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闇ガチャ、異世界を席巻する  作者: 白井木蓮


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第四十九話 試合開始

「いらっしゃいませ!」

「うわっ!?」


 いきなりのベビーの登場に冒険者は驚いてる。


「あっ、大丈夫ですよ!? 私は仲間モンスターですので!」

「あ、あぁそうか。 魔物使いがいるんだったな……」

「ガチャ屋をご利用でしたら今までと同じでこちらにどうぞ!」

「お、おう。あの、格闘場はどこかな?」

「格闘場と寿司酒場はあちらの奥になります!」

「そ、そうかい。ありがとう」

「いえ! ごゆっくりお楽しみください!」

「……ドラゴンってこんなに小さいのもいるんだな」


 今日格闘場がオープンすることは数日前から酒場に広告を出して告知していた。


「おぉ!? これまでの倍以上に広くなってるな!」

「噂の寿司酒場ってのはどこにあるんだ!?」

「あちら下っていった先の奥になります!」

「え……あ、はい、ありがとう」

「いえ! ごゆっくりお楽しみください!」


 どの冒険者もベビーに驚いているようだ。

 さすがにベビーとはいえドラゴンは刺激が強いか?

 最初はスライムからにしたほうが良かったのかも。

 でも大きさはスライムとたいして変わらないからな。


 そんな入り口の様子を俺は寿司酒場のカウンターで見ている。

 まだ格闘場での試合が始まってないから静かなもんだ。


「あの、格闘場受付はこちらでよろしかったですか?」

「いらっしゃい。挑戦するのかい?」

「あ、はい。ソロなんですけど……」

「ふむ。あんたのランクはFだね。相手を選びな」


 クレアばあさんは冒険者にタブレット端末を渡す。


「おお!? 敵の構成や報酬まで見れるんですね!」

「あんたたちに有利なようになってるよ」

「これなら損はしなさそうだ! 試しにFランクのこの敵でお願いします!」

「あいよ。銀貨三枚だよ」

「あっ、じゃあこれで」


 地下一階格闘場の参加料金は敵ランクによって変動する。


 敵ランクごとの参加料金と報酬は以下の通り。

 Fランク:銀貨三枚、銀ガチャ券三枚

 Eランク:銀貨五枚、金ガチャ券一枚&銀ガチャ券二枚

 Dランク:銀貨十枚、金ガチャ券二枚&銀ガチャ券四枚

 Cランク:銀貨二十枚、金ガチャ券三枚&十連ガチャ券一枚

 Bランク:銀貨三十枚、虹ガチャ券一枚&金ガチャ券一枚&十連ガチャ券二枚

 Aランク:銀貨五十枚、虹ガチャ券二枚&金ガチャ券二枚&十連ガチャ券二枚


 ただし、自分より下のランクと戦う場合、参加料金は二倍になる。

 パーティの場合、参加料金は人数分必要だが報酬も人数分貰える。


 報酬のガチャ券は当日のみ使用可能。

 ラストエリクサーにならなくてすむな。


「ルールはわかってるかい?」

「はい! 広告を何度も見てきました!」

「偉いじゃないか。じゃあワシからの忠告は一つだけだ」

「……なんでしょうか?」

「死ぬ前にギブアップするんだよ」

「……はい」


 こわがらせとかないと無茶をするからな。

 ここでもモンスターが冒険者を殺さないと思ってしまってるんなら大きな間違いだ。

 って殺さないんだけどな。


 でも重傷を負う可能性はあるぞ。

 相手もギブアップさせようと必死なはずだからな


 モンスター側は呼び出しがかかるまでは自由行動なので時間がかかる場合もある。

 だが早くもモンスターは転移したようだ。

 しっかりシステムが働いてるじゃないか。


「相手はもうスタンバイしたよ。準備はいいかい?」

「はい! 勝ってきます!」

「じゃあそこの転移魔法陣で行ってきな。審判の合図で試合開始だ」


 冒険者は床の上の転移魔法陣に勢いよく乗る。


「おお!? 見ろよあれ!」

「すげぇ! デカい画面だな!」


 飲食エリアの両脇の大型モニターに格闘場の様子が映し出された。

 周りで様子見をしていた冒険者たちの視線がモニターに集まる。

 まだ注文は入りそうにないな。

 下も格闘場の観客席や飲食エリアのモニターが気になってるようだ。


 当初地下二階にはモニターを設置する予定はなかった。

 だがみんなの要望で設置することになったんだ。

 仕事中でも格闘場の様子が見たいという要望でな。


 まぁ見たいと思う気持ちは凄くわかる。

 俺なんか今まで仕事しながらずっとガチャの様子を見てきたんだからな。


 ここからも大きなモニターで格闘場の様子は見れる。

 しかし俺は格闘場以外の様子も見たいんだ。

 だから俺の目の前にはモニターが数多く並んでいる。

 地下一階と地下二階の様子を全て見れるようにな。

 もちろんカウンター内からしか見えないようにしてる。


「おい……あれ」

「目を合わせるな。死ぬぞ」


 観客席のボスたちがカイザーとモッスンの存在に気付いたようだ。

 だが誰もそれ以上はなにも言おうとしない。


 そろそろ試合が始まりそうだな。


「では冒険者ランクF対モンスターランクFの試合を始めます!」


 モンスター側はここで初めて相手のランクがわかる。


「ファイト!」

「うぉぉぉ! いけーっ!」


 後ろで指示を出すボスの声でモンスター二体が冒険者に襲いかかる。

 ボスもモンスターたちが転移するのと同時に後ろの柵付きの部屋に転移する仕様だ。

 この部屋からは声掛け以外の手出しができないように結界が張られている。


「三体といってもそのうち二体はただのゴブリン! 負けるわけがない!」


 冒険者も臆することなくモンスターを迎え撃つ。

 まずゴブリン一体を落としにかかるようだ。

 順調にダメージを与えている。


「よし、いける! ……え?」


 一体目のゴブリンを倒そうとしたそのとき、ゴブリンの体力が全回復した。


「くっ、ヒールスライムか。なら先にお前から!」


 回復役を先に倒すのは当然か。

 試合時間はたった五分だしな。


「えっ!? おい! 待てよ!」


 ヒールスライムは冒険者から逃げていく。

 そして冒険者の前には二体のゴブリンが立ちふさがる。

 ボスが指示してるんだろう。


「おいおい! 逃げなくても大丈夫だろ!」

「そんな冒険者やっちまえ!」


 観客席から野次が飛ぶ。

 やはり格闘場はこうじゃないとな。


「ならやっぱりゴブリンから倒すしかない!」


 冒険者はゴブリンを攻撃する。

 すると後ろから回復魔法が飛んできてゴブリンの体力が回復する。


「くそっ!」


 ゴブリンは雑魚キャラだが、ヒールスライムはワンランク上のモンスターだ。

 でもこの三体ではFランクにしかすぎないとマドラーナは判断したようだ。

 ゴブリンを一撃で倒せない冒険者がまだまだなんだろう。

 ボスが上手く組み合わせてFランクにしたとも言えるな。


「ピーッ! 試合終了です! モンスターの勝ち!」


 結局一体も倒せないまま時間切れとなった。


 そして選手たちはすぐさま元の場所に戻ってくる。

 勝ったボスにはマドラーナから報酬のガチャ券が渡されているようだ。

 銀貨五枚分得したからか凄く喜んでる。

 一体の犠牲も出なかったしな。


「もう一回お願いします!」

「待ちが多いから今日は諦めな」

「そんなぁ~」


 挑戦できる回数に決まりはないがまだの人を優先してあげたいからな。

 既に格闘場には次の選手がスタンバイ済みだ。


 おっと、俺にも仕事が来たようだ。

 雇う人数が大幅に増えた分、しっかり稼がないとな。

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