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第9話 琥珀の砂時計

「ワタクシ、画家になるのだ。なりたいのだ」

藤子作加は、高らかに笑った。

「もう、今年で30歳になるけどな。絵が、全く上手くならないんだけどな」

ガハハハハッ

ガハハ…

笑い疲れて、しゃがみ込む。

それを見ていた、藤子作加の父は、低い声で言った。


『駄目だ』


お前は、都議員になれ。

これから、トーキョーの時の流れが止まる。

錬金術技術者が、不死鳥の研究を完了して、“琥珀の砂時計”を完成させた。

夢など、追うな。

手の届かないことは、やめろ。

お前の教育に、いくら使ったと思ってるんだ。

絵の下手な、お前が、画家になれるわけが無い。

頭が、おかしいのか。

「で、でも、夢は持ちたい…」


『無理だ』


「…はい。お父さん。ワタシ、都議員になります」

それで良い。藤子作加の父は、息子の頭をなでた。

「サッカさん…、いいのですか?夢をあきらめるのですか?」

「ヒトリ、黙れ。お前が、夢、夢、うるさくするから。お父さんに心配かけたじゃないか」

「サッカさん…」

「黙れ、メスドリ!お前なんか、ずっと眠っていればいいんだ。永遠に、眠ってろ。ばーか!」


第9話 琥珀の砂時計


エレベーターが降りていく。

トーキョー都庁の地下に、秘密の錬金術研究所があった。

錬金術とは、そもそも、金を生み出す研究を指す。

しかし、トーキョーの錬金術は、国民の永遠を目指す、究極の研究だった。

それは、月に、トーキョーに、不死鳥が実在したことからはじまった。

不死鳥とは、文字通り、不死=死なない鳥である。

伝説の存在は、月に、ずっと住んでいた。

それは、人間の女の娘の姿をしていた。

それを、捕らえて、研究材料とした。

そして、永遠が見つかった。

月の地下に、隠されていた。“琥珀の砂時計”。

その流れが、時を操っていた…。


カチカチカチカチッ


巨大なのっぽの砂時計の周りで、たくさんの歯車が動いていた。

砂時計は、上に、全ての金色の砂が固まったまま、止まっていた。

中央には、大きな琥珀のような宝石が取り付けられていて、中に、エメラルド色の長い髪を二つ結いしたトリが、直立不動で深く眠っていた。

「トトリに似ている…」

重い雰囲気に圧倒されながらも、すばるはつぶやいた。

「トトリちゃんなんじゃないの〜ん?」

シロイモは、すばるにしがみつく。

「髪型が違う、別のトリだよーん。きっとーん」


「…学生さんたち。それは、私の姉・ヒトリです」

優雅なフリルのドレスコードに身を包んだ、トトリが現れた。

「…トトリ!」

「トトリちゃーん!」

「トトリちゃ〜ん!」

すばるたちは、トトリに駆け寄る。

何のケガも無く、無事なようだ。

「一緒に、帰ろ…」

「学生さん、聞いてください」

トトリは、自身が、不死鳥であること。

琥珀の砂時計の力で、トーキョーの時の流れが止まっていること。

琥珀の宝石に、不死鳥の姉・ヒトリが眠りについていることを話した。

「…そんな難しいこと、学生のオレたちには、わからない。とにかく、一緒に帰ろう」

「そうだよーん。トトリちゃーん」

「トトリちゃんと、もっと仲良くなりたいわ〜ん」

「…ごめんなさい!学生さんたち。私、一緒に帰れません」

「え…?」

すばると、城田兄妹は、顔を見合わせる。

頼みがあると言って、トトリは頭を下げた。

「私、これから、サッカさんを説得します。手伝ってください」

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