表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界でカフェを開いただけなのに、なぜか英雄扱いされています  作者: 断捨離
第2章 王都進出編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/61

第30話 王女、整理券に困惑する


 王都店オープン当日。

『喫茶ミナト 王都店』の前は、朝から戦場だった。


「整理券順にお進みくださーい!」


「押さないでくださーい!」


「プリンは全員分ありますからー!」


「本当に!?」


「たぶん!」


「“たぶん”って言ったぞ!!」


 騒がしい。

 めちゃくちゃ騒がしい。

 俺は厨房でコーヒー豆を挽きながら、遠い目をしていた。


「……なんでカフェ開いただけでこうなるんだろ」


 すると。

 リリアが慣れた顔で答える。


「店主だからでは?」


「理由になってないんだよなぁ」


 だが。

 店内は既に満席だった。

 開店五分で。

 早すぎる。

 すると。

 ホール担当になっているマリアが、疲れ切った顔で戻ってきた。


「店主様」


「はい」


「現在、外の待機列が三区画目へ入りました」


「ライブ会場かな?」


「あと、“プリン完売”というデマが流れて一度暴動寸前に」


「なんで!?」


「騎士団が鎮圧しました」


「鎮圧って単語をカフェで聞きたくない」


 その時。

 店内奥の席で、貴族たちが真剣な顔で話していた。


「……やはり紅茶派との共存を」


「いや、黒薬派の勢いは止まらん」


「プリンを追加すれば中立化できるのでは?」


「何の会議!?」


 しかも全員、普通にプリン食べながら話している。

 シュールすぎる。

 すると。

 アリシアが小さく笑った。


「以前より平和ですよ?」


「本当に?」


「前は机を叩き合ってましたから」


「プリンすごいな……」


 その時だった。

 入口近くで、小さなざわめきが起きる。


「……ん?」


 見ると。

 フード付きマントの小柄な女性が、列の最後尾付近でおろおろしていた。

 周囲を気にしながら、何度も整理券案内を見ている。


「……初めて来たタイプのお客さんかな」


 王都店は、もはやシステムが複雑になっていた。

 整理券。

 待機列。

 受け取り列。

 もはや人気ラーメン店である。

 すると女性が、意を決したように近くの騎士へ聞いた。


「その……ぷりんは、まだありますか?」


「ありますよー!」


 騎士が慣れた声で答える。

 女性は、ほっと胸を撫で下ろした。


「よ、よかったぁ……」


 めちゃくちゃ安心していた。

 その瞬間。

 後方に控えていた護衛風の男が、小さく呟く。


「殿下、どうかお声の大きさを……」


「しーっ!」


 女性が慌てる。

 すると。

 近くで対応していたマリアが固まった。


「…………え?」


 空気が止まる。

 マリアが、恐る恐るフードの女性を見る。


「で、殿下……?」


 女性は、ものすごく気まずそうに目を逸らした。


「……はい」


「王女殿下ぁぁぁぁ!?」


 店内が静まり返る。


「…………」


「…………」


 俺は、ゆっくり女性を見る。


「……王女?」


 フードの女性――王女は、小さく頷いた。


「その……気になってしまって」


「並んでたの?」


「整理券が必要と聞いて……」


「真面目か!!」


 すると。

 後ろの護衛が疲れ切った顔で言った。


「昨夜から、“一般客として並ぶ”と言い出されまして……」


「徹夜組だったの!?」


 王女なのに!?

 その時。

 外の列がざわつき始める。


「え、今“殿下”って……」


「まさか王族!?」


「王女まで並んでたのか!?」


「プリンすげぇ……!」


「感心するとこそこなの!?」


 すると。

 王女は、少し恥ずかしそうに言った。


「……だって皆さん、美味しいって言うので」


「まあ、美味しいけど」


「あと、“黒薬を飲むと会議中に眠くならない”とも聞いて……」


「社畜みたいな理由だった」


 その瞬間。

 セシルとマリアが同時に顔を覆った。


「王族までブラック化してる……」


「胃が痛いです……」


 王都、思った以上に限界だった。


ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました!


もし「続きが気になる!」「面白い!」と思っていただけましたら、

下にある**【ブックマークに追加】や、【☆☆☆☆☆】を★★★★★**にして応援していただけると、執筆の励みになります……!


ほんの少しの応援でも、作者にとっては嬉しいものです。

どうぞよろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ