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異世界でカフェを開いただけなのに、なぜか英雄扱いされています  作者: 断捨離
第2章 王都進出編

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第58話 王都で一番仲の悪い二人


「無茶言わないでください。」


 俺の即答に。


 中庭に笑い声が広がった。


 だが。


 王妃は冗談を言っている顔ではなかった。


「やはり難しいでしょうか。」


「難しいですね。」


「即答ですか。」


「即答です。」


 すると。


 国王が苦笑する。


「余も最初はそう思った。」


「陛下まで思ってたんですか。」


「思った。」


 国王はあっさり頷いた。


「だから今まで何もしなかった。」


 その言葉に。


 中庭が少し静かになる。


 王妃が続ける。


「王都には昔から対立している家があります。」


「貴族同士ですか?」


「ええ。」


「政治の話ですか?」


「半分は。」


 王妃は少し困ったように笑った。


「残り半分は意地ですね。」


「ああ……」


 それは面倒だ。


 ものすごく面倒だ。


 すると。


 グランベル侯爵がため息をつく。


「互いに優秀なのです。」


「だから余計にぶつかる。」


 国王が続ける。


「どちらも王国を思っている。」


「でも仲が悪い?」


「悪い。」


 即答だった。


 すると。


 王女がプリンを食べながら口を開く。


「犬猿の仲ですね。」


「お行儀悪いぞ。」


「プリンは別です。」


「別なのか。」


 王女の中では別らしい。


 すると。


 王妃が俺を見る。


「もちろん、無理にとは言いません。」


「……。」


「ただ。」


 王妃は中庭を見渡した。


 職人と騎士。


 文官と商人。


 貴族と魔導師。


 皆が笑っている。


「ここでは、本来交わらない人たちが笑っています。」


「……」


「だから少しだけ期待してしまいました。」


 その言葉に。


 俺は少し考える。


 確かに。


 俺は何もしていない。


 コーヒーを出して。


 プリンを出して。


 サンドイッチを出しただけだ。


 でも。


 気が付けば。


 いろんな人が同じ場所に座っていた。


「店主。」


「ん?」


 リリアが小さく笑う。


「試してみるくらいなら、いいんじゃないですか?」


「簡単に言うなぁ。」


「失敗しても、店主のせいじゃありません。」


「それはそう。」


 すると。


 国王も笑った。


「余もそう思う。」


「責任取ってくださいよ?」


「取ろう。」


「軽いなぁ。」


 すると。


 王妃が少し嬉しそうに笑った。


「ありがとうございます。」


「まだやるとは言ってませんよ?」


「そうでしたか?」


「その顔やめてください。」


 完全に断りづらい空気だった。


 その時。


 王女が手を挙げる。


「店主さん。」


「なんです?」


「もし成功したら。」


「うん。」


「英雄扱い、確定ですね。」


「やめてください。」


 俺はただの喫茶店の店主である。


 本当に。


 たぶん。


 おそらく。


 きっと。


 ……たぶん。


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