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闇ガチャ、異世界を席巻する  作者: 白井木蓮


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第五十五話 ミーティングは念入りに

 王女に疑いをかけられた日の営業前ミーティング。

 俺はクレア婆さんから聞いたガナッシュ王国の見解と、町中での王女とのいきさつを話した。


「あの王女がですか?」

「なにも考えていなさそうなツラにしか見えなかったけどな」

「人は見かけによらない」

「王女なんて消滅させちゃえばいいのよ!」

「お寿司が好きだというのも嘘かもしれませんね」


 みんなは王女の行動に驚いているようだ。

 アイリだけは黙って聞いている。

 自分のせいで俺が疑われることになったとでも思っているのかもしれない。


「てわけで今日もトルテばあさんは来るらしい」


 クレアばあさんから聞いたのは名前だけだ。

 だがアイリが王女から聞いた情報により色々わかっていることがある。

 別に隠す必要はないんだが言う必要もないからな。

 どうせなにもできないんだし。


 トルテばあさんとクレアばあさんは元パーティメンバー同士。

 しかも勇者パーティの一員だったそうだ。

 もう何十年も前の話らしいがな。


 そしてトルテばさんはティラミス王女の実の祖母でもある。

 現在の王様にとっては義理の母。

 王女の母親がトルテばあさんの娘だそうだ。


 まぁこんな情報なんの役にも立たないからどうでもいい。


「それと王女には俺が寡黙ではないことがバレてしまった」

「別に寡黙にしなくてもいいんじゃないでしょうか?」

「そうだぜ! アタイは明るい旦那のほうが好きだぜ!」

「寡黙にしてないと女が寄ってくるからダメ」

「裏表があるくらいがちょうどいいのよ!」

「私は寡黙なヤマト様も男気があって好きですよ?」


 みんな意見は様々のようだ。

 マドラーナも好意を持ってくれてるのが知れて少し嬉しい。

 それにしてもこんな話題で盛り上がれるなんて平和でいいな。


「ジャスミンとドーラは作業部屋へのドアに注意しててくれ。一応な」

「わかりました」

「任せろ!」

「蟻一匹入れさせません!」


 ベビーも見ててくれるんなら心強い。


「レファ、もし地下二階に来たら拘束な」

「うん、わかった」

「消しちゃダメだぞ?」

「大丈夫。たぶん」


 あくまで念のための確認だ。


「じゃあこの話はこれくらいにして、次は闇ガチャ屋の新パックだが」


 今日から新しいパックを発売する。

 しかも中級ボス向けの商品だ。

 今回のテーマは小動物。

 小動物といっても中級レベルだからそれなりに強いらしい。


「可愛いウサギもいるから冒険者受けを気にするボスたちも満足するはずだ」


 冒険者だってゴブリンみたいな敵と戦うより可愛いウサギと戦うほうがいいだろう。

 可愛すぎて倒せないかもしれないがな。

 だが倒せば銀貨三枚に変わる。

 ボスたちは戦力としてもエサとしても欲しがるだろう。


「中級ボスが来るから格闘場のモンスターランクも上がることになると思う」

「つまり冒険者もレベルの高い敵に挑戦できるというわけかい?」

「はい。昨日は最高でもDランクでしたからね」


 今日からはBランクやCランク設定されるモンスターも出てくることだろう。


「たださすがにまだ高ランクへ挑戦するような冒険者はいないと思いますけどね」


 中級ボスたちにはマドラーナたちが宣伝している。

 だが冒険者たちはまだ初級レベル程度しか来ないからな。

 だからおそらく中級ボスが登録してもマッチングすることはないだろう。

 中級レベルの冒険者に来てもらおうにも今のガチャの商品では弱すぎる。


「……私の仕事が重要になりますね」

「あぁ、サーラがいい物を買い取ってくれないとガチャ屋の商品がないからな」

「そうすると今日からさらに鍛冶や裁縫が忙しくなりますね……ふふふ」

「姉貴……あまりボロボロなのは修理するのやめような……」


 ガチャ屋の商品はサーラとドーラ姉妹にかかってるからな。

 中級レベルのボスともなればさぞかしいい商品を持ち込んでくるに違いない。


「ガチャ屋の新ガチャはたぶん来週以降だな」

「広告はどうしますか?」

「ジャスミンとドーラで文言を考えてみてくれ」

「わかりました」

「旦那、箱の商品も入れ替えか?」

「いや、ガチャレーンは別にするからその必要はない」


 現在アイリがガチャレーンを鋭意製作中だ。

 今度も武器と防具を分けるから新たに二レーン必要になる。

 寿司屋と寿司酒場の営業時間外はガチャ職人として大忙しだ。

 地下二階でも今日から新レーンが実装されるし。

 宝箱や卵も作ったりしないといけないからな。

 アイリの補助としてドーラもこれまた大忙し。

 サーラは魔族からの修理依頼の仕事もしているからさすがに手伝えない。

 ジャスミンは全員を担当するメイドだから色々気遣ってもっと大変かもしれない。


 本当にみんなよく働いてくれている。

 俺にできるのは美味い食事を作ってあげることだけだ。

 あとそれなりの給料をやることか。


 幸いにも全部の店で利益が出るようになってきた。

 ランチ営業がここまで好調だとは予想もしてなかったが。

 今まで夜来てた客も昼に顔出してくれるからありがたい。

 昼は冒険者が来ないから年齢層は一気に上がる。

 寿司は子供からお年寄りまで大好きなはずだからな。


「他になにか確認しておきたいことある人?」


 するとアイリが無言で手をあげた。

 ミーティングはまだ終わらない。

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