね。ほら、挨拶しなさい」
マイクさんがそう言って少女を前に出す。
少女は、メイド服姿に薄紫色の髪と目が特徴的だった。
歳はオレより少し下くらいだろうか?
「えっと、は、初めまして。アインス、です。よろしく、お願い、します」
カタコトの、単語ごとに区切ったような話し方だ。
話慣れて無いような印象がある。
「ご存知、彼女は記憶が無いのでね。みんなでサポートしてやってくれ。特に、シュウヤ君とリオン君は同期の同僚になるのだからね」
ああ、そういうことになるのか。
てか、一応オレも記憶喪失設定なんだけど••••••。
そう思ったら、マイクさんがコッソリとウインクしてきた。
相手がイケメンだからか腹が立つぜ!
「シュウヤ君は制服を合わせるから、この後僕と一緒に来てくれるかい?」
これは••••••何かあるな。
ウインクが意味ありげだったし。
「秋矢、絶対に背中を見せるなよ。掘られるぞ」
うん、多分そういうことじゃない。
「大丈夫だよリオン君。僕はアストレア一筋だからね」
「ホモ疑惑は否定しないのか?」
オレはリオンを小突く。
「借りにも雇い主になる人にそんなこと言うなよ」
「ふむ、確かに。非礼を詫びよう」
「気にして無いから大丈夫だよ」
いい人やな••••••。
正直、少しくらい怒ってもいいのではないかと思う。
「それにしても」
狂犬が矛先を替えた。
「ヒィ!?」
哀れなターゲットになったのは記憶喪失少女のアインスちゃん。
つか、こいつ、攻撃的過ぎるだろ。
「何故、君もそんなにそこだけ発育がいいのだ••••••もう、勝てているのは緑だけ」
また胸か。
こいつ気にしすぎじゃないのか?
「男にはわからんよ••••••」
そう言われると納得せざる負えないな。
「あらあら、貴女達はまだ若いからこれからよ」
アストレアさんが加わる。
このままここにいると気まずくなりそうなので、マイクさんに言って制服を合わせてもらうことにした。
「それじゃ、オレ達はこの辺で」
「スピカちゃんも少しずつ成長しているわ」
「何!?クッ、緑には負けるわけにはいかん!」
「リオン、わたしの扱い酷くない!?」
「え、えっと、仲良く、しましょう、?」
••••••うん、サッサと出て行こうか。
・魔力抵抗
魔力に対する抵抗力が上がる。具体的には呪いなどが効きにくくなる。反面、付加なども効きにくくなる。




