No. 116 秘宝の正体
「••••••魔法?」
スピカを背負って屋敷に帰った後。
スピカをベッドに寝かせてから、マイクさんに暗殺者達が言っていたフォルティシモの秘宝とは何か?と、聞いてみたところ。
魔法を習得することが出来るアイテムだと言われた。
「魔法ってなんですか?魔術とは別物なんです?」
「本質的には同じものだよ。ただ、魔術より魔法の方が遥かに強力だ」
マイクさんは真剣な眼差しでそう語る。
「詳しくどんな魔法か、というのは知らないんだけど、魔法というだけでかなり強力な力であることは間違いない。だからこそ、僕たちはそれに触れないようにして来たんだけど••••••」
「何処からか暗殺者の組織にその情報を知られてしまった、と?」
「そういうことになるね」
頷くマイクさん。
「”音速の魔術師”とまで呼ばれた、ノピア・デルタ・フォルティシモが残した魔法だ。その魔法が手に入れられるかもしれないとなれば••••••」
「今回みたいな事態になると」
「うん、そういうことだね••••••」
疲れたように息を吐くマイクさん。
「しかも”黄昏の死団'か。とんでもない組織に情報を知られてしまったよ」
「マイクさんは知ってるんですか?その組織のこと」
一応、酒呑童子から教えてもらった組織の名前をマイクさんに報告したのだが、聞いた瞬間にマイクさんは、うわぁ••••••という表情で頭を抱え始めてしまったので、聞くタイミングを逃していた。
「知っているよ。表舞台に名前が出ることはほとんど無いんだけど、裏側を見てみると、この世界の大規模な事件には大抵この組織が関わっていると考えればいいのかな?」
なんという悪の組織!
オイ酒呑童子!
お前、大したことの無い組織みたいに言っていたが、普通にヤバイ組織じゃねぇか!
詐欺だ詐欺!
••••••と、思ったがあいつは鬼だし、鬼の視点から見たら大したことは無いのかもしれない。
「あいつら、スピカが鍵だって言ってましたけど、どういうことですか?」
「それはアレだよ。血統的な意味の鍵って言えばいいのかな?僕は違うんだけど、スピカは条件に当てはまっているからね」
••••••ああ、なるほど。
つまりはフォルティシモの血縁者の女性じゃないと魔法を手に入れるための宝箱が開かないという意味か。
何故女性かと言えば、マイクさんが違うと言ったから。
そして、オレ達がこの街に来る前から不審者情報があったことから、最初のターゲットはルセフォネさんだったんだろう。
だが、スピカがこの街に来ていることを知り、屋敷内にいるルセフォネさんから、街に出歩いているスピカに変えたんだろう。
そうマイクさんに言うと、マイクさんは感心したようだった。
「ああ、多分そうなんだろう。ルセフォネも条件に当てはまっているから鍵になるだろうね」
「他に条件に当てはまる人は••••••」
「いないよ。この二人だけだ」
ターゲットはスピカとルセフォネさんの二人か。
「明日からは見回りじゃなく、二人の護衛の方がいいかもしれませんね」
「そうだね。二人のそばにいれば、結果的に二人を狙う連中も現れるだろう」
マイクさんは、オレの目をじっと見て。
「娘たちを守ってあげてくれ」
そう言った。
オレはもちろん。
「任せてください」
と、答えたのだった。




