第六十話 魔剣がいっぱい
「全部で三本か……」
「はい……」
マドラーナに直接パンダから買い取りをしてくるように頼んだ。
もちろんサーラもいっしょに行ってもらった。
その結果、新たに魔剣が二本見つかったらしい。
サーラは帰ってくるなり汚れ落としの作業に入ったようだ。
俺は地下二階リビングでマドラーナと剣の扱いを相談しているところだ。
「家にあったのか?」
「はい。家といっても森の中にある洞窟ですが」
「剣はどこから持ってきたって?」
「最初からその洞窟にあったそうです」
「そこは元々誰か人が住んでいたのか?」
「住んでいた形跡はありましたね。だいぶ昔でしょうけど」
どんな人物が住んでいたんだろう?
魔剣三本と聖剣を所持。
なんらかの事情で洞窟に住む。
そしてそのまま洞窟で亡くなったのか?
もしくは洞窟は装備品を置くただの倉庫だったのか?
……勇者か?
それとも町を追い出された魔族か?
ただのコレクターってことはないだろうな。
ダメだ、考えてもわかるわけがない。
「そういやレファはなんて?」
「……ヤマト様に任せると」
「じゃあ魔剣をガチャ屋の商品にしてもいいか?」
「えっ!? ダメです! それだけはおやめください!」
冗談なのに。
そんなことしたら魔族との大戦争が始まりそうだ。
「ならどうすればいいんだ?」
「できれば私たちに譲っていただけないかと……」
「わかった」
「そうですよね…………えっ!? いいんですか!?」
「もちろん」
「ありがとうございます!」
そもそもパンダが持ってた物なんだからな。
ありがとうって言われるのは違う気がする。
しかもタダだったんだし。
「聖剣はダメだぞ?」
「はい。本当は粉々にしたいところですが……」
それをされちゃうと今の勇者は聖剣作りから始めないといけなくなるぞ。
こういうのは代々伝わっていくから伝説感があるんだろ。
「これをもらってどうする気なんだ?」
「魔王城に持っていきます」
「まぁそれが普通だよな」
魔剣は魔族が装備する物ってサーラやドーラも言ってたしな。
「普通ですか……」
「ん? だって魔族の所持してた物なんだろ?」
「そうですけれども……普通って言われますと……」
「……もしかして普通が嫌なのか?」
「だって普通ですよ?」
マドラーナがおかしい。
普通ってのは一番難しいことかもしれないのに。
「……なにか有効活用できるアイデアを考えてくれませんか?」
「え……」
俺に魔剣の面白い使い道を考えてほしいだと?
面白いとは言ってないがそういう意味だよな?
魔剣か、しかも三本。
「普通は誰が装備するんだ?」
「おそらく魔族四天王ですかね」
「魔族四天王……」
カッコいいじゃないか。
魔王直下の四天王って感じか?
四天王最弱はどんなヤツなんだろう。
その四人に争わせて勝った順に好きな武器を選ばせてもいいが。
でもそれじゃ普通か。
マドラーナは普通を望んじゃいない。
闇ガチャ屋に魔族専用の武器ガチャを設置するか?
魔族ってそんなに人口がいないんだっけ?
魔剣だし結局その四天王が引きにくるだけかもしれないな。
俺からしたら別にボスモンスターが引いてくれてもいいんだが。
でもきっと魔剣は特別なんだよな。
さらにレア感を高めるにはどうしたらいいかな。
といってもウチでできることは限られてる。
「魔剣四天王を作ろう」
「魔剣四天王!?」
「あぁ。レファに魔剣を取り込んだモンスターを生成してもらう」
「そんなことが可能なんですか!?」
「それは知らん」
「えぇ!?」
マドラーナが知らないことを俺が知るはずないだろ。
俺は生成現場を見たこともないのに。
「そしてできたモンスターをガチャの商品にする」
「えぇ!?」
「配下にできそうなボスはいるのか?」
「一度実物を見てみないことには……」
「そうか。あっ、やっぱり一体は俺がもらう」
「えぇ!?」
「ジェルの護衛が欲しかったんだ。ベビーだけじゃ不安だしな」
「……」
なんせジェルの耐久力はスライム並みなんだ。
誰かにぶつかっただけでも死ぬ可能性があるからな。
ベビーも仕事中はさすがにジェルの傍にはいれないし。
「で、どうだ? こんなんでいいのか?」
「魔剣のモンスターなんておそろしいことをよく思いつきますね……」
「カッコよさそうだろ?」
「はい……でもやはり三体ともこちらに」
「ん? ダメ?」
「いえ、なんでもありません……」
さすがに聖剣をモンスターにしたらマズいだろうからな。
ただでさえ色んなところから睨まれてるのに。
「レファはモンスター生成中か?」
「はい……」
「休みなのに大変だな。これも勇者のせいか」
「……モンスターや冒険者を活発化させてるのはヤマト様では」
「ん?」
「いえ! なんでもありません……」
ジェルの護衛は絶対条件だからすぐにでも生成してもらうか。
でもミアやクレアばあさんが仲間にできるかどうかはわからない。
カイザーやモッスンにも手伝ってもらうことになるか。
格闘場があるから場所を気にしなくていいのは楽だな。
「じゃあ隣行ってレファに聞いてきて」
「……はい」
マドラーナは隣の作業部屋に入っていった。
五分ほどしてレファが出てきた。
作業に一区切りがついたんだろう。
「本気?」
「ん? 反対なのか?」
「そういうわけじゃないけど。やったことないから」
「まぁ魔族の物なんだし、レファの好きなようにしてもらって構わないぞ」
「う~ん。成功すれば四天王に渡すよりは遥かに戦力が上がりそうだけど」
「じゃあ試しに一本だけでもやってみてくれ」
「わかった。どんなモンスターがいい?」
「可愛いくて小さいのだな」
「……もう少し具体的には?」
「鳥みたいなのがいいな」
「了解」
レファは作業部屋に戻っていった。
「……マドラーナ、魔剣をサーラのとこから持っていってやってくれ」
「はい。それはそうと一つお聞きしたいんですが……」
「なんだ?」
「四天王なんですよね? 一本足りなくないです?」
「いいんだよ細かいことは気にしなくて」
「えぇ……」
ヤツは最弱だから最初から存在してなくても問題ない。




