No. 101 鬼
「ふん、いなくなったか」
暗殺者達の気配が完全に消えたことを確認した和服幼女が、ふっと殺気を霧散させる。
殺気が消えた瞬間、思わずオレは座り込んでしまった。
怖かった。
頬には冷や汗が流れている。
これほどの恐怖を味わったのは生まれて初めてだ。
『相変わらず化け物ね』
アダマスの声にも、恐れが感じられた。
「さて、と」
そんなオレ達の様子を気にすることなく、和服幼女はオレの方に目を向ける。
「邪魔者も消えたことじゃし、姿を見せんかアダマス」
久しぶりに会った友達に話しかけるような気安い口調でアダマスに声を掛ける幼女。
で、アダマスはどうする?
『••••••仕方ないから出るわ。機嫌を悪くして暴れられても困るし』
アダマスは渋々といった様子だ。
本当は嫌だという気持ちがダイレクトに伝わってくる。
人化した姿で現れたアダマスの顔は、苦虫を噛み潰しまくったような顔をしていた。
「久しぶりじゃなアダマス」
「••••••久しぶり。出来れば二度と会いたくなかったわよ」
冷め切った口調のアダマス。
「冷たいの。少しは愛想良くしたらどうじゃ?」
「相手があんたじゃなかったらするわよ。あんた、自分が何してたか忘れたとは言わせないわよ」
「あーそれを言われると辛いのー」
頬をかきながら苦笑。
「とりあえず話がしたいと言ったじゃろ。近くの店で飯でも食いながら話そうではないか。そっちの小僧の話も聞きたいのじゃ」
オレ?
首を傾げて自分を指差すと、幼女は大きく頷く。
「私の契約者に何の話があるっていうのよ」
「なに、ちょっと現代の日本の話が聞きたいだけじゃよ」
「••••••え?」
日本?
何故その国名を知っているんだ?
何者なんだこの幼女は?
「不思議そうじゃな」
オレの顔を見てつぶやく。
「そうじゃの、先に名乗っておくべきじゃったか。名を聞けばおそらく納得するじゃろうし」
名を聞けば納得する?
どういうことだ?
何に納得すると言うのか。
そんな疑問は次の言葉に飛ばされた。
「わしは酒呑童子という。日本人なら聞き覚えあるじゃろう?日本の妖怪のトップの一人、最強の鬼、酒呑童子とはわしのことじゃ」




