第六十二話 不思議な色
「ベビーはなにが好きなの?」
「中トロです!」
「ジェルは?」
「イカかな~」
「ミルクとココアは?」
「わんっ!」
「にゃ~っ!」
「ふ~ん。ボクも早く食べてみたいなぁ」
五匹は芝生の上に座りお喋りしているようだ。
早くもサクラは馴染んだみたいだな。
仲間になったのは昨日のことなのに。
聞けばサクラのベースはモンスターではないらしい。
レファが森の中で可愛い鳥を適当に見つけてきたんだと。
さすがにここまで小さい鳥はモンスターにはいなかったようだ。
魔剣鳥とはいっても誰がどう見てもモンスターには見えないな。
でも目立たないから護衛としてはいいかもしれない。
ただ気になるのはジェルとサクラを仲間にしたのは俺だということだ。
昨日サクラが仲間になった直後、レファに聞いてみたところ
「ヤマトはなんか不思議な色だからね」
「不思議な色?」
「うん。だから気になっちゃうんだと思う」
「でもなんでジェルとサクラだけが仲間になったんだ?」
「この子たちは生成されてすぐに会ってるから」
「まだ赤ちゃんみたいな状態だったからってことか?」
「それに近いね」
動物ではよく聞く話だよな。
生成された直後のモンスターに人間が会うなんて機会もそうないはず。
それにジェルのときもだがその場には魔物使いが二人もいたわけだからな。
「魔物使いも色が違うんだろ?」
「うん。でもミアたちの仲間モンスターとは色が違うし」
「ん? ジェルとサクラがか?」
「うん。それが一番タチが悪い」
「タチが悪いって……」
「たぶんモンスターたちは敵だと気付かないかもしれない」
俺とジェルとサクラの色は似ているらしい。
だから俺が仲間にしたんだとわかったそうだ。
ジェルのときは単なる偶然かなと思ったみたいだが。
しかも魔族側はジェルとサクラが人間側だと気付かない可能性もあるらしい。
確かにジェルは格闘場のモンスターにも大人気だ。
どちら側にもなれるということは利点でしかないよな。
「だからヤマトは生成したばかりのモンスターに会うの禁止」
「え……あのウサギも一匹欲しい……」
「ダメ。きりがなさそうだから」
「じゃあモモンガでもいいからさ」
「ダ~メ」
今後俺に仲間モンスターが増えることはなさそうだ。
結局俺は魔物使いのようで魔物使いではないわけだからな。
ジェルとサクラも俺の色にダマされた被害者なのかもしれない……。
いったい俺の色とやらはどうなってるんだ?
……考えるまでもなくサービスだよな。
リリアンヌやマドラーナが敵意を向けないのもこの色のおかげなのか?
でもそれだとジャスミンたちとまで仲良くしてる理由が思い当たらない。
俺とアイリがいる空間では争いが起こせない設定か?
……アイリの色はどんな色なんだ?
以前クレアばあさんが俺とアイリのオーラがどうとか言ってた気がする。
騎士の一件もある。
アイリにもなにか特殊なサービスがあっても不思議ではないな。
「ねぇヤマト~?」
「うぉっ!?」
「ボクも早く寿司が食べたい」
腕組みをしている腕の上にいつのまにかサクラがいた。
すっかり考えこんでしまっていたな。
「じゃあ昼は寿司にするか」
「ホント? わーい」
……こんな小さな鳥が喋ってるのにはまだ慣れないな。
ジェルもそうだがサクラも普段のテンションは低いようだ。
まるでレファみたいだな。
「そういや魔剣は扱えるのか?」
「魔法みたいな感じではね」
「昨日やってた羽から出すやつか?」
「うん。あれ一本一本が魔剣みたいなもんだから」
凄くおそろしいことを言ってるよな?
魔剣が数十本飛んできたらとんでもないことにならないか?
あっ、だからカイザーはあの攻撃でボロボロになったのか……。
でもよくそんな状態で攻撃もしたよな。
「そうだ、外に行きたいんだったら行ってもいいんだぞ?」
「外は敵がいっぱいだからここのがいいや」
「敵? サクラに勝てる敵なんかいないだろ?」
「今はそうだけどさ。昨日までは全ての生物が敵だったんだよ?」
小さな鳥のサクラからしたらそう見えてたのか。
いくら強くなろうがそんな場所にはもう行きたくないと思っても仕方ない。
「ここは狭くないか? 木もないしさ」
「高さはないけど広さは満足してる。もう少しとまれる場所が欲しいけど」
やっぱり鳥なんだな。
止まり木でも設置してみるか。
久しぶりに神様に……いや、あとでドーラに頼んでみよう。
芝生があるんだから木も植えれるんじゃないか?
木のことはジャスミンのほうが詳しそうだな。
「水場もいるよな?」
「水道はいっぱいあるしそれは自分でなんとかするよ」
文鳥といったら水浴びだよな?
きれい好きなんだよな?
せっかくだから見てみたいじゃないか。
「もし気分転換したくなったらカイザーといっしょに外に行ってくるといい」
「うん。ありがとう」
「毎日牧草集めに外出てるからな。ジェルはダメだぞ」
「大丈夫。ジェルを危険にさらしたりはしないから安心して」
サクラの仕事はジェルを守ることだからな。
「わんっ!」
「にゃ~っ!」
「うん? どうした?」
ミルクとココアがなにかを訴えてきてる。
腹減ったのか?
「……魔剣が欲しいみたい」
「は?」
サクラが通訳してくれた。
魔剣が欲しい?
……サクラと同じように魔剣犬と魔剣猫になりたいってことか?




