No. 121 空白のスキル
「そういえば、その青ことティアのことなんだけどさ」
ひとしきり笑った後、夏夢にティアのことを聞いてみる。
ティアのあの変な様子について、夏夢にも話してはいた。
それを夏夢はどう考えているか。
「なんか心当たりとかあるか?」
「ふむ。私は現場を見てないからなんとも言えないがな。二重人格とかではないのか?」
「いや、それは違うように思うんだ。あくまで勘だけど」
何か、ティアとは根本的に『違う』ように感じたのだ。
あれはティアじゃない。
「勘、か。確証は無いのか?」
「無い。本当に漠然とそう感じてるだけだよ」
夏夢は顎の下に手を当てて考え出す。
「そもそも、彼女は少々不可解なところがあるからな」
「え、何処が?」
「君は彼女のステータスカードを見たことはあるか?」
「いや••••••そういや無いな」
事前に召喚士だとは知っていたし、武装召喚を使えることも知っていたから改めて確認することは無かった。
ティアも見せようとはしてこなかったし。
「ステータス自体は普通だ。特別高いわけでもないし、低いわけでもない。が、スキルがおかしい」
「おかしい?」
「ああ、彼女のスキルは一部空白になっている。アインスのようにスキルの影響で見えなくなっているわけではなく、スキルがあったことは間違い無いのに空白になっているのだ」
「えっと••••••つまり、どういうことだ?」
よくわからなかった。
オレはもっと詳しい説明を頼む。
「考えられるのは二人。ただのバグか、何らかの理由で元々あったスキルが消滅したかだ」
「そんなことあるのか?」
バグは別にいい。
そういうこともあるかもしれないと無理矢理納得できる。
だが、スキルが消滅することなんてあるのか?
「無い、とは言い切れない。基本的に無いはずだが、私たちの常識が必ず真実ではないのだ」
「夏夢の図書館にそういった情報は無いのか?」
「一応調べたが無かった」
夏夢は首を横に振って答えた。
「ティアに看破のスキルを使うとか?」
「それもやった。結果、特に何もわからなかった」
そうなると手詰まりだな。
夏夢でダメなら他の人は無理だろうから。
と思っていたら、夏夢が再び口を開いた。
「ただ••••••」
「ただ?」
「彼女の気配••••••アダマスに近いような気がするのだ」
「アダマスに?」
どういうことだ?
ちなみにアダマスは現在寝ているのか反応が無い。
「精霊に近い気配だと言えばわかるか?」
「ティアが精霊だってことか?」
「いや、間違い無く人間だ。だからこそおかしいのだが••••••」
精霊に近い、か。
あのよくわからないティアは、それに関係しているのだろうか。
現時点ではこれ以上はわからない。




