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4話 そうだよこういうので良いんだよ

ようやく学園パートに入れました。


「灰原レイです 趣味は体を動かすことです よろしくお願いします」

 

 はい始まりました。学園生活!みんなから無難な質問に答えながら感慨深くなる。

 

 そうだよ、学園生活はこうじゃないと。

 並んだ机に様々な個性の子供達、けれど争いの影はなく理想の平和と言っても過言ではないのだろうか。

 

 当初は流石に緊張したものの先生やシロと話して来たおかげで普通の人なら余裕でコミュニケーション取れたのが大きすぎる。

 

 感謝はしたくないが。

 

 40人ほどの教室だが編入生が珍しいのか少し遠巻きに見られているには仕方がないだろう大体が裏社会の家系か政府に管理された子が多いから例外を除いて途中で増えると言うことはないらしい。

 

 けれど幸いなのが。

 

「なぁレイ 昼飯は購買行こうぜ」

「おっ良いね まだ場所が覚えきれてないから案内頼んだ!」

「おう!任せな!」

 

 目の前の白く輝く歯を惜しげもなく見せて笑う好青年は『秋山 影久』と仲良くなれた事だ。

刈り上げた髪と鍛えられた大きな体に見合った豪快な性格と面倒見の良さ。

 

 今日の俺は運がいいな。

 

 いつもならシロが飛び蹴りして来たり先生に拉致されるのに。

 

 あまりの平和さにしみじみと浸っていると突然、歓声が響いた。

 何があったのかと影久と共に外を見てみると人だかりが見えた。

 

 見間違える事のない燃える様な赤い髪と眼を惹く美貌、さらに黄金律を思わせる肢体は見るもの全てを魅了してやまないだろう。

 

 その隣を歩く白亜の騎士。

 中性的な顔立ちと子供のような小さな体躯でありながらも全てに立ち振る舞いに無駄がなく何か不穏な行動を起こそうとすれば一瞬で制圧されるだろう事は想像に難くない。

 

「おぉ! アレが赤羽根博士と護衛のシロさんか! いやぁヤバい空気がビンビン伝わってくるな!」


 見る目があるね。その通りだよ。

 

 可能なら関わり合いにならないほうがいいと思うよ。中身オジサンの心の中の忠告だ。

 

「でもまぁ俺らとは縁遠い話だな、赤羽根印のデバイスを一度で良いから使ってみたいぜ!」

「ははは」

 

 乾いた笑いしか出ないよね。

 

 いつまで経っても止むことのない歓声を背に俺達は購買へと足を運んだ。

 

「おぉここが学食か! 中学の時は購買も学食も無かったから新鮮だなぁ」

「へぇ表の学校には無いとこもあるのか......この学園だと小学からあるぞ?」

「まぁ田舎だったのもあるだろうけどな」

「へぇそこら辺もメシ食いながら教えてくれよ! 中々表の話を聞ける機会がなくてさ」

 

 影久と一緒に食券を買い適当な空いている席へ座る。その間にも食券の買い方を教わったりと影久の面倒見の良さには頭が上がらない。

 

「へぇ3年前ぐらいに能力に目覚めたのか......なら大変じゃないか? 俺も目覚めて5年ぐらいは能力に振り回されたり大変だったぜ」

「本当だよ 俺を鍛えてくれた人がスパルタでさ.......辞めとこうメシが不味くなりそうだ」

 

 一瞬だけ先生とシロの顔が浮かんで血の気が引いた。

 それを見た影久が色々と察してくれた。

 

「あぁなんとなく分かるぜ 俺も姉貴に扱かれてその時の事は思い出したくもねぇ......」

「影久も苦労してるんだな あの人たちも悪気はないし その全ては俺のためってのは分かってるんだけどさ」

「やり方が過激すぎるんだよ! 魔獣が居る森の中に放り込まれたり 朝起きたら無人島だっったりとか限度があるだろ!」

「分かるよ この前は空の上だった......能力をうまく使わないと死ぬぞってさ」

 

「影久......次は俺が奢るよ。好きなものを食べようぜ」

「ありがとうな兄弟」

 

 硬い握手を交わす。きっと俺達の目には涙が浮かんでいるだろう。


 コレが学園生活!コレぞ学園生活!。

 

「生徒会長だ......どうして学食に?」

 

 ざわつく学食内、生徒会長が来ただけでどうして静まりかえるんだ?。

 不思議に思いながら振り返ると1人の少女ががキョロキョロと忙しなく何かを探している。

 

 絹の様に流れる金髪を腰で束ね、意志の強さを伺わせる鋭い双眸が目の前に立つもの全てを萎縮させる力を持つ。

 

 そうだね黄葉ミリシアだね。

 

 いやそんなくだらない事よりどうして彼女が学食に来たぐらいでざわつくのだろうか。

 

 影久に聞きこうと前を向くと目の前の影久も不思議そうに首を傾げている。

 どうやら彼女が学食に来る事は稀なようだ。

 

 目が合った。

 

「灰原さん探しましたよ」

 

 トコトコと小さな歩幅で歩み寄って来る黄葉、それに付随して圧が増してくる。

 

 その場の全員の視線が突き刺さる。人って目だけで死ぬんじゃないかと思うほどに突き刺さってきている。

 

「放課後に時間の余裕のある時で良いのですが生徒会室へお越しください」

 

 頷くしかないよね。まぁ今すぐじゃなくて良いところに黄葉の人の良さを感じる。コレが先生なら食事中だろうが強制だから温情だ。

 

 黄葉はそれだけを言うと優雅に去って行った。

 

「なぁレイ 何したんだ? あの生徒会長が呼びに来るなんて尋常じゃないぞ」

「多分アレじゃないか? 変な時期の編入だから手続きとか面倒なの残ってるんじゃないか」

 

 絶対違うとは思うがそれらしい話を考えて話してみると影久や周囲で耳を傾けていた生徒達も関心を失って食事を再開する。

 

「タイミングがワリィな 放課後に下町で遊ぼうかと思ったのによ」

「マジかぁ 行きたかったな 次誘ってくれよ」 

 

 その後は影久と中学や小学校の頃の話をしながら昼休みを過ごした。

 

 意外だったのが表だ裏だと区別はされているが基本的には学園に通う間は普通の子供と変わらない生活をこの島で過ごすようだ。

 親がいれば親と過ごし、友人がいれば友人と普通の生活を送るようだ。島の食料も島で自給し嗜好品は定期的に来る政府お抱えの商人から買ったりするらしい。

 

 影久の何処の店が美味いとか何処は不良の溜まり場になってるからとかオススメの遊び場とか......なんだ先生が戦闘データを取るとか言ってたから身構えて損した。

 

「そう言えば午後から異能の実技があるからデバイスの調子を確かめとけよ 手入れ不足で大怪我したなんて格好悪いだろ?」

 

 出た。裏特有文化、もう聞いただけで物騒だよ。

 

「いや普通はそんな危険じゃねぇさ でも表での体育的なやつだよ スポーツの代わりに異能を使うだけさ」

「なるほど 確かに運が悪いと骨折ったりする奴らもいるな」

「そう言う事さ まぁ初めてだからな緊張しねぇで楽しめば良いさ」

 

 そうだよな。普通は命をかけないよな、流石に偏見の目で見すぎてたよ。

 

 1人で反省していると始業前の鐘が鳴り2人で慌てて食器を返して教室へ戻ることになった。

 

 でもこういうのも普通って感じで楽しいよね。

この世界には魔獣が居ます。詳しい内容は本編で。


ちなみに赤羽根とシロは灰原の視線に気づいています。

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