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闇ガチャ、異世界を席巻する  作者: 白井木蓮


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第三十三話 危険な来客

「ヤマトさん! ヤマトさん!」

「…………ん? ……ジャスミンか」

「早く起きてください! マドラーナさんがお困りなんです!」

「うるさいなぁ何時だと思ってるんだよ」

「もう十三時です!」


 ……なら起きるか。

 こんなにうるさいのにこの二人はよく寝てられるな。


「今日の服はこちらでいいですか?」

「ん」


 ジャスミンはいつも服を用意してくれている。

 もちろんアイリとレファの分もだ。

 この家のメイドだからな。

 家事全般をこなしてくれるから大助かりだ。

 一家に一人はジャスミンが欲しいな。

 ……そんなに体をペタペタ触る必要はないと思うんだが。


「で、なんだって?」

「マドラーナさんがお客様を連れて来てるんです」

「マドラーナが? モンスターか?」

「それが……」

「どうした?」


 モンスターじゃないのか?

 ってことは魔族か?

 そもそもなぜレファじゃなくて俺が会う必要があるんだ?

 危なくないのか?


「俺が行って大丈夫なのか?」

「私もついて行きますし、マドラーナさんも守ってくれます」


 ……ヤバそうな雰囲気がプンプンしてるぞ?

 剣を装備していったほうがいいのだろうか。

 職業が寿司職人だと包丁しか装備できないなんてことはないよな?

 刃物全般は装備可能にしてくれてるよな?


 緊張しながら階段を下りていく。


「あっ旦那! ちょいと相談したいことがあるんだ!」


 地下一階にはドーラがいた。

 どうやら鍛冶をやっているようだ。

 仕事熱心でいいことだな。

 それより日中は冒険者の仕事をするんじゃなかったのか?


「今ちょっと急ぎの用があるからまた後でな」

「わかったぜ!」


 地下二階への階段を下りようとしたところでジャスミンが俺の前に立つ。


「ここからは私が先に」


 攻撃してくる危険があるってことだよな?

 俺、ヤバいんじゃないか?


 そして地下二階にやってきた。

 マドラーナと客人がテーブルに座っているようだ。

 俺を見るとすぐに二人が立ち上がった。

 ジャスミンは警戒を強める。


「ヤマト様、昼早くに申し訳ありません」

「いや、それはいいけど……そちらは?」


 魔族ではなさそうだな。

 ということは人型のモンスターか。

 マドラーナやベルネッタとは違って小さくて可愛らしいが。


「こちらは例の鍛冶職人の方です」

「例の……ってあのいつも頼んでた?」

「はい」

「てっきり魔族だと思ってたがモンスターだったのか」


 モンスターでも鍛冶ができるんだな。

 それならもっと早くレファに生成してもらえば良かったのかもしれない。

 というか女性がやってるなんて思ってもなかった。

 鍛冶師と言えば男のイメージだからな。


「いえ、モンスターではありません」

「えっ?」

「ダークドワーフです」


 ……あまりの驚きに声が出せなかった。


 えっと、俺の目の前にいるのがダークドワーフ?

 ダークってことは闇堕ちしたってことだよな?

 つまりドワーフと違ってかなり危険な存在なんだよな?


 ……ヤバくないか?

 でもなんで闇堕ちしたのに鍛冶職人なんてしてるんだ?

 人間たちを滅ぼすのが目的で闇堕ちしたんじゃないのか?


「ヤマト様、ジャスミンさん、ご安心を。とりあえず座りましょう」


 俺は無言のまま席に着く。

 いつもならジャスミンがお茶でも入れてくれるが今は俺の傍を離れることができない。

 だが向こう二人の前にはマグカップが置かれている。

 寝起きだからなにか水分が欲しいな。


 いや、そんなことよりこれはいったいどういう状況なんだ?

 もしかして鍛冶を断った腹いせに闇討ちか?

 闇堕ちしたから闇討ちくらいして当たり前なのか?

 闇討ちっていう割には堂々としてるな。


「あの……初めまして。私はサーラと申します」


 ずいぶん小さな声だな。

 もっと覇気を出して喋ってくれよ。

 そんなんでダークドワーフが勤まるのか?

 もうドワーフには戻れないんだろ?


 だけどドーラに比べると丁寧な口調だな。


「いつも修理をご依頼くださってありがとうございます」


 こちらこそいつもお世話になっております。

 ご丁寧にどうも。


 ……お礼だと?

 闇堕ちしたのにそんな感情あるのか?

 それとも油断させておいてブスって刺すやつか?

 よくも格安でこきつかってくれたなって感じなんだろうか。


「その……依頼をやめるという件についてなんですが」


 きたぞ。

 ジャスミンは警戒してか俺の傍にピッタリくっついてくる。

 ……いや、近いから。

 そんなにくっつかなくても。

 守ってくれようとしてるのは凄く伝わってくるからさ。


「もう一度考えなおしてもらえないでしょうか?」


 …………へっ?


 怒ってるんじゃないのか?

 格安でもやりたいっていうのか?

 もしかして他に仕事がないとか?

 この仕事がなくなることで露頭に迷うのか?

 魔族は鍛冶依頼しないのか?


「ヤマト様、申し訳ありません。彼女がどうしても直接お話したいと言うものですから……」


 マドラーナは悪くない。

 でも商売人としては失格だ。

 そこは情を持たないでほしかったな。


「いや、少し話を聞こう。ジャスミン、カフェラテを頼む」

「でも……」

「いいから。マドラーナがいるしな」


 ジャスミンは戸惑いながらも席を離れる。

 といってもすぐ近くに簡易キッチンがあるからな。

 手は動かしながらも視線だけはこちらを向いているようだ。


 さて、どうなることやら。

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