表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界でカフェを開いただけなのに、なぜか英雄扱いされています  作者: 断捨離
第2章 王都進出編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/61

第38話 夜喫茶、始まる


「……残業後に食べたい」


 限界文官の呟きに。

 店内の文官たちが、一斉に頷いた。


「分かる……」


「これは夜だ……」


「疲れた後に染みる……」


「なんで皆そんなに疲れているの?」


 すると。

 セシルが遠い目で答える。


「王都ですので」


「便利な万能説明やめろ」


 だが。

 フレンチトーストを食べた客たちは、妙に静かだった。

 プリンの時みたいな爆発力ではない。

 もっとこう。

 ふわっと、気が抜ける感じ。

 すると。

 アリシアが、小さく微笑む。


「これは“落ち着く味”ですね」


「まあ、そんな感じかな」


「プリンより静かです」


「戦闘力みたいに言うな」


 だが。

 確かに空気が違った。

 いつも騒がしい店内が、少しだけ穏やかになっている。

 すると。

 王女が、ほわっとした顔で呟く。


「これ食べたら……もうお仕事したくなくなります……」


「駄目な方向に効いている!?」


 周囲の文官たちが、無言で頷いた。

 共感するな。

 その時。

 レオンが、真剣な顔でメモを書いていた。


「店主殿」


「ん?」


「これは“夜市場”です」


「また始まった」


「今まで喫茶ミナトは、“昼の覚醒”だった」


「黒薬ね」


「ですがこれは、“夜の癒やし”です」


「なんか言い方が怪しい」


 すると。

 グランベル侯爵が深く頷いた。


「確かに、夜会後に欲しくなる味だ」


「夜会後?」


「酒で疲れた後にな」


「あー」


 それは分かる気がした。

 甘くて温かいものって、夜に合う。

 すると。

 リリアがぽつりと言う。


「店主」


「ん?」


「夜営業、やります?」


「……え?」


 その瞬間。

 店内が静まり返った。


「…………」


「…………」


 嫌な予感がする。

 すると。

 王女が、ゆっくり顔を上げた。


「……夜の喫茶ミナト」


「やめろ、その言い方」


 だが。

 周囲の客たちがざわつき始めた。


「夜限定メニュー……!」


「仕事帰りに寄れる……!」


「最高では……?」


「王都民の目が死にかけている」


 すると。

 限界文官が、震える声で言った。


「夜に……帰る前に……寄れる場所が……」


「切実すぎる」


 その時。

 魔導師長が、静かにコーヒーを置く。


「……悪くない案だ」


「お前まで?」


「魔導師塔は夜の方が、人が多い」


「ブラック確定じゃん」


 すると。

 セシルまで、小さく手を挙げた。


「文官局も……」


「お前ら帰れ!?」


 だが。

 皆、本当に疲れていた。

 だから。

 “帰る前に少し休める場所”という言葉に、反応している。

 その時。

 リリアが、少し笑った。


「店主の店、昼は賑やかですけど」


「うん」


「夜は静かで似合いそうです」


「……」


 少しだけ。

 その光景を想像する。

 夜の王都。

 仕事帰り。

 静かな灯り。

 温かい甘い匂い。

 コーヒー。

 ……まあ。

 悪くないかもしれない。

 すると。

 王女が、きらきらした目で言った。


「夜限定プリンとかありますか!?」


「結局そこか!!」


ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました!


もし「続きが気になる!」「面白い!」と思っていただけましたら、

下にある**【ブックマークに追加】や、【☆☆☆☆☆】を★★★★★**にして応援していただけると、執筆の励みになります……!


ほんの少しの応援でも、作者にとっては嬉しいものです。

どうぞよろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ