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第2話 夢がある

トーキョーは、永遠の都市。

変わらない暮らし。穏やかな日常。健やかなる子供たちの育成。

全てが、約束されている。

トーキョーには、国鳥がいる。

それが、トリだ。

トーキョーの唯一の動物。

他の動物は、全て、いない。

植物はある。

食肉や、卵等の、動物の食材は、全て錬金術機械加工で生成されている。

国民の人間と、国鳥のトリ。

それだけで、世界が回る。トーキョーの世界。

国民は、何不自由も無く、暮らしていく。


第2話 夢がある


スマホのカメラを天井に向けた。

白い天井と、部屋のライトが映る。

今度は、窓の外に向けた。

窓枠の向こうには、朝日に包まれた街並みが、映る。

朝の街並みは、薄く綺麗で、はかなさを思い立たされると、すばるは思っていた。

自分の手にある、スマホカメラが、すばるは好きだった。

「…すみません。学生さん。朝早く起こしてしまいました」

声のする方に目線を向けると、昨日買ったトリが、台所の水洗いをしていた。

トリのフリルたくさんのお洋服は、多少、濡れていた。

「洋服、いいのか?濡れてるけど」

「大丈夫です。学生さん。あとで、乾かします」

いや、良く無いだろう、と。すばるは、玄関の外へ。

そのまま、隣の部屋のチャイムを鳴らす。


ピンポーン


隣の部屋には、友人の城田兄妹が、住んでいる。

すばるは、城田妹のお洋服を数着、貸してもらう。

「これに、着替えてくれ」

質素なシャツとスカートを、トリに渡す。

「学生さん…。良いんですか?」

「良い。隣の部屋の城田兄妹は、ずっと仲の良い友人関係だから。遠慮なく着てくれ」

ちなみに、城田兄妹は、朝早くに弱いので、まだ夢の中だ。

「あ、ありがとうございます」

トリが着替えるのを、すばるは玄関の外で待った。

「学生さん…」と、声がしたので、中に入る。

質素な白シャツと紺色スカートの姿は、可憐だった。

「…可愛い」

「え?…」

ごく普通の女の娘が、タイプのすばるは、思わず、スマホカメラをトリに向けた。


カシャ


すぐに写真を撮る。

すばるは、写真が綺麗に撮れているか、すぐチェックした。

すばる的には、良い感じだ。

「オレには、夢があるんだ。写真家になりたかったんだ」

「夢…?学生さん、年齢を聞いても良いですか?」

「オレは、今、56歳。40年以上学生やってる」

トーキョーでは、子供たちは、ずっと学生のままだ。

夢を持っても、バイト以外の職業には、つけない。

「このトーキョーは、40年前から、時の流れが止まったよな。子供は学生のままだ」

すばるは、若々しい少年の姿をした56歳だった。

夢を追いかける青春時代の16歳の時、トーキョーの国民は、全て、歳を取らなくなった。

すばるは、それを心底感謝している。

歳を取らなくなったことを困る国民などいない。

両親は、いつまでも歳を取らないし。

子供は、いつまでも学生でいられるし。

唯一、困るのが、子供が、なりたい職業の夢を持つこと。

学生は、アルバイトだけできる。

それで、良いのだ。

目当ての職業になれる子供なんて、多くないだろう。

すばるだって、カメラが好きだが、才能が無い。

ずっと、学生のまま、勉強し続けて、友人と遊んで過ごす。

なりたい職業になれないで、大人になって絶望するだけなんて、惨めだ。

絶対、不幸だ。

「今日は、土曜日だから、学校は休みだ。あとで、トリに、友人の城田兄妹を紹介しよう」

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