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闇ガチャ、異世界を席巻する  作者: 白井木蓮


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第三十九話 格闘場は実現可能だろうか

 俺は新しい試みをしようとしている。

 それもガチャを活かすために必要なことだと思ったからだ。

 あくまでウチはガチャ中心でなくてはならない。


 そこでまず現在のウチのリソースを確認することにした。


 アイリはガチャ職人。

 ジャスミンはエルフで元冒険者でもあり、さらに魔法が得意とのこと。

 ドーラはドワーフで元冒険者、鍛冶や建築が得意。

 サーラはダークドワーフで鍛冶、裁縫、建築が得意。

 レファは魔族で魔王候補でモンスター生成が得意。

 リリアンヌはレファと同じ。

 マドラーナはレファの側近モンスター。

 ベルネッタはリリアンヌの下僕。


 うん、魔族側の勢力が強すぎる。

 それにガチャ屋を経営する上での必要な人材は完全に揃ってる。

 これ以上なにもしなくていいんじゃないか?


 でもそれだとアイリのドキドキワクワク感は満たせそうにないからな……。


 やはりモンスターを軸に考えたほうが楽そうだ。

 といっても勇者のせいでレファたちの仕事は増えてるからなぁ。


 一応格闘場のアイデアを再考してみるか。


 内容は至ってシンプル。

 冒険者対モンスターで試合を行う。

 勝利の報酬はガチャ券。

 どちらもガチャ券欲しさに死に物狂いで戦う。


 これだけ見ると簡単に実現できそうなんだけどな。

 でも考えれば考えるほど問題点が浮き彫りになってくる。


 まず場所だ。

 格闘場を地下二階に設置するのは簡単だが、問題はここが町の中であること。

 この世界では町の中にモンスターは入れないことになってるからな。

 そんなことをしたら即刻検挙されてしまう気がする。


 ……いや、待てよ。

 地下二階じゃなければいいのか。

 町の外に作ればなにも問題はないな。

 ウチの地下二階からだと転移魔法陣でどこにでも行けるはずだしな。

 ただモンスターがいる外だと危険が多すぎるか。

 それにさすがの神様も面倒を見てくれないかもしれない。

 とりあえず保留だな。


 次に誰が管理者になるのかだ。

 冒険者とモンスターをわざわざ格闘場で戦わせることができる人物なんているはずないからな。

 どうやっても魔族側との癒着を勘繰られてしまう。

 魔族を管理者にしたところで危険すぎて誰も近寄らないだろう。

 報酬をガチャ券にしたらガチャ屋が疑われるのは間違いない。

 

 ……モンスターを強制的に捕まえてきたって話なら大丈夫だろうか?

 ガチャ屋にいるのは元冒険者のエルフとドワーフだから筋は通る気もする。

 他に捕獲専門の強い冒険者がいてもおかしくないもんな。


 冒険者側としては場所の問題のほうが大きいか。

 魔族側としてはどんな問題がある?


 …………特に思いつかないな。

 モンスターたちからしたらなんでもありだと思う。

 レファとリリアンヌがいる以上文句の一つも出ないだろう。


 ただ勝ち負けの判定をどうしようか。

 冒険者側からすればモンスターを倒せば問題ないかもしれない。

 でもモンスターに冒険者を殺されるのは困るからな。

 

 となると審判のような存在が必要だな。

 魔族側ではこわがるだろうからこれは冒険者側の存在じゃないとダメだ。

 ここが一番問題かもしれない。

 モンスターが人間の言うことなんて聞いてたらおかしいからな。


 ……でも金や装備品が目的ってことは知れ渡ってきてるんだよな?

 勝ったら金をやるってことにしてると言ってむりやり納得してもらおうか。

 ガチャ券が報酬だということは絶対にバレてはいけないし。


 なんだかいけそうな気がしてきたぞ。

 一度問題点も含めみんなに相談してみようか。


「……というようなことを考えてるんだがどうかな?」


 ……みんな考え込んでいるのか?

 誰も反応を示さないな。

 単純にアイデアが面白くないってことかもしれない。


 そもそもガチャ屋が順調なのに格闘場をやる理由なんかないからな。

 みんなの負担が増えることにしかならないし。

 喜ぶのはアイリだけだ。


「酒場も併設したらどうでしょう?」

「酒とツマミがあったら盛り上がるな!」

「負けた冒険者から直接修理の依頼を受けつけるとかどうですか? ドーラがですが」

「ちょっと! 冒険者側だけじゃなくて魔族側にもなにか面白いの考えなさい!」

「魔族側にもなにか飲食店を出したいですね」

「それなら冒険者側と厨房は共通にしたらいいのではないでしょうか?」


 ……俺とアイリはなにも言えなかった。

 まさかみんながここまで乗り気になってくれるとは思ってもいなかったからな。

 今も俺たちより真剣に意見を出し合ってるではないか。


 ただレファだけは黙ったままだ。

 さすがに気になったので聞いてみることにした。


「レファ、どうかな?」

「うん、いいと思う。でもヤマトは大丈夫?」

「俺? なにが?」

「最近ずっと考え事ばかりしてたし、明らかに疲れてる」

「それはこの格闘場の案を考えてたからだな」

「お店が増えるともっと疲れるよ?」


 レファは俺の体のことを心配してくれてたのか。

 いつも思うがなんていい子なんだ。


「大丈夫だ。心配してくれてありがとな」

「本当に? アイリのためだから?」


 ここで「そうだ」と言ったらレファはどんな反応をするんだろうか。

 レファの悲しむ顔は見たくない。


「アイリのためというかガチャ屋のためだな」

「ガチャ屋のため?」

「あぁ。ガチャ券欲しさに冒険者もモンスターも格闘場に集まるからな」

「私も役に立てる?」

「というよりレファがいなければ全てが成り立たないじゃないか」

「そうなの?」

「レファがモンスター生成してくれるおかげでガチャ屋は経営できてるんだからな」

「なら良かった」

「今レファがいなくなったらガチャ屋どころか寿司屋も経営できなくなるぞ」

「それは困る。じゃあもっといっぱいモンスター作るね」

「頼むよ。俺はレファのために美味しいものいっぱい作るからな」


 レファがいなければ俺とアイリは路頭に迷ってたかもしれないな。

 寿司屋はもっと高い価格で客が来ず、ガチャ屋もろくな商品がなくて客が来ない。

 そうなっていたらアイリと二人で冒険者でもしてたんだろうか。

 いや、一人だった可能性もある。

 この異世界で寿司の技術しかない俺が一人で冒険者……。

 考えただけでゾッとする。


 まだみんなはワイワイ話し合ってるようだ。

 というか俺が課題にあげた問題点について誰も触れてないじゃないか。

 先にそこを片付けないと実現は難しいぞ。


「なぁ、まずは問題点について解決方法を考えてくれないか?」

「どこに問題があるんですか?」


 いやいや、なぜジャスミンはそんな平然とした顔で言えるんだ?

 問題ばかりじゃないか。

 俺の話を聞いてなかったのか?


「ヤマト、全部解決できるから大丈夫」


 レファだけはわかってくれてるようだ。


 ……ん?

 解決できるって言った?

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