No. 12 姑息な尺稼ぎを•••(王都到着)
「着いたよ!」
スピカが振り向く。
「ようこそ、王都アイギスへ!」
大きな門の前で手を広げ、満面の笑みを見せるスピカ。
テンション高いな••••••。
「ふむ、まさか王都とはな••••••」
隣のリオンがつぶやく。
まぁ、同感だ。
大きな街だとは思ったが、王都だったとは••••••。
門の中を覗くとチラッと城も見える。
「長かったな••••••」
もう足がパンパンだ。
「本当にな。これも作者の姑息な尺稼ぎの所為だな」
「何の話しだよ••••••」
リオンは、何でもないと首を振る。
「お嬢様!」
しばらく、王都の外壁を見ていると、若いメイド服の女性がスピカに駆け寄ってきた。
何か••••••ちょっと怒ってる?
「あ、マシュ」
「あ、マシュじゃないですよ!あれほど一人でクエストに行かないようにと言っていたのに!」
「でも、お父さんは許可くれたよ?」
「旦那様は頭がアレだからです!問い詰めたらHAHAHAと笑いながら『僕の娘だからしょうがないだろう』と満足そうな顔だったのでお仕置きしておきました!」
さりげなく主人にお仕置きしたとか言ってるぞ。
「ああ、それでいいのだろうか」
リオンもちょっと引いてる。
しかし、あのメイドさん、中々にナイスバディだな。
「••••••秋矢?」
メイドさんのとある部分を見ていると、リオンに殺人的な目で睨まれた。
「クッ、やはり君も男か。あのような駄肉に目を奪われるとは••••••私もあれだけあれば••••••」
一応言っておくが、リオンは別に小さくない。
むしろ、身長の割りにスタイルはかなりいい。
ただ、あのメイドさんが圧倒的なだけなのだ。
「慰めはいい••••••」
リオンから負け犬のような香りが漂う。
とりあえず、頭を撫でてみたら無表情ながら喜んでいた。
なんだか、ますます犬のように見えてきたのだった。
「••••••見苦しいところをお見せしました」
スピカが説教されているのを見物していたオレ達に頭を下げるメイドさん。
しばらくして我に返った彼女はオレ達に名乗る。
「申し遅れました。わたくし、マシュ・ムツールと申します。フォルティシモ家のメイドをしております」
再度頭を下げるマシュさんに、オレ達も名乗る。
ついでに、スピカがこれまでの経緯を説明する。
「シュウヤ様にリオン様ですか」
「あ、様はいらないです」
様付けとか慣れない呼ばれ方されるのはちょっと苦手である。
「申し訳ありません。これはわたくしの癖でして」
「マシュは同僚にも様付けしてるからね」
癖なら仕方ない。
妥協も必要なことだよね。
「しかし、流石親子ですね」
マシュさんが呆れたようにため息をつく。
「どういうこと?」
スピカが首を傾げる。
マシュさんは直ぐに答えた。
「実は先程、旦那様が何処からか記憶喪失の少女を保護して来まして」
「お父さんが?」
「ええ、何やら訳ありの様ですが」
訳あり、のところでチラリとこちらを見るマシュさん。
鋭いと言うか、何処まで察しているのやら。
「只者ではないな」
リオンがこいつ、出来る!と言いたげな目をする。
マシュさんは、リオンのつぶやきを耳にし、意味深な笑みを浮かべる。
「そういう訳で、二人はやっぱり親子だと認識したわけです」
「わたし達は元々親子だよ」
「ええ、存じております」
記憶喪失の少女か。
きっと、オレとは違って完全な記憶喪失なんだろうな。
「まぁ、いい加減門の前で立ち話も何ですから」
「そうだね。それじゃ、二人共わたしの家に案内するよ!」
その言葉で、オレ達はやっと王都に入ったのだった。
・探知
スキルの一つ。人間レーダー。結構便利。
・看破
スキルの一つ。正体不明の怪人や謎の物体Xの正体を暴くのに便利。ただし、リオンは図書館の知識で大体なんとかなるので、あまり役に立たない。




