表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

75/77

第74話

夕焼けの赤が、戦場を染めている。


ラビィはゆっくりとロランの元へ歩み寄る。


距離、十歩。


五歩。


そして、止まる。


互いの呼吸が聞こえる距離。


ラビィはナイフを強く握った。


次の瞬間、切っ先がぼうっと紅く灯る。


炎が刃を包み込み、揺らめいた。


「出たね。元トッププレイヤー……ラビィの炎月刀えんげつとう


ロランが低く呟く。


彼もまた、槍を強く握り込む。


蒼い穂先が、きしむような音とともに白く曇る。


瞬く間に氷が形成され、透き通る結晶が夕陽を反射した。


「綺麗だよね。その槍。私大好きだよ、ロラン」


ラビィは素直に言う。


ロランは一瞬目を細めた。


「ありがとうラビィ。僕も大好きだ……」


少し間があって、ふっと笑う。


「その戦い方」


ラビィが軽く息を吐く。


「構えよ」


ロランが槍を低く構える。


――同時に、地を蹴った。


「ハアッ!」


ロランの突きが連続で放たれる。


速い。


鋭い。


氷を纏った穂先が空気を裂く。


ラビィは一歩も引かない。


ナイフでそっと軌道を逸らす。


最小限の動き。


火花と氷片が散る。


突き終わりのわずかな硬直。


そこへ――


ラビィが踏み込む。


間合いは、彼女の距離。


「ヤアッ!」


高速の斬撃。


炎が弧を描き、舞い踊る。


だが。


ロランは紙一重で躱す。


頬をかすめる炎。


足運びが美しい。


「すごいねロラン!」


ラビィが笑う。


「ラビィの動き……全部知ってるから」


ロランも笑顔で返す。


「なんか恥ずかしいな……」


そう言いながらも、ラビィの目は鋭い。


「これはどう?」


炎が一瞬、闇に呑まれる。


闇兎やみうさぎ!」


黒い影が刃を覆い隠す。


次の瞬間、闇の閃光が一直線にロランへ走った。


「ガキンッ……!」


槍の柄で受け止める。


衝撃で氷が砕け散る。


だがロランは崩れない。


ラビィが口角を上げる。


「からの〜」


ロランがすぐに言う。


跳兎とびうさぎ! でしょ?」


二人同時に跳躍。


空中で視線が交わる。


ロランは槍を回転させ、柄でラビィの腹部を打つ。


ドンッ。


ラビィは後方へ弾き飛ばされる。


だが体勢は崩れない。


同時に着地。


砂煙が上がる。


静寂。


「参ったね……」


ラビィがニヤリと笑う。


「またまた。まだこんなもんじゃないでしょ?」


ロランも微笑み返す。


炎と氷。


夕暮れの中央で、再び構え直す二人。


本気は――


まだ、ここからだ。

ここまでお読み下さり本当にありがとうございました。


《ブックマーク》や《評価》を頂けると大変励みになります!


更新は毎日致しますが、2話更新に変更致します。


平日:7時頃、19時頃の1日2話

土、日、祝:12時頃、20時頃の1日2話

です。


また、前作《月の兎、時代を駆ける~目指すはフルダイブ型MMORPG無双~》はこの作品の過去のお話となっておりますので宜しければ、そちらの方もよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ