第12話 復讐のジャック
連合の襲撃、迫る危機。 絶体絶命の状況下でカイが出会ったのは、首周りにソーラーパネルを纏った異形の機体「エリマキ」でした。 「作業用の改造機」と侮るなかれ。ひと癖もふた癖もあるこの黄色い閃光が、砂漠の戦場を縦横無尽に駆け抜けます! ボードを操り空を舞う、カイの新たな戦い方にぜひご注目ください。 第12話「黄色閃光」、突撃開始です!
第12話 黄色閃光
砂の隠れ家に、忌々しい連合襲撃の警報が鳴り響く。カイはアパッチに急かされるまま、埃っぽい熱気に満ちた格納庫へと足を踏み入れていた。
「小僧ッ! 機体の操縦、イケるんだろう?」
アパッチの怒声に近い問いかけに、カイは不敵な笑みで応える。「ああ、問題ないよ!」
二人の視線の先には、異様な威容を誇る「鉄の塊」が鎮座していた。アパッチが誇らしげにその機体――『エリマキ』を見上げる。
「こいつは作業用をベースに俺が叩き直したカスタム機だ!見てな、首周りの黒塗で隠しているが、ソーラーパネルだ。昼間に吸い込んだ太陽光がこいつの命。一晩暴れ回るにゃ十分すぎる出力だぜ。
サイズこそ小ぶりだが、設定は極限まで尖らせてある。並のパイロットじゃ振り回されるだけのジャジャ馬だが――乗りこなせりゃ、量産機なんざバックミラーにも映らねぇ速さだ!」
「へぇ……なんか、変な名前の割に凄そうだね」
カイは流れるような動作でコックピットへ滑り込んだ。ふと足元に目を向けると、機体底部に奇妙なボードが装着されていることに気づく。
「アパッチさん、この足元の板は?」
「そいつは『爆板』だ! 風を掴んで宙を舞う、エリマキの翼だよ。姿勢制御はOSが補助するが、振り落とされるんじゃねぇぞ!」
「了解! アパッチさん、行ってくる! ――カイ・タチバナ、出るッ!」
簡易カタパルトから放たれたのは、一筋の黄色い閃光。
シュウウゥッ――バシュッ!!
爆風を置き去りにして、エリマキが砂漠の空へと躍り出た。
メインモニターに映し出されるのは、連合の量産型機体『バル』の無機質な無骨さだ。カイは迷わずスロットルを押し込む。
『貴様らゲリラ共、巣窟は割れている!速やかに投降しろ!』
通信回線から流れる連合兵の高圧的な声。カイは冷ややかに言い放った。
ニヤけるカイ。「断る!」
三機のバルから、一斉にマシンガンの弾丸の膜が飛び交う。エリマキは爆板を華麗に操り、重力を無視した軌道で弾幕をすり抜けていく。
「アパッチさん! こいつの武器は!?」
『武器だとぉ? 両腕のファイヤナックルに決まってんだろ! ガッハハ! 男は黙ってぶん殴れ!』
「……なるほど、戦い方は『メモリア』の応用か!?それなら!」
加速するエリマキ。風を切り、弾丸を嘲笑うように宙を舞う。
一気に間合いを詰めると、エリマキの右拳が真っ赤に燃える。バルの顔面へ叩きつけられた。
「ハアァァ!!」
ボフゥゥッ――バキィィッ!!
炎を纏った鉄拳が装甲を粉砕し、バルが爆破された。エリマキはそのまま180℃反転。背後を取ろうとした残りの機体を、次々と撃破圧倒していった。
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一方、荒野の林に着いたリングは、愛機『バルジーナ』のコックピットで静かに闘志を燃やしていた。
「よし……カラミティ・フラッシュは機体負担がデカすぎる。使ったら、パワーダウンしちゃう。切り札は最後まで取っておく。待ってろよカイ、今行く!」
サハラ砂漠を、一条の緑の光が駆け抜ける。
その頃、カイは最後の一機を仕留めにかかっていた。
「行っけええええッ!!」
渾身の一撃がバルをバラバラに砕く。
『やるじゃねえか小僧! ……んん、待て、何だ!?』
アパッチの警告と同時だった。
突如、足元の爆板が爆破される。凄まじい衝撃が走り、エリマキが宙でバランスを崩す。
「う、うわあああっ!?」
『はっはっは! アパッチ、敗れたりッ!』
砂塵を割り、地底から這い出してきたのは異形の機体だった。
『……あれは、コブラか!?』
アパッチの声が驚愕に震える。姿勢を立て直したカイが、苛立ちを隠さず叫んだ。
「俺はアパッチさんじゃない! カイ・タチバナだ!」
突撃するエリマキ。しかし、コブラは嘲笑うように再び地中へと潜り、攻撃をスカらせる。
『聞け、ゲリラのクズ共! 俺の名はジャック! 投降して、命乞いしろ!かつてアパッチに敗れ、傭兵としての矜持も職も失った……だが今は違う! 連合に拾われた男、復讐者ジャック少佐だッ!』
『……はぁ? 誰だ、ジャック? 心当たりがねぇな……』
アパッチの素っ気ない返答に、ジャックの怒りが爆発する。「愚弄する気か!?」
地中からの高速移動でエリマキを翻弄し、死角から「ビーム酸」が降り注ぐ。回避不能。エリマキの各駆動系が焼き付くような悲鳴を上げた。
ビシュー!ビュー!
『はっはっは! 終わりだ!今日はアパッチ共々、貴様の命日になるんだよ!』
勝ち誇り、地表へ姿を現したコブラ。
だが、その頭上から「死」を呼ぶ鉄塊が降り注いだ。
――斬艦刀。
超重量の巨剣が砂漠を断ち割り、コブラは間一髪で後退する。
「……惜しいな。だが、こいつの相手は私が引き受けよう」
砂煙の向こうから現れたのは、美しくも禍々しい緑の輝きを放つ機体。リングの駆る『バルジーナ』が、静かに剣を構えて立っていた。
第13話「砂漠の処刑人」、最後まで読んでいただきありがとうございます。
今回の修正では、バルジーナの戦闘機動をより詳しく描写しました。
背部バーニアを小刻みに使い、残像を残しながらの連撃……!巨大な斬艦刀を軽々と、かつ精密に扱うリングの凄みが伝わっていれば嬉しいです。
命辛々逃げ延びたジャック、そしてボロボロになりながらも拠点を守り抜いたカイ。
砂漠の戦いは一度幕を閉じますが、連合軍の影は確実に二人を追い詰めていきます。
次回、拠点に戻った彼らを待ち受けるものは?
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