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闇ガチャ、異世界を席巻する  作者: 白井木蓮


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第二十八話 ガチャ屋の問題点

 ガチャ屋の現状を分析することにした。

 こうした会議っぽいのは久しぶりだな。

 前の世界では嫌というほどやっていたのに。


 参加者は俺、アイリ、ジャスミンの三人。

 場所は地下一階の作業部屋だ。


「では会議を始める」

「はぁ~い」

「あっ、カフェラテ入れてきますね」


 ……なんて緊張感のない奴らなんだ。

 上司からのお説教間違いなしだぞ?

 この世界で良かったな。

 ちょうどカフェラテが飲みたかったところだ。


 ジャスミンが三人分のカフェラテを準備するのを待ち、会議を再開する。


「今日は十人くらいだっけ?」

「はい。合計百五十連ですね」


 ということは銀貨百五十枚か。

 やはり微妙だな。


 せめて寿司屋の売り上げは超えてもらわないと。

 ちなみに今日の寿司屋は銀貨二百五十枚の売り上げだ。

 赤字だがな。


 やはり価格が安すぎるんだろうな。

 一番人気の竹セットは銀貨五枚。

 松セットでも銀貨七枚。

 原価率は約七十%だ。

 良心的な店を目指してるからな。


 まぁ俺たちの食事も店用に仕入れた食材の一部を使ってるしな。

 特に営業終了後の食事は余った食材を使い切りたいから結構豪勢なものになるし。

 それがみんなには好評だ。


 って話が逸れすぎた。

 アイリとジャスミンは俺待ちをしているようだ。


「商品の在庫状況はどうだ?」

「日に日に増えていってますね」


 それはマズいな。

 買取してる数のほうが多いってことだからな。


 このままではガチャ屋じゃなくて武器屋と防具屋をやらなければいけなくなる。

 それじゃあ普通すぎるからな。

 いっそのこと余剰分は店に売ってしまうか?

 でも価格は叩かれそうだな。


「ヤマト、それをガチャでどうにかするための会議なんだよね?」


 そうだった。

 店に売ってしまってはただの仲買業者になってしまう。

 ガチャでどうにかしなければ俺たちも楽しめないではないか。

 それにアイリがガチャ職人になってしまった意味がなくなる。


「そうだな。まず問題点を洗い出していこう」

「やっぱり目玉商品が弱いと思うの」

「それはあるな」


 現在の目玉商品は鉄装備や初級魔法が発動できる杖だ。

 銀貨で十五枚~二十枚だから悪くはないと思うんだが。

 当たらなかったときのことを考えると店で買ったほうがいいとなるかもしれない。


「同じ装備品はいらないよね」

「なるほど」


 持ってる装備品はいらないし、下のランクの装備品などいらない。

 鉄装備を狙って皮や銅装備が当たると、誰かにあげるか売るしかなくなる。

 売るとなると店での販売価格より当然安くなる。


 俺たちは金箱に入ってる商品は銀貨五枚相当と考えていた。

 実際に武器屋や防具屋ではその価格で売られているからな。

 だが冒険者からすればもっと下の価格と考えている可能性が高いのか。


「十連ガチャと単ガチャの違いが欲しいですね」

「ふむ」


 やはりそうか。

 十連なら金箱一つ以上確定とかにしたほうがいいかもな。

 前にやった十連につき単ガチャ一回無料キャンペーンを復活させるか?


「他にはないか?」

「う~ん、なんか今一つ物足りないんだよね~」

「物足りない? 演出か?」

「演出はこのままでもいいと思うの。なんていうんだろう……」


 アイリによるとどのガチャゲーも途中から大幅に演出が変わるようなことはあまりなかったらしい。

 俺が知ってるのも演出が少し増えたりすることはあっても基本は変わらなかった。


 演出は問題ないとするとなにが物足りないんだろう?

 アイリはどんな要素にハマっていたんだ?


 するとアイリはなにか閃いたように目と口を開いた。


「そうだ! ビジュアル的な魅力がないんだ!」

「ビジュアル?」

「うん! 強いのはもちろんだけどビジュアル的な要素も必要なの!」


 見た目ってことだよな?

 カッコいい武器や防具じゃないとダメってことか?


「実は私ね、装備品をガチャにしたものはあまり好きじゃなかったの」


 ……結構重要なことじゃないかそれ。

 俺は最初に武器と防具を商品にするって言ったはずだ。

 その時点で断ることもできたはずなのに。


 ということはアイリはガチャが引きたいんじゃなくて本気でガチャ職人になってくれようとしたのか。


「内容が面白そうでも武器ガチャって知るとうんざりしてしまうの」


 正直気持ちはわかる。

 俺も同じだったからな。


 せっかく最高レアの演出が来てもそこから防具が出たときは苛立ちさえ覚える。

 武器が出たあとならいいんだが最初に防具はダメだ。

 集める種類も多いから廃課金にしかコンプリートは無理だし。


 最新の武器が強すぎて古い武器が当たったときもイライラする。

 それに武器には脈絡のない技がむりやりついてるし。

 武器というよりも攻撃力や技の強さしか見ないようになるしな。


 これらを考えるとゲンナリしてしまってやる気がなくなるんだ。

 題材はとてもいいゲームでもな。

 でもこの世界は現実なんだし、武器も防具も同じくらい重要だと俺は考えている。


「で、それがビジュアルとどう関係あるんだ?」

「武器や防具って無機質じゃない?」

「まぁそうだな」

「私がやってたガチャはキャラが商品だったの」


 ……そういうことか。


 キャラには個性があって能力もそれぞれ違う。

 種族や体型も様々だ。

 さらにバージョン違いで衣装が新しくなったり、強くなって再登場したりする。

 好きなキャラだったら引きたくなって当然だ。


 要するにキャラの魅力がガチャを引かせているのか。

 もちろん強いことが前提になるけど。


 それを装備品でやるのは難しいな。

 だってただの装備品なんだからな。


「ここではそれは無理じゃないか?」

「わかってる。ここでは武器や防具しかガチャにできないし」


 そういうものだと割り切ってるのか。


 でもじゃあどうすればいいんだ?

 武器や防具にそのビジュアル要素とやらを入れれるのか?

 技をつけたりはさすがにできないだろうからな。


「あの、ここに来る以前にもガチャ屋をやってたんですか?」

「えっ?」


 …………ヤバいな。

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