第69話
「こっちに居たぞ!」
遠くから聞こえる戦闘音。
金属がぶつかる音、魔法の炸裂音、誰かの勝利の歓声。
王の帰還イベントは、既に各地で激突を生んでいた。
そんな中。
ラビィが小高い丘を駆け上がったその時――背後から声が飛んだ。
「久しぶりだな。このメンツで集まるの」
振り向いたラビィの視界に入ったのは、見慣れた装備のプレイヤー達が立って居た。
「佐助さん!」
その横には、
ニコっと笑うアース。
ピースをするユイ。
静かな眼差しのヒロ。
そして、聖騎士の様な白い鎧に身を包むクライガーの姿が。
かつてレガリアで幾度も剣を交え、時に共闘し、時に競い合ったライバル達だった。
「みんな!」
ラビィの表情が、自然と綻ぶ。
ユイが勢いよく駆け寄る。
「ラビィちゃん、久しぶり!最近会えなくて寂しいから会いに来ちゃった!」
「ユイちゃん……ありがとう。仕事忙しいのにごめんね」
少し申し訳なさそうに言いながらも、ラビィは嬉しさを隠しきれない。
アースが肩をすくめて笑う。
「さっき話してたんですけど、レジェンズをちゃんとプレイしてるの、僕とラビィさんだけなんだって」
「あはは!みんなそれぞれ忙しいんだよ」
ラビィは戦場を見渡しながら言う。
「でも、このイベントのためにレジェンズ始めた人も少なからずいるみたいだし……嬉しいよ。」
(一プレイヤーとしても、運営側としてもね)
自分が立案した企画。
そこに、こうしてかつての仲間が集まってくれている。
その事実が、胸の奥をじんわりと温める。
クライガーが穏やかに微笑む。
「私もレガリア後半からはゲーム自体離れていましたので……。ラビィさんの力になれるかは不安ですが、遊び半分で来ちゃいました」
「それでも十分だよ」
ラビィは即答した。
「来てくれただけで、もう百点満点」
ヒロが周囲の戦況を確認しながら口を開く。
「じゃあ、そろそろ行きましょうか」
空気が、少し引き締まる。
それぞれが頷く。
かつてのトッププレイヤーたちが、同じ陣営として並び立つ。
歩き出した背中に、ラビィが声をかける。
「佐助さん!すぐ負けちゃダメだよ!」
「やかましいわ!」
即座に返ってくる怒鳴り声。
その隣で、アースがくくっと笑いながら、
まあまあと、なだめる。
戦場の喧騒の中。
ほんの一瞬、レガリア時代の空気が戻ったようだった。
だが。
これはただの同窓会ではない。
陣営の威信をかけた戦い。
そして――
どこかに、ロランもいる。
再会と、戦い。
その両方を抱えたまま、彼女は前を向く。
戦いは、まだ始まったばかりだった。
ここまでお読み下さり本当にありがとうございました。
《ブックマーク》や《評価》を頂けると大変励みになります!
更新は毎日致しますが、2話更新に変更致します。
平日:7時頃、19時頃の1日2話
土、日、祝:12時頃、20時頃の1日2話
です。
また、前作《月の兎、時代を駆ける~目指すはフルダイブ型MMORPG無双~》はこの作品の過去のお話となっておりますので宜しければ、そちらの方もよろしくお願いします!




