第六十一話 魔剣鳥
レファによって無事に生成が成功した魔剣モンスター。
俺が要望した可愛い鳥と魔剣を配合して生成したらしい。
魔剣を取り込んでるだけあってやはり相当な強さとのこと。
もちろん俺にはわからないが。
さらにこのモンスター、倒されると金じゃなくて魔剣に変わるらしい。
闇ガチャ屋で大人気の商品になりそうだ。
だが生成に失敗したら魔剣が一本なくなってたかもしれない。
二本目以降は慎重に考えたほうがいいな。
そして今は格闘場で戦う準備を整えている最中だ。
仲間にできるかどうかを試すためにな。
こちら側の選手はまず魔物使いであるミア。
それに仲間モンスターのカイザーとクイーンとモッスンだ。
四対一で卑怯かもしれないが念には念を入れておかないと。
戦わない俺たちは観客席から見守ることしかできない。
ジェルは危ないからここで待機させることにした。
観客席は結界で守られてるからここにいれば大丈夫だ。
どんな姿なのかはまだレファ以外知らない。
わかってるのは鳥型魔剣モンスターということだけ。
どんな行動に出るかわからないからまだ会わせられないらしい。
要するにかなり危険かもしれないってことだ。
万が一の場合はレファにとめてもらう。
「こちらは準備OKです!」
ミア率いる仲間モンスター軍団はスタンバイが完了したようだ。
ミアは最後方の位置についている。
前方は真ん中にカイザー、右にモッスン、左にクイーンといった感じだ。
「レファ、じゃあ頼んだ」
「うん」
俺たちといっしょにいたレファが作業部屋に移動する。
そして間もなく、魔剣モンスターと共に姿を現す。
……え?
「どこにいるんだ?」
「……レファの手に乗ってるのがそうじゃない?」
……あれか。
小さすぎない?
どこが魔剣なんだ?
いや、それよりあの姿は……
「文鳥だ」
「ぶんちょう?」
「あぁ、まさに手乗り文鳥そのものだな」
「なにそれ?」
確かに小さいくて可愛い鳥とは言ったが……。
とても強そうには見えないな。
あの鳥はなんてモンスターなんだ?
とりあえず魔剣鳥とでも呼ぶか。
「ミア、いくよ?」
「どうぞ! みんな、小さいからって油断しちゃダメだからね!」
ミアが仲間モンスターに声をかける。
そしてレファの手から魔剣鳥が小さな翼を広げフワッと浮き上がる。
次の瞬間、魔剣鳥から羽……いや、剣のようなものが凄い勢いで放たれた。
それも数十本。
「よけて!」
「大丈夫だ!」
カイザーが大きな翼を広げ盾となる。
そして全ての攻撃を受けとめた。
「ぐぉっ……」
突き刺さった剣は跡形もなく消滅した。
カイザーはよろめいて地面に片膝をつく。
あの剣は魔法か?
魔剣の力と鳥の力が融合してああなったんだろうな。
カイザーのダメージはかなり深いように見える。
「モッスン! 自由に動かせちゃダメ!」
ミアの指示でモッスンが魔剣鳥に襲いかかる。
巨体の割に凄まじいスピードだ。
だが魔剣鳥は難なくかわす。
そして次の瞬間にはモッスンの頭上から脳天に急降下で体当たり。
凄い音と共に地面にヒビが入る。
モッスン……死んでないよな?
めり込んでしまってるじゃないか……。
そんなモッスンを気にすることなく、カイザーが魔剣鳥に襲いかかる。
しかし魔剣鳥は余裕で飛び上がってこれを回避。
これを見計らっていたクイーンが空中に向かって渾身の炎を吐く。
さすがにこれは直撃したようだ。
鳥だから炎には弱いんじゃないか?
……魔剣が火に弱いわけないな。
魔剣鳥は何事もなかったかのようにケロっとしてる。
仲間になってくれる気配なんか微塵も感じないな。
クイーンは愕然としているし、カイザーは満身創痍の状態。
モッスンはピクリとも動かない。
勝負ありか。
これを仲間にしようなんて到底無理だ。
「よし、そこまでだ! レファ、とめてくれ」
俺は立ち上がり、戦っている者たちに向けて声をかけた。
レファには魔剣鳥を引っ込めてくれるようにお願いした。
……はずだったんだが、嘘だろ?
魔剣鳥がこちらに向かってくる!
あの強さだと観客席の結界が破られてもおかしくない!
……ん?
だがさっきまでに比べたらとてもゆっくりな速度だ。
そのままどんどん近づいてくる。
まさかジェルが狙いか!?
俺は必死にジェルを後ろに隠す。
「レファ!」
そしてレファに向かって叫んだ。
だが、レファは動こうとしない。
なぜ魔剣鳥をとめてくれないんだ!?
魔剣鳥はすぐに俺の目の前まで来た。
「ねぇ、その子、キミの仲間なの?」
「は?」
女の子のような可愛い声だ。
ってそんなことはどうでもいい。
俺に話しかけてるのか?
攻撃してくるわけじゃないんだな?
「ジェルのことか?」
「ジェルって言うんだ。ふ~ん。ねぇ、ボクにも名前付けてよ」
「は?」
さっきまで戦ってた同じ鳥だとは思えないな。
それに近くで見ても小さい。
でもやっぱりこれ文鳥だよな?
昔に一度飼ってみたくなったことがあって調べた気がする。
「なんて種類のモンスターなんだ?」
「さぁ? 魔剣と鳥だから魔剣鳥ってところ?」
「そのまんまじゃないか。性別は?」
「メスだよ」
さっきボクって言ってなかったか?
まさかボクっ娘ってやつか?
「……ならサクラって名前はどうだ?」
「サクラか。きれいな音だね。うん。ありがとう」
体全体はグレーっぽい毛なのに胸のあたりの毛だけ白っぽい。
その白い部分がまるで花びらのように見えた。
かつてサクラをしてくれてたミアが視界に入ったこともあるが。
ミアは仲間モンスターが惨敗して凄く悔しそうだ。
今にも泣きそうになってる。
…………あれ?
モンスターの名前を俺が付けてもいいのか?
「これで確信した」
「え?」
いつのまにかレファが俺の隣にいた。
「なにを確信したんだ?」
「ジェルもこの子もヤマトが仲間にしたんだよ」
「へっ?」
俺が仲間にした?
ジェルもサクラも?
というかサクラはこちら側になってたの?
…………もしかして俺は魔物使いなのか?




