No. 102 鬼とお話
「ーーぷはぁ!この国の酒は美味いの!日本の酒もいいのじゃが、こういう酒もいいものじゃの!」
ワインのボトルを傾けながら、酒呑童子はにこやかに笑う。
あの後、何処かで飲みに行かないかという脅迫、もとい誘いを受け、バーのような店に来ていた。
スピカの怪我の具合が心配だから帰りたいとも言ったのだが、そしたら魔術とは違う何かの術を使いスピカの怪我を治してくれ、そこには素直に感謝したが、拒否権さんがお亡くなりになられた。
そういうことで、寝ているスピカを背負ってバーに来たのだ。
現在スピカはオレの隣でスヤスヤと寝ている。
「小僧も飲むか?」
「いえ、未成年なんで」
ギシリヤでは、別に酒に年齢制限などは無いが、バーンに無理矢理飲まされてから、どうも酒が苦手なのだ。
なので断らせてもらう。
「ノリが悪いの。わしらと違って人間の寿命は有限じゃ。短い人生、もっと好きなことだけして生きておればいいと思うのじゃが」
「人間っていうのはあんたとは違うのよ。何も考えずに生きてはいけないのよ」
「まるでわしが何も考えてないような言い方じゃな」
「考えてないじゃない。あんたが興味あるのは自分の娯楽になりそうなものだけでしょ」
どこまでも冷たく、無表情に刺々しいアダマス。
そんなアダマスを見て、酒呑童子はため息をつく。
「何年前の話じゃそれは。わしだって学習する。今は人間のことも尊重しとるぞ?昔とは違うのじゃよ」
「どーだか」
「本当じゃぞ?そもそも昔からそこまで人間に無関心だったわけでもないしの。いつの時代も、わしを倒したのは全員人間じゃったからな」
酒呑童子は、少し遠い目でここではない何処かを見る。
「そういえば、それも気になるな」
「何がじゃ?」
「あんた、退治されたんじゃないのか?」
本当は鬼なんて実在していたのか、と聞きたかったが、それは今更だと思ったので別の質問に変えた。
「あんたの仲間の茨木童子なら生き延びたって話だけど、酒呑童子が生き延びてるっていうのはどういうことだ?」
「ん?茨木童子は生き延びていたのか?」
「あれ?」
不思議そうに首を傾げる酒呑童子を見て、逆にこっちが首を傾げてしまう。
「知らないのか?」
「知らんの。頼光の小僧に首を切られたあと、二層に逃げて復活したからの」
「二層?」
何の?
「知らんのか?アダマス、ちょいと契約者に教えておくべきことがあるのではないのか?先程だって、”神器同調”を使っておれば、あんな連中なら余裕でぶちのめしていたじゃろうに」
またよくわからない単語が出たな。
それがさっきアダマスが言ってたなんとかする方法か。
オレじゃレベルが足りないって話だが。
「••••••今はまだ時期じゃないわ。あんたにとやかく言われるようなことはないわよ」
「ふぅん。まあ、わしにはどうでもいいことか。それに関しては本人達の速度でやるべきじゃからの」
興味を失ったようにワインを飲む酒呑童子。
よくわからなかったが••••••帰ったら詳しく聞いてみるとするか。




