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119/199

No. 119 思い出した大事なこと

「騒がしいな」



街に出て、リオンがまず発したのはそれだった。

朝食を食べた後、暗殺者が動くのは夜だろうからと、昼の間は自由時間になったので、リオンに鍛えてもらうことにしたのだ。

で、リオン曰く、実戦をした方が強くなるとのことで、街の近くで魔物と戦おうということになった。

そして、どうせならギルドで依頼を受けた方が報酬も出て一石二鳥なので、これからこの街のギルドに向かう途中だ。

ギルドは街中にあるので、当然のことながら街の中を歩いていくことになるのだが、リオンは街のざわめきにうんざりしているようだった。



「慣れないな••••••大体、王都より騒がしいというのはどういうことだ」



「いや、別に首都が一番賑やかだと決まってるわけじゃないだろ。アレだ。国会議事堂の近くとゲームセンターなら、ゲームセンターの方がうるさいだろ?」



「ああ、なるほど••••••それは少し違うんじゃないか?」



「言いたいことはわかるだろ?」



「まあな」



真冬は、ふぅと息を吐く。



「天使になってからはほとんど一人だったからな。管理者としてあの図書館に引きこもってなければならなかったし、天使の知り合いは少なかったしな。大勢の人がいるところを見ること自体が慣れなくてな」



「••••••そうか」



淡々とした、しかし何処か寂しげなリオンに、オレはそう答えるしかなかった。



「••••••なあ、リオン」



「なんだ?」



リオンがチラリとオレの顔を見る。

オレは言ってもいいことか、数秒考えた後、意を決してハッキリと言ってみることにした。



「オレさ、この世界に来てから時々変な夢を見るんだ」



「ふむ、どんな夢を?」



「••••••幼い頃のオレと真冬がさ、真冬に良く似た女の子と友達になって一緒に遊ぶ夢だよ」



「••••••」



「オレは全く覚えてないんだよ。でも、凄く懐かしいんだ」



「••••••」



「あの夢は、実際にあったことなのか?」



「••••••」



リオンはオレの言葉を俯きながら黙って聞いていたが、オレが視線を向けると一言だけ口にした。



「••••••思い出したのか?」



「それは実際にあったことだって認めるってことか?」



「••••••ああ」



「そうか。でも、どうなんだろうな。肝心なところで目が覚めるから、詳しいところまでは思い出せてないんじゃないかな?」



「そうか••••••」



「でも、一つだけ大事なことを思い出せたぞ」



俯いているリオンの顔を無理矢理上げ、その目を覗き込みながらオレは言った。



「久し振りだな••••••”夏夢(なつめ)”」



忘れていた、大切な女の子の名前を。














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