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闇ガチャ、異世界を席巻する  作者: 白井木蓮


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第六十八話 金ガチャ券狙い

「最初の金箱はガチャ百連で一つ出る計算だ」

「てことは金貨十枚やろ? そんなんすぐ出るんちゃう?」

「でも中身は四種類だ。一つ当たりの期待値が変わることはないらしい」

「四百分の一の確率は最後まで変わりないってことか」

「あぁ。つまり最後の一個は四百連しなきゃならないこともあり得る」

「てことは合計八百連以上ってことか? 運が悪けりゃもっとか」

「なんでそうなるん? 四百連で全部とれるんちゃうの?」

「金貨八十枚は高いな」

「ちょっと! なんで無視すんねん!」


 掲示板を隅々までよく読んでるようだな。

 金箱商品は一点物だからその通りだ。

 勇者のように考えてくれる者がほとんどだと思ったんだけどな。


「王女様はなんて?」

「金貨五十枚までなら出してくれると」

「なんで五十枚? そこまで出すんなら八十枚出してくれよ」

「ギャンブルが嫌いだとかでな。確実に取れとのことだ」

「確実にって……あっ」

「そういうことだ」

「ちょっと!? どういうことなんか説明してや!?」


 ほう、やはりそっちを選択するのか。

 それにしてもあとの一人は全く喋らないな。

 フード被ってるから男か女かもわからない。

 ローブ着てるってことは魔道士なんだろうけど。


「格闘場だよ」

「格闘場!?」

「さっき報酬を見なかったのか?」

「え……面白そうやな~としか」

「……Sランクの報酬が金ガチャ券なんだよ」

「えっ!? それやったら確実に金箱ゲットできるやん!」

「あぁ。そのための金貨五十枚だろう」

「でも参加料金は金貨十枚だったぜ? 一回は負けてもいいってことか?」

「いや、金ガチャ券を五枚取れということだろうな」

「五枚? 商品は四個しかないのに?」

「あと一個あるだろう」

「あと一個? …………あっ」

「そういうことだ」

「だからどういうことやねん!」


 あの王女も意外に頭が回るようだな。

 この冒険者二人もなかなかだ。

 短時間の間にそこまで気がついたんだ。

 まぁ普通はSランクに挑もうとすら思わないだろうからな。


「虹箱だよ」

「虹箱!?」

「あぁ。金ガチャ券ってのは金箱以上確定らしいんだ」

「金箱以上?」

「銅箱や銀箱の確率分が金箱になるって感じだな」

「う~ん? でも虹箱の確率が変わるわけではないんやろ?」

「金箱は四個しかない」

「……そういうことか! なら五個目は確実に虹箱ってわけやな!」


 そう、虹箱は金ガチャ券五枚で確実に取れる仕様だ。

 ガチャでの提供割合を天文学的な確率にしてるのもその仕様があるからだ。


 ただし、ガチャ券は当日しか使用できないけどな。

 次の日には金箱が補充されてる可能性もあるわけだ。

 それをわざわざ書いておく必要はない。


「だが一日で五枚取らなければならない」

「えっ? 一日に一戦しかできないって言ってなかったか?」

「Aランク以上は連戦が可能だそうだ」


 ほう?

 そこまで調べていたか。

 この男は全身ミスリル装備だから戦士か?

 脳筋のイメージが強いがそうではないようだ。


「つまり五連戦ってことか……」

「あぁ。しかも敵を選択できるのは一戦目だけ」

「二戦目以降にどんな敵が出てくるかわからないのか……」

「そんなん対策できへんやんか!」

「さらにモンスターの制限もない」

「……上級ボスモンスターが自ら出てくると?」

「おそらく」

「えぇ!? それは無理やわぁ……ウチ中級でやっとやのに」


 やるな。

 全てお見通しって感じだ。

 少し気にくわないが仕方ない。

 なんせここにいるのは勇者パーティなんだ。

 この世界で最強クラスの四人が集まっているんだろう。


 ……あれ?

 仲間になった上級者は二人って言ってなかったっけ?

 おそらくさっきから話してるこの二人が上級者だろう。

 となると残りの魔道士っぽいのは新しい仲間なのか?

 新入りだからあまり意見が言えないのかもしれないな。


「だから挑むのはもう少しレベル上げてからにする」

「だな。特に勇者様にはもっと強くなってもらわねぇと」

「はぁ~。敵と戦ってばかりってのもしんどいよなぁ」

「明日からは上級の区域に入るからな」

「嘘やろ? ウチ死ぬんちゃう?」

「死なないためには勝つことだ」

「スパルタすぎるやろ~。あんたもなんか言ったらどうなん?」

「……」


 頑なに口を開こうとしないな。

 そういうキャラなのか?


「とりあえず今日は帰るぞ」

「なぁまた寿司食べにきてもええか?」

「あぁ、俺も食べたいからまた来よう」

「ホンマか!? なら明日もな!」

「それは飽きるから明後日だな」

「えぇ~。ここ安いし、肉もいっぱいあんのにぃ」

「明日は初級者が多いだろうから遠慮しろってことだよ」

「あっ、そういうことか! そういう気遣いは大事やで!」


 勇者パーティは帰っていった。

 さすがに今日来てた客には気付かれただろう。

 でもあの勇者は目立ちたがり屋っぽいから嬉しいと思うんだろうか。


 また明後日に来る可能性が高いってことだよな。

 というか今日人が多すぎないか?

 飲食エリアでは待ちが発生してるしな。


 格闘場はCランクが多いようだ。

 参加料金が銀貨五十枚で報酬が十連ガチャ券だからな。

 勝てば半額でガチャが回せるんならそりゃ挑戦するか。

 でもソロはまったくいない。

 中級者以上ともなるとパーティでしか行動しないのかもな。


 皿を下げてこちらに歩いてくるアイリと目が合った。

 ……元気がないように見えるのは気のせいか?

 勇者のことを気にしてるのか?


「アイリ? 大丈夫か?」

「えっ!? アイリさん体調悪いんですか!?」


 ……こっちの王女もあっちの王女に負けないくらいうるさいな。

 プリン王女は今日だけ見れば席を強奪した以外は静かなものだったし。


「ごめんなさい。少し休憩してきてもいい?」

「あぁ。ピークは過ぎてるから今日はもういいぞ」

「うん。あとはお願い」


 こんなアイリは初めてだ。

 心配だな。


「私がお手伝いしましょうか?」

「結構です」

「早くないですか……」


 勇者パーティへの対策を考えるべきか?


 ……いや、俺はいったいなにを考えてるんだ。

 平等にするって決めてたはずなのに。

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