表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界でカフェを開いただけなのに、なぜか英雄扱いされています  作者: 断捨離
第2章 王都進出編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

54/61

第54話 王城喫茶会、当日の朝


 そして。

 王城喫茶会の当日がやって来た。


「来ちゃったなぁ……」


 朝。

 開店準備をしながら、俺は思わず呟いた。

 すると。

 リリアがサンドイッチを並べながら言う。


「来ましたね」


「来たな」


 結局。

 あれから準備は順調だった。

 中庭の使用許可。

 机と椅子の配置。

 飲み物と軽食の準備。

 王城側の協力もあり、大きな問題は起きていない。

 今のところは。


「“今のところ”何も問題が起きていないのが怖いなぁ」


「分かります」


 リリアが即答した。

 その時。

 カラン。

 朝の常連たちが入ってくる。


「黒薬を」


「はいよ」


「今日は喫茶会ですね」


「ですね」


 文官たちも、どこか落ち着かない様子だった。

 いつもより少し早口。

 いつもより少しそわそわしている。

 すると。

 限界文官が席へ着くなり言った。


「緊張します……」


「お前が?」


「王城で喫茶会ですよ?」


「まあそうだけど」


「陛下も来ます」


「主催者だからな」


「侯爵も来ます」


「来るな」


「魔導師長も来ます」


「来るな」


 すると。

 限界文官が真顔になった。


「胃が痛いです」


「お前が言うと説得力あるな」


 店内から笑いが起こる。

 その時。

 カラン。

 入口のベルが鳴った。


「おはよう」


「おはようございます」


 国王だった。

 もはや誰も驚かない。

 すると。

 国王はいつもの窓際席へ向かう。


「本当にそこ好きですね」


「落ち着くからな」


 即答だった。

 最近では、客たちも何も言わない。

 ただ、『ああ、陛下の席だな』くらいの認識になっている。

 慣れって怖い。

 すると。

 国王はコーヒーを受け取りながら尋ねた。


「準備はどうだ?」


「一応」


「不安そうだな」


「だって初めてですよ」


 王城で喫茶会なんて。

 普通はやらない。

 すると。

 国王は少し笑った。


「余も初めてだ」


「主催者が言うことですか?」


「だから楽しみなのだ」


 その言葉に。

 少しだけ肩の力が抜けた。

 この人。

 本当に楽しみにしているらしい。

 その時だった。

 入口が勢いよく開く。

 カランッ!


「大変です!」


「またお前か」


 飛び込んできたのは限界文官だった。


「さっきそこにいたよな?」


「いました!」


「だよな?」


 限界文官は肩で息をしながら叫ぶ。


「参加希望者が予想の三倍です!!」


 店内が静まり返った。


「……三倍?」


「三倍です!」


「そんなに?」


「そんなにです!」


 すると。

 国王が静かにコーヒーを置いた。


「ほう」


 嫌な予感がする。

 すると。

 限界文官が続けた。


「しかも!」


「しかも?」


「参加者の半分以上が、“喫茶ミナトの常連です”と言っています!」


 沈黙。

 そして。

 俺と国王は同時に思った。

 ――これは、絶対に普通の喫茶会にならない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ