第8話 サッカの世界
月曜日。
学校を、休んだ。
マットの上で横たわるすばるは、呆然と、天井を見上げていた。
トトリが、いなくなった。
心の中に、ぽっかりと、穴の空いた気分だった。
「トトリのおかげで、良い写真が撮れたのに。何で、いきなり、いなくなったんだ」
わからない。
サングラスの黒服集団なんて、ドラマでしか見たことが無い。
何なんだよ。
せっかく、仲良くなってきたのに。
可愛いから、ずっと一緒にいたかったのに。
何だよ。
アレ。
大人なのかよ。
オレは、やっぱり、子供なのか。
ただの学生か。
わからないんだよ。
もう、56歳なんだぞ。
ピロリン
スマホにメールが来た。
何だろう。
『トーキョー都庁にお越しください』
は?
『お外に、トーキョータクシーを用意しました』
外に出ると、アパートのすぐ近くにトーキョータクシーが止まっていた。
第8話 サッカの世界
トーキョー都心。
都庁は、大きく、存在した。
トーキョータクシーから、すばる、城田兄妹が降りる。
シロアニ&シロイモも、今日の学校を休んでいた。
同じメールを、もらっていた。
トーキョー都庁の中へ入る。
巨大な玄関。
壁中には、巨大な絵画が、所せましと飾られていた。
モナ・リザの写しのようなものもある。
よく見ると、他の絵画全体が、有名画家の作品の写しのようだった。
「…よく来てくれましたな。学生諸君」
トーキョーの都知事・藤子作加が、すばるたちを待っていた。
茶髪のボサボサ頭からは、穏やかな眼差し。口元には、優しい笑みがある。
絵画は、全て、都知事の寄贈したものだと言う。
「学生諸君。ワタシのことは、サッカと呼んでくれたまえ。学生時代のあだ名なのだ」
「サッカ…さん、か?」
「そうそう、それで良い」
都知事=サッカは、何度もうなずく。
絵画は、学生時代から集めていて、この巨大玄関に飾られている他にも、自宅の豪邸や別荘に、コレクションがたくさんあるらしい。
「絵画は良い。描くのは難しいが、完成品を買えば、これだけ華やかになる。お金に、不自由したことは無いのでね」
サッカの家は、代々、都議員であった。
お金が、途絶えたことは無い。
トーキョーの時の流れが止まった時、サッカは30歳だった。
40年経った現在は、70歳。
「学生諸君は、写真家になる夢だけ持っているのだったな。トトリから、聞いたよ」
「…トトリ?」
すばるたちは、同時に反応する。
トトリは、どこに行ったのだろうか?
「どこだ。トトリは…?」
「どこだよーん…?」
「どこよ〜ん…?」
疑問を聞いて、「落ち着きたまえ」と、サッカは言った。
「トトリは、都庁の地下にいる。トーキョーの時を止めた、不死鳥としてね」
「不死鳥…?」




