第71話
風を裂く音。
ヒュヒュン――ッ!
ユイの矢が一直線に飛び、ラビィを追っていたプレイヤー二人の胸を射抜く。
「うっ……!」
「ぐはっ……」
光の粒子が弾ける。
ほぼ同時に、ラビィも反転。
ナイフが閃く。
「そっちは任せて!」
素早い三連撃で、ユイを追っていたプレイヤーを斬り伏せる。
「ラビィ!こっちあと二人だよ!」
後方からユイの声。
「ユイちゃんを追って来てたほうは三人倒したから……こっちもあと二人!」
背中合わせになりながら、二人は周囲を確認する。
残る四人が、じりじりと距離を詰める。
そのとき。
「ラビィ、久しぶりにアレやってみる?」
ユイが、いつもの悪戯っぽい顔をした。
「ん?……ああ、アレね」
ラビィの目が細まる。
「良いけど、ブランク大丈夫?」
「大丈夫!……だと思う!」
自信半分の笑顔。
「ホントかな……」
ラビィは小さくため息をつく。
けれど、頷いた。
「じゃあ……行くよ」
ユイも無言で頷く。
ラビィが地を蹴る。
一直線に敵へ突進。
「来るぞ!」
相手プレイヤーが武器を構える。
接敵――その直前。
ラビィの身体が横へ弾けるように飛んだ。
次の瞬間。
ヒュオッ!
背後から放たれた矢が、ラビィのいた軌道をなぞるように一直線に走る。
「グハッ!」
二人同時に貫通。
完璧なタイミング。
息の合った連携により残るは二人。
――だが。
「ごめん、ラビィ……あとはお願い」
振り向いた瞬間。
ユイの身体が光に包まれていた。
矢を放った直後、死角からの一撃。
HPが尽きていた。
「え……」
粒子となって消えていくユイ。
「もう……だからブランク大丈夫?って言ったのに〜」
呆れたように言いながらも、ラビィの目は鋭い。
残る二人が、勝機と見て踏み込む。
「終わりだ!」
「――闇兎」
低く呟く。
次の瞬間、ラビィの姿が揺らいだ。
影が分裂し闇が走る。
二筋の黒閃。
ズンッ。
二人のプレイヤーが同時に切り裂かれ、光の粒子へと変わった。
静寂。
粉雪が、ゆっくりと舞う。
「ふう……」
ナイフを払う。
「とりあえず一回、陣営に戻ってみようかな……」
遠くでは、まだ戦闘音が鳴り止まない。
だがラビィは、一度状況を整理するため踵を返した。
――戦いは、まだ始まったばかりだった。
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更新は毎日致しますが、2話更新に変更致します。
平日:7時頃、19時頃の1日2話
土、日、祝:12時頃、20時頃の1日2話
です。
また、前作《月の兎、時代を駆ける~目指すはフルダイブ型MMORPG無双~》はこの作品の過去のお話となっておりますので宜しければ、そちらの方もよろしくお願いします!




