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第11話 暴走、40年

サッカさん、大好き。

私は、永遠を生きてきた不死鳥です。

月の片隅で、ずっと、隠れて生きてきました。

貴方のような、夢をあきらめない、男の人、好きです。

トリだって、恋をするんですよ?

貴方に会えて良かった。

私、貴方の住むトーキョーを、良くしたい。

永遠の世界に、してあげましょうか。

そうすれば、私とサッカさん。

二人で、ずっと一緒にいられますよね。

夢をずっと、追いかけられますよね。

永遠って、簡単なんですよ。

琥珀の神様に祈って、お願いするだけ。


“永遠に一緒にいられますように”


琥珀の砂時計が止まって、永遠になります。

私とサッカさんは、永遠の恋人同士。

…うれしい。


第11話 暴走、40年


「こっの、メスドリが!また、暴走しやがりましたなあ!」

「都知事。火力発電数値、さらに上がってます」

「ああ、不死鳥は、火の鳥ですものなあ。すぐ、男と燃え上がる、メスドリですからねえ!」

バカメスドリ!と、連呼して、サッカは、両手のこぶしを固く握りしめる。


ギシッギシッギシッ


たくさんの歯車が、熱を持ちながら、まわっていく。

いつの間にか、大変なことになったのは、すばるたちにも、わかった。

「トーキョー都庁の地下で、火力発電なんてしてるんだな」

「姉が、暴走するのは、40年前から、ずっとなんです」

「ずっと?暴走してるのか?」

「…はい」

つまり、トーキョー都庁の地下では、40年間、ずっと火力暴走が繰り返されてきたのである。

トーキョーの安定は、結構、ぎりぎりで保たれてきたのかもしれない。

急いで、システム復旧作業に追われる錬金術技術者たち。

全員、慌てている。

大人たちが、慌てるのは、余程のことだ。


「…トトリ。あのメスドリに声がけしてくれませんかね。いつも通り、妹の声がけで、暴走を止めてほしいのですが」

サッカが、トトリのすぐ目の前に、来る。

それを、にらみ返したトトリは、「サッカさんが、声がけしてください」と、言う。

「…ワタクシが、声がけ?しませんよ」

「サッカさんが、姉を許してあげるだけで良いんです。それだけなんです」

「何がでしょうか?学生諸君は、わかりますか?」

都知事に目線を向けられて、すばると城田兄妹は、首をかしげる。

「わからない」

「ですよねえ。メスドリのことなんて、わかりませんよねえ」

「学生さん。サッカさんを、説得してほしいです。姉に、一言。『許す』と言わせてください」

トトリは、すばるにしがみつく。

「…『許す』なんて言葉、誰でも簡単に言えるんじゃないのか?サッカさんは、トーキョー都知事で、偉い大人なんだぞ」

それを聞いたサッカは、「うんうん」と、うなずきながら。

「そうですねえ。言えますよ。『ヒトリを許す』」


コトッ…


巨大な琥珀の砂時計が、真紅から、元の金色に戻る。

琥珀の宝石の火力発電数値が、正常化する。

「は…?」

サッカは、呆気に取られながら、琥珀の宝石に目線を向ける。

琥珀の宝石の中の、女の娘は、穏やかに、深く眠っている。心なしか、笑顔の表情が重なる。


「サッカさん、好きですよ…」


サッカの耳に、懐かしい声がする。

可愛い声だ。

昔、好きだった。女の娘の声だ。

「幻聴が聞こえましたよ!」

慌てて、琥珀の宝石から、目をそらすサッカ。


「…良かったです」

「何だ?」

「これだけで、良いんです。学生さん、ありがとうございます」

トトリは、すばるの両手を取り、見上げた。

「この都市には、永遠の時間があるから。恋人たちは、ゆっくり仲直りすることができるんですよ」

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