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異世界でカフェを開いただけなのに、なぜか英雄扱いされています  作者: 断捨離
第2章 王都進出編

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第48話 王城からの招待


 朝営業を終えた昼過ぎ。

『喫茶ミナト 王都店』は、いつも通り賑わっていた。


「プリン二つ!」


「黒薬追加で!」


「フレンチトーストお願いします!」


 昼の喫茶ミナトは相変わらずである。

 朝の静かな空気はどこへ行ったのか。


「これが日常になってしまったなぁ……」


 俺が苦笑すると。

 リリアが頷いた。


「昼はお祭りみたいですから」


「もう否定できない」


 その時だった。

 カラン。

 入口のベルが鳴る。


「いらっしゃいませ――」


 言いかけて止まる。

 入ってきたのは、見覚えのある人物だった。

 マリア。

 王城の案内係である。

 しかも今日は妙に姿勢が良い。

 いつも以上に。


「……また、何かはじまりそうだな」


「私も、今そう思いました」


 リリアが返した。

 すると。

 マリアは真っ直ぐこちらへ歩いてくる。


「店主様」


「はい」


「国王陛下よりお招きです」


「来たかぁ……」


 店内がざわつく。


「王城!?」


「ついに!?」


「国家案件だ!」


「だからカフェなんだけどなぁ」


 すると。

 マリアが一通の封書を差し出した。

 立派な封蝋付き。

 王家の紋章入り。

 本物だ。

 どう見ても本物だ。


「断れます?」


「断れると思いますか?」


「思わない」


 即答だった。

 すると。

 近くにいたグランベル侯爵が頷く。


「断らない方が良いですな」


「ですよね」


「ただ、悪い話ではないでしょう」


 その時。

 奥の席にいた文官が小さく呟く。


「陛下、最近機嫌良いですし」


「朝の喫茶ミナト効果ですね」


「絶対ある」


「聞こえてるぞ」


 なぜか国王本人がいないのにツッコミが飛んだ気がした。

 気のせいかもしれない。

 すると。

 マリアが少しだけ笑った。


「ご安心ください」


「はい?」


「少なくとも逮捕ではありません」


「安心材料の基準がおかしい」


 店内が笑いに包まれる。

 その時。

 リリアが封書を見ながら首を傾げた。


「店主」


「ん?」


「何の話でしょう」


「さあ」


 王城支店だろうか。

 プリン予算だろうか。

 それとも。

 また別の何かだろうか。

 正直、予想したくない。

 すると。

 マリアは一歩下がり、丁寧に頭を下げた。


「明日の午後、お待ちしております」


「……分かりました」


 こうして。

 俺は初めて正式に王城へ招かれることになった。

 そして。

 その日の夜。

 閉店後。

 片付けをしながら、俺はぽつりと呟く。


「嫌な予感しかしない」


 すると。

 リリアが即答した。


「私もです」


「だよなぁ」


 だが。

 その予感は――

 たぶん当ってしまう。


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