No. 113 渓谷のダンジョン突入
「••••••視界は問題無さそうだな」
ダンジョンに入ってまず、そのことを確認する。
前回の森のダンジョンは、視界が霧で包まれていたので視界が悪かったが、今回はその心配は無さそうだ。
「まあ、視界が悪くても問題無いけどね!」
「真冬、そういう慢心はやめた方がいいぞ」
調子に乗ってそういうことを言うと大抵ロクな目に合わない。
これは今過去未来異世界を問わず、共通のものである。
人間にとってフラグとは、切っても切れないものなのだ。
しかし、真冬はそんなことはお構いなしに一歩前に出る。
「大丈夫大丈夫!そんな芸人みたいなことにはならな••••••あっ」
言ったそばから足を水溜まりに突っ込む真冬。
そして足場が悪かったのか、思いっきり転んで全身が水溜まりに突っ込むことになった。
「••••••」
「••••••」
「だ、大丈夫、ですか、マフユ、さん」
思わず無言になってしまった私と真冬を置いて、アインスが真冬を助け出す。
私はそのまま無言で魔導書を取り出し、真冬の服を乾かす魔術を掛ける。
「••••••わかったか真冬。調子に乗っているとこんなことになるぞ?」
「••••••はい、反省します••••••」
どんよりとした雰囲気を漂わせてる真冬を、アインスがなんとかして宥めようとする。
それを見ながら、私はダンジョン内を見渡す。
索敵出来れば簡単なんだが、残念ながら索敵を傍受する術式が掛かっているようで無理だった。
前回のダンジョンにも同じ術式が掛かっていたが、本当に無駄な技術を使うな。
とにかく、そういうわけで目で確認しないといけなくなったわけだが。
「真冬。ダンジョン内では雷光は使うな。私たちが感電する」
水だらけというわけではないが、水溜まりはかなり多いので、迂闊に使うとこちらに飛び火しそうだ。
アステリオスは仮にも神器。
普通の電気ならある程度は大丈夫だが、神器により発生した雷光は流石にキツイ。
「わかった。わたしも自分の攻撃でダメージを受けるなんて嫌だしね」
頷く真冬。
••••••真冬だからうっかり使いそうな気もするが、まあ、信じよう。
いくらなんでもそんなミスはしないだろう••••••と、思う。
内心で心配しながら、私たちは先を急いだ。




