No. 118 眠気と夢
「••••••眠い」
翌日。
王女とか天使とかが部屋に乱入するようなこともなく、実に清々しい朝なのだが、オレは眠気が消えていなかった。
理由••••••なのかは不明だが、今日もやたらとリアルな夢を見た。
なんなんだろうなホント。
間違い無くオレは知らないことのはずなのに、何故かやたらと懐かしい感じがする。
幼い頃のオレと真冬と、真冬に良く似た女の子が出てくる夢。
真冬に良く似た女の子。
••••••もしかして。
「ん?どうかしたか秋矢?」
「いや••••••何でもないぞ」
もしかしたら、あの夢はオレが忘れているリオンとの記憶なのか?
そう考えると納得出来るところもある。
いや、多分その通りだと思うんだけどね。
ただ、肝心なところで覚める夢なんで、確証が持てないんだよな。
んーどうなんだろうな?
こうなりゃ、リオンに直接聞いてみるか?
「おう、どうしたシュウヤ。悩み事か?」
「あ、クレイか。おはよう。お前は元気だな」
こいつは昨日、いや時間的に今日か?
まあ、とにかく夜遅くに帰って来たのだ。
いやー楽しかったな、とか言いながら。
でも、一応仕事はキッチリやってたようなので、怒りたくても怒れない。
オレもずっと仕事してたわけじゃないし。
だが、それが王子なら別の話だ。
お前、次期国王の自覚あるのか?
もう少し王族らしくしろよ••••••と、言うのはもう飽きた。
言ってもどうせクレイもティアも変わらないだろうしな。
そういうものだと思うしかねぇ。
「で、何を悩んでるんだ?俺で良かったら相談に乗ってやってもいいぜ?」
「遠慮しとく」
「即答かよ!?」
「自分でもよくわかってないからな。もう少し状況を理解出来たら相談するかもしれない」
「そうか。んじゃ、その時は遠慮無く相談してくれ」
そうさせて貰おう。
クレイと話しているうちに眠気が消えてきたので、いい気分転換になった。
なんて考えていると、ツバキさんがタオルで汗を拭きながらやって来た。
何故朝からそんなに汗をかいているのだろうか?
「おはようございます。いい朝ですね」
「何故、朝から汗をかいているのだね君は」
リオンが直球で聞いた。
「ああ、すみません汗臭かったですか?軽く水を浴びただけですし、少し匂うかもしれません」
「いや、臭くは無いのだが、何故汗をかいているのかなってことだ」
「そっちですか。それは日課のトレーニングをしていたからですよ」
「へぇ、真面目だな」
「お前が不真面目過ぎるだけじゃないか?少しはツバキさんを見習えよ」
「ふん、無理だな!」
堂々と言うなアホが。
眠気は覚めたが、今度は頭痛がオレを襲ったのだった。
・夢
ダレカノキオク3(by. ???)
???「変な声が聞こえる?」
ある日のこと。
秋矢が頭に手を当て、私に相談してきた。
秋矢「うん、唐突に。真冬に言ってもそんなの聞こえないって言うし、気のせいかなって思ったんだけど」
???「気のせいには思えないと?」
秋矢はコクリと頷く。
???「どんな声が聞こえるんだ?」
秋矢「うーん、なんていうのかな?透き通っている?ような感じって言えばいいのかな?そんな感じの声が、見つけた、とか、機能を、とか言ってくるんだよ」
うーむ。
悪いがサッパリわからない。
秋矢には悪いが、それは疲れて幻聴が聞こえているだけじゃないのか?
???「よくわからないが、しばらく寝るといいんじゃないか?目の下に隈が出来ているし、寝不足なんだろう?私が膝を貸してやるからゆっくり眠るといいぞ」
秋矢「••••••じゃあ、お言葉に甘えて」
私は秋矢に膝枕をする。
秋矢はすぐに安らかな寝息を立てて眠った。
起きたときには変な声なんて聞こえなくなるだろう。
そう思い、秋矢の額を軽く撫でた。
••••••そして、その考えが甘かったことを、私は数時間後に理解し、深い後悔を抱いた。




