第二十九話 ガチャ屋仕様変更
すっかりアイリと前の世界のガチャについて話をしてしまっていた。
ジャスミンがここにいることを忘れて。
なにかヤバい発言はしてなかっただろうか……。
明らかにガチャゲーの中の話をしていただろうからな。
「もしかして闇ガチャ屋を他でもやってたんですか?」
闇ガチャ屋だと?
……そうか!
キャラをモンスターだと思ってくれたのか!
それならなんとか誤魔化せそうだ。
「あぁ。といってもやろうとしただけで実際にはやってない」
「なにか理由が?」
「売る相手を見つけられそうになかったからな」
「そうですよね。レファさんと知り合ったのは最近とおっしゃってましたもんね」
ふぅ~。
上手く誤魔化せたようだ。
「でもアイリさんはやってたと言いませんでしたか?」
誤魔化せてなかったか……。
さすがに鋭いな。
「私は前からレファと知り合いだからちょっとね」
アイリ、その発言は大丈夫なのか?
矛盾が生まれてこないか?
それにその表情は怪しくないか?
「……私にだって秘密の一つや二つありますからね」
そう言ってジャスミンは席を立った。
カフェラテのお替りを入れにいったようだ。
さすが空気を読める女だ。
俺と同い年だけある。
ジャスミンは俺たちの嘘に気付きながらそれを問いただそうとしてこない。
秘密ぐらいあって当然と思ってるんだろう。
神様からは転移のことを誰にも言ってはいけないとかは言われていない。
言っても誰も信じないだろうしな。
おそらく頭のおかしいやつと思われて終わりだ。
でもなにか秘密を握られてしまった感があるな。
「では続きに参りましょう。ビジュアルの話です」
席に戻ってきたジャスミンは話を元に戻してくれたようだ。
その笑顔が少しこわい。
あとでなにを要求されるんだろう……。
「そうね! でもごめんなさい。特に案はないの」
そうだろうな。
所詮市販されている装備品だ。
オリジナリティを出すことは難しい。
「ビジュアルは無理そうだから他を考えよう」
「うん。なんか変なこと言ってごめんね」
「いや、なにか別の要素が必要だってことはわかった」
ここまで出た意見を整理しよう。
まず、目玉商品の変更。
次に、不要な装備への対応。
そして、十連ガチャでの特典。
「目玉商品のランクを上げるか」
「価格はそのまま?」
「あぁ。その代わり確率は低めでいこう」
「どのくらい?」
「一%だ」
「一%!?」
目玉の装備品一つが一%ではない。
虹箱が出る確率が一%だ。
目玉商品が二つあれば確率はさらに二分の一になる。
「低すぎませんか?」
「虹箱には銀貨五十枚以上の商品を入れる」
「……なるほど」
鋼装備が無難なところか?
鋼の剣、大剣、槍、斧、他なんかあったかな。
防具は鎧、兜、籠手、ブーツ、盾って感じか?
なんだか戦士が装備しそうな物ばかりだな。
他の職業ってなにがあるんだ?
魔道士はテッパンとして、格闘家みたいな軽装の職もあるよな?
うん、種類多すぎ。
職の種類はわからないが防具の種類が多すぎる。
「武器と防具はガチャを別にしよう」
「……そうだね。それなら少しは目当ての物が当たりやすくなるもんね」
「それはいいと思います」
武器は他に杖や弓などもあるな。
防具はさらに分けたほうがいいかもしれない。
装備品も武器に比べたら防具は多いからな。
「防具ガチャなんだが」
「分けないほうがいいよ」
……言い終える前に否定された。
「なんでだ?」
「まだ早い。今はやってもピックアップでそれぞれ確率上げるくらいね」
なるほど。
鎧セットが出る確率やローブが出る確率を日によって変えたりするんだな。
部位ごとにピックアップなどもいいかもしれない。
「じゃあそれで行こう。ガチャレーンの追加はすぐできるんだよな?」
「うん。最近は仕事少なかったから予備はもうできてるの!」
「さすがだな。ジャスミンは少し大変だが箱の商品の入れ替えを頼む」
「はい。それより虹箱の商品はどうするんですか?」
「今日下には新しいボスがいっぱい来ててな。たぶんそいつらが持ち込んでるはず」
「わかりました。あとで確認しておきます」
とりあえず目玉商品の変更の件はこれくらいだな。
武器と防具でのガチャレーン分けもすぐできそうだし。
「じゃあ次、ガチャで出る不要な装備をどうするかについて」
「ここで買い取るしかないんじゃない?」
やっぱりそれしかないか。
問題は相場だな。
「武器屋とか防具屋だといくらで買い取ってもらえるんだ?」
「新品だと半額、中古だと一割ってところじゃないですかね」
新品だと半額ってのは安いのか?
例えばウチの銅の剣を持っていったらどっちの扱いになるんだ?
新品同様だと中古になるよな。
いくら鍛冶屋で新品みたいに直したところで中古に決まってるか。
業者ならまだしも、新品の武器を一回も使わずに売るケースが思いつかない。
ゲームだと宝箱に入ってたりするんだけどな。
というかゲームでは店に売るときに新品も中古もなかったよな。
「汎用品の場合、買い叩かれて結局中古とみなされる場合が多いです」
ジャスミンはなんでも知ってるな。
さすがこの世界で三十年生きてるだけある。
……言葉にしてないし、冗談だから睨まないで。
「ならウチで二割で買い取ろう」
「無難なところね」
「いいと思います」
少し捻りが足りないか?
これだと在庫が減らないのは問題か。
「交換所も設けようか」
「交換所?」
「あぁ。同じレートなら好きな装備品と交換できるってのはどうだ?」
「……ありかも。でも虹箱もそうするの?」
「いや、銀箱以下にしようと思う」
「それならいいね!」
明日からは皮装備や銅装備が銀箱に入ることになる。
どれも銀貨五枚相当の商品だ。
これらを買取する場合は二割の銀貨一枚で買取をする。
例えば皮のローブが当たったが銅の兜が欲しかった場合などは無条件で交換できるようにする。
換金したり交換したりとなんだかパチンコ屋みたいになってきたな。
元々似たようなもんか。
「凄くいいアイデアだと思うのですが、私が全部やるのでしょうか?」
……さすがに無理だよな。
ジャスミンには案内係の仕事もある。
「もう一人雇おう」
「それしかないね」
「明日酒場に行って求人依頼出してくるよ」
もちろん女性限定でな。




