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闇ガチャ、異世界を席巻する  作者: 白井木蓮


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第五十話 忙しすぎる……

 なんだこの注文の量は……。

 肉に偏るかと思ったが寿司も多く出てるな。

 いつもより多めに仕入れたつもりだがこのままでは足りないかも。


「ヤマト! 私も料理なにか手伝おうか!?」

「いや、アイリは注文の管理を確実にしてくれ」

「大丈夫? 動きがいつもより数段早いよ? レベルアップしちゃうんじゃない?」

「それより下への転送も任せてもいいか? 間違えそうだ」

「わかった! それは全部私に任せてヤマトは作ることだけに専念して!」


 アイリは仲間モンスターたちへの指示も的確にやってくれているようだ。

 モンスターによる配膳は冒険者たちにも好評のように見える。


 地下二階では三姉妹末っ子のミントが姉二人を上手く動かしてくれている。

 姉二人はミントの指示通りにテーブルに運ぶだけだ。

 三姉妹だけあって連携は抜群だな。

 これなら俺は料理に集中できる。


 ランチ営業では今までの夜営業メニューのセットをそのまま出している。

 だがここの寿司酒場では寿司を二貫から注文可能にした。

 米がいらないという人のために刺身メニューも追加してある。


 そしてランチとの一番の違いは肉メニューだ。

 今までも寿司として一貫は肉寿司を出していたがそれとは全然違う。


 牛肉と羊はステーキ。

 豚肉はトンカツ。

 鶏肉は唐揚げ。


 本当はもっと色んなメニューを出したかった。

 部位や焼き方にも拘って提供したかったんだがみんなからとめられた。

 そんなに細かく分類されても注文するほうも悩むだけだってな。


 だからステーキは色んな部位が混ざっているカットステーキでの提供だ。

 唐揚げもモモ肉、胸肉、ささみだったりと様々だ。

 トンカツはヒレ肉が来たらラッキーだとでも思ってくれ。


 そんなわけで俺は握りに焼きに揚げ物にと大忙し。

 ガチャ屋と格闘場を見る余裕もないくらいにな。

 音だけは耳に入ってきている。


 意外だったのが下のボスたちも寿司を注文していることだ。

 肉ばかり食べると思ってたからな。

 リリアンヌとスライムたちが食べていることも影響しているかもしれないが。


 というかリリアンヌはどれだけ食べるんだ?

 さっきみんなでご飯食べたよな?

 でもしっかりお金を入れて注文をしているようだから文句は言えない……。

 スライムたちに奢ってあげて気前がいいじゃないかとさえ思ってしまう。

 俺の仕事は増えるけどな。


「ヤマト! あそこ見て!」


 なにか起こったのかとアイリの視線の先を見る。

 するとそこには知っている顔がいた。

 テーブルの端末でメニューを見ているようだ。


「……あの四人か」

「王様も来てるね」


 ガナッシュ王国の王様御一行だ。

 そういえば王女も久しぶりに見るな。


「リリアンヌやマドラーナからなにか聞いてるか?」

「う~ん、特には聞いてないけどね~」


 だとすると普通に食べにきただけか?

 上が閉まってたからこっちに来たのかもしれない。


 ……てことはないか。

 格闘場や魔物使いという文言に反応して来たんだろうな。

 数日前から広告を出してたからすぐ耳には入るはず。

 以前からガチャ屋を疑ってた人たちだ。

 そのガチャ屋が冒険者対モンスターの格闘場を始めると聞いたらそりゃ疑いは増すだろう。


 俺とアイリの視線に気付いたのか、王女が手を振ってくる。

 俺は寡黙だから無視だ。

 感じ悪いと思われてもいい。

 アイリは軽く会釈している。


 配膳はモンスターの仕事だからアイリが言葉を交わすこともない。

 ……と思ってたら王女が歩み寄ってきた。


「こんばんは! こちらでお店出されたんですね!」

「はい。こちらのオーナーから頼まれまして」


 アイリが対応してくれている。

 当然俺は無視だ。

 いや、本当に忙しくて話してる余裕がないんだ。


「ランチも始めたとお聞きして昨日来たんですけど閉まってて焦りましたよ~」

「昨日は定休日でしたもので。すみません」


 ドジな王女だな。

 でもこの世界で定休日なんてある店は珍しいから仕方ないか。


「それはそうと単品で注文できるようになったんですね!」

「えぇ、他にもメニューが増えましたからセットだと頼みづらいですからね」

「早速ブリをいっぱい頼んじゃいました!」


 ……確かにあのテーブルからブリの注文がいっぱい入ってるな。


「ではお忙しいようですので失礼します! 頑張ってください!」

「ありがとうございます。ごゆっくりどうぞ」


 王女は俺を見て微笑むとテーブルに戻っていった。


 ……それだけ?

 もっと聞きたいことがあるんじゃないのか?

 王女を見てると本当に寿司が食べたいだけのように思えるな。

 そうでなければわざわざランチに来たりしないだろうからな。


 まぁ自分たちの目で調査するってことか。

 もしかしたらあの騎士が選手として出場したりするのかもしれないな。


「目的はなんなのかな?」

「モンスターとの繋がりを探しに来たんだろう」

「無駄なのにね」

「あぁ。でも王女だけは違うみたいだな」

「うん。お寿司食べれるのが嬉しそう」

「ブリだけじゃなくサーモンも大量に注文が入ってるんだが……」

「ホントだ。それとヤマト、今日からはレファもここが見えてるからね?」

「あ、あぁ、そうだったな」


 今頃レファは自分の作業部屋でモンスター生成に励んでいるだろう。

 ガチャ屋や格闘場や寿司酒場が映るたくさんのモニターを見ながらな。

 少しでもみんなと同じ雰囲気を感じたかったのかもしれない。

 今までも今日も一人で作業部屋にいるわけだからな。


 それにしてもバレていたか。

 さっき王女のことを少しだが可愛いと思ってしまったことを……。

 レファにはデザートでも作っておこう。

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