第15話 狂人
「銀河大サーカス」の演目は終わりを告げました。
検問を突破し、ようやく辿り着いた約束の場所——しかし、そこに広がっていたのは母なる地球を覆い尽くさんとする絶望の輝き、上級宇宙怪獣「アルヴァイト」の群れでした。
非武装の輸送船オクトパスがワープ準備に要する時間は、わずか90秒。
その短くも永遠に感じられる空白を埋めるため、カイは再び白銀の機体「メモリア」へと乗り込みます。
未知のコアと同調し、ユナの思念を力に変えるカイ。
その瞳に宿るのは、勇気か、それとも——。
次元の壁を突き破る、メモリアの真の姿が今、宇宙に刻まれます。
アパッチは地球を抜けたが、そこには、宇宙の理、
漆黒の宇宙空間が、無数の「点」で埋め尽くされていた。
それは星の光ではない。地球の重力圏を食い散らかそうと群がる、上級宇宙怪獣「アルヴァイト」の群れが一斉にオクトパスへ襲いかかる。
「……数えきれねえ! 煙幕を張るぞ! この「オクトパス」は迎撃能力不能だからな!カイ!艦船のワープエネルギーが、90秒係るそれまで、持たせてくれ!」
リング「私は行かなくていいのか?」
アパッチ「バルジーナは重いからな、速さが必要なんだ、メモリアなら、素早く動ける、迎撃に向いているからな、リングは、カイをサポートしてやれ!」
リング「分かった。」
メモリアに乗るカイ「久しぶりだ、普通に起動出来た、これなら行ける!
格納庫のハッチが開き、白銀の機体、メモリア
「行くぞ!!」
「煙幕用意!!同時にワープパワー重点開始、これより90秒、艦船は停止する!頼むぞ小僧!!」
アパッチの怒号とともに、オクトパスの両舷から煙幕を貼る。
格納庫のハッチが開き、白銀の機体、メモリア
「カイ=タチバナ、メモリア出ます。」
が宇宙へと躍り出た。
残り45秒
宇宙怪獣がメモリアに、次々と襲い掛かる。
メモリアの全身の砲門に光が集中する。
「パルス全方向発射!!」
青光の閃光が宇宙怪獣の群れを粉砕して行く。
ブュュュワッッッ!!ボンボンボン!!
宇宙怪獣は、核を残し再生し始めている。
「まだまだ!!」
先日の戦闘で取り込んだ未知のコアが、「メモリア」の駆動系と異常なまでの同調を始めていた。コックピットのモニターが血のような赤に染まり、アラートが鳴り響く。
『……カイ…………』
ユナの思念がノイズとなって耳を打つ。
「……少し分かってきた。お前の悲しみは、俺が全部『力』に変えてやる!なんか、前より、パワーアップしているぞ、メモリア!今なら、何でも出来る気がする!!」
リング「アパッチさん、やばい、前に2人でようやく倒した怪獣だ!」
残り20秒。
メモリアの口開く。プシュー!!
背中から、光の結晶が羽根状に噴出した。
その輝きは、もはや物理的な推進ではない。空間そのものを書き換える高次元エネルギーの奔流だ。だが、次の瞬間、宇宙の物理法則が崩壊した。
メモリアの姿がブレたかと思うと、一機、また一機と「実体を持った残像」が増殖していく。
リング「何……!?実体分身してるのか?」
通信越しにリングが驚愕の声を上げる。
一機のメモリアが十機になり、百機へと増殖する。
数百の再生する肉体全てに張り付いた。
それは、コアに取り込まれたナノマシンが光速の運動量と結びついた結果生み出された、無数の「可能世界」の投影だった。
カイ: 「消えろおおおぉぉぉッ!!」
メモリアは一斉に抜刀し、空間を薙いだ。
【一斉掃射:ナノ・エンド・パレード!】。
一閃。
宇宙空間に黄金の網目が走ったかと思うと、数千匹の宇宙怪獣の核を残らず「塵」へと分解され大爆発圧倒的な消滅。爆風に白銀の幻影が浮かんでいる。
残り0秒
震えるアパッチ(……強えぇ?なんてレベルじゃない人機を超えている……!)
リング(……やはり、あの人機普通じゃない、バルジーナも強いけど、次元が違うわ……。)
アパッチ「よし!カイ!船に戻れ、ワープするぞ!!」
静寂が戻った宇宙。
無数の分身が中心の一機へと吸い込まれるように消え、後に残ったのは、神々しいまでの光を纏ったメモリアだけだった。
第15話をご視聴(ご一読)いただきありがとうございました!
今回は、本作のメカアクションにおける一つの到達点とも言える、メモリアの「概念変革」を描きました。
数千の怪獣を瞬時に塵へと変えた【ナノ・エンド・パレード!】。
「可能世界の投影」という、物理法則を無視した分身攻撃は、もはや単なる兵器の域を超えています。その神々しいまでの輝きを前に、歴戦の勇士であるアパッチやリングさえもが、畏怖を抱かずにはいられませんでした。
「今なら、何でも出来る気がする!!」
万能感に酔いしれるカイ。しかし、強大すぎる力には必ず代償が伴うものです。サブタイトル「狂人」が意味するのは、群れをなす怪獣のことなのか、それとも人機と混ざり合い始めたカイ自身のことなのか……。




