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異世界でカフェを開いただけなのに、なぜか英雄扱いされています  作者: 断捨離
第2章 王都進出編

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第32話 王城支店の話が勝手に進む


「何が!?」


 俺のツッコミに。

 セシルは死んだ目で答えた。


「王女殿下、“気に入った店を城内に呼びたがる癖”がありまして……」


「癖みたいに言うな」


 すると。

 王女はプリンを食べながら首を傾げた。


「だって、毎日来るの大変ですし」


「来る気満々だった」


 しかも。

 周囲の貴族たちまで頷いている。


「確かに」


「王城支店は必要だな」


「外交利用も可能では?」


「カフェだよね!?」


 なんで国家施設みたいな扱いになってるんだ。

 すると。

 レオンが、ものすごい速度でメモを書き始めた。


「王城限定メニュー……」


「乗るな」


「高級路線も――」


「乗るなって」


 だが。

 商人は完全に目が輝いていた。

 すると。

 王女が、真剣な顔でこちらを見る。


「店主さん」


「はい?」


「王城、空気悪いんです」


「急に生々しい」


 すると。

 王女はプリンを見つめながら続ける。


「皆いつも忙しそうで」


「文官さんも寝てないし」


「騎士さんもピリピリしているし」


「魔導師さんは怖い顔しているし」


「否定できない」


 実際、この世界みんな疲れている。

 すると。

 王女は、少しだけ笑った。


「でも、ここは違いますよね」


「……」


「皆、ちょっと楽しそうです」


 その言葉に。

 店内を見回す。

 プリン食べている貴族。

 コーヒー飲んでいる文官。

 会話している騎士。

 確かに。

 王都へ来てからも、この店だけ空気が違った。

 すると。

 アリシアが静かに言った。


「だから人気なんですよ」


「いやでも王城支店は……」


「必要かもしれません」


 アリシアまで乗った。

 その時。

 入口が勢いよく開く。


「失礼する!!」


「また!?」


 入ってきたのは、豪華なローブを着た老人だった。

 白髪。

 杖。

 威圧感。


「あ」


 見覚えがある。


「宮廷魔導師長」


「久しいな、店主殿」


 そして。

 魔導師長は、店内を見回して固まった。


「……なぜ王女殿下がいる?」


 王女は、もぐもぐしながら答えた。


「ぷりんです」


「理由になっておらん」


 しかし。

 魔導師長も、店内の空気を見て小さく息を吐いた。


「……相変わらず妙な店だ」


「それは否定できない」


 すると。

 王女が、ぱっと顔を上げる。


「ちょうど良かったです!」


「?」


「王城支店の話を――」


「待て」


 魔導師長が即座に止めた。


「増やす気なのか?」


「だって必要ですよ?」


「気持ちは分かるが」


「分かるんだ」


 すると。

 魔導師長は疲れた顔で言った。


「最近、魔導師塔でも“喫茶ミナト休憩室を作れ”という声が増えていてな……」


「なんで!?」


「徹夜続きの者が多い」


「異世界ブラック社会すぎる」


 その時。

 王女が真顔で言った。


「ほら、必要じゃないですか」


「論破みたいに言うな」


 だが。

 周囲の空気は、完全に“王城支店あり”になっていた。

 すると。

 リリアがぽつりと呟く。


「店主」


「ん?」


「そのうち王城の中でプリン焼いてそうですね」


「嫌な未来予想図やめて」


ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました!


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