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第68話

王の帰還イベント、開幕五分前。


広大な戦場エリアの中央に、二つの陣営が向かい合うように並び立っていた。


片側は――レガリア陣営。

もう片側は――レジェンズ陣営。


重く張り詰めた空気が、イベントエリア全体を包み込んでいる。


その最前列。

レガリア陣営の先頭に、ラビィは立っていた。


炎を纏うナイフを腰に携え、背筋を伸ばし、真っ直ぐ前を見据える。

かつてレガリアで名を馳せた元トッププレイヤー。

今は運営側でありながら、今日は一人のプレイヤーとして、ここに立っている。


対するレジェンズ陣営。

その後方で、ロランはラビィの姿を見つめていた。


(……やっぱりね)

小さく、誰にも聞こえない声で呟く。


彼女がどちらを選ぶか。

答えは分かっていた。


やがて、ラビィが一歩前に出る。


レガリア陣営全体へ、そして正面のレジェンズ陣営へ向けて、声を張り上げた。


「私は……私たちは、負ける気はありません!」

一瞬の静寂。


「全力でかかって来てください!」

その一声が、火種だった。


「おおおっ!!」


「やってやるぞ!!」

レガリア陣営から次々と声が上がり、士気が一気に高まっていく。


その様子を見て、レジェンズ陣営の先頭に、ロランが歩み出た。


「僕たちだって、負ける気は無いよ!」

ロランは振り返り、仲間たちを見る。


「やるからには勝つ!」

そして、少し間を置いてから。


「……そうだろ、みんな!」


だが。

レジェンズ陣営は、一瞬静まり返った。

ざわめきも、歓声もない。


(……やっぱり、僕くらいの実力じゃ……)

ロランは内心で苦笑する。


「大丈夫だよ……ロラン……」

ラビィが呟く。


その時だった。


「……そうだ」

一人の声が上がる。


「勝つぞ!」

それをきっかけに、別の場所から声が続く。


「負けるかよ!」


「ここまで来たんだ!」

小さな声が、次第に重なり合い、広がっていく。


やがてそれは、大きなうねりとなり、レジェンズ陣営全体を包み込んだ。


「勝つぞ!!」

その声の波が、正面のレガリア陣営へとぶつかる。


ロランは驚いたように目を見開き、そして――

遠くに立つラビィへ向けて、ニヤリと笑った。


距離があり、見えているはずもない。


それでも。

ラビィは、まるでそれに応えるかのように、口元を緩める。


(ほらね、大丈夫だったでしょ。勝負だよロラン)


(負けないぞラビィ)


そして。

無情にも、システムの声が戦場に響き渡る。


――――――

イベント《王の帰還》、開幕。

――――――


同時に、戦場全体が動き出した。


各陣営のプレイヤーたちは、一斉に散開していく。


仲間と組む者。

単独で走り出す者。

策略を巡らせる者。


ラビィもまた、レガリア陣営を離れ、駆け出した。


ロランも、レジェンズ陣営から離れ、別の方向へ向かう。


同じ戦場に立ちながら、敵として。


次に刃を交える時、二人は――

笑っていられるのか。


それとも……

戦いは、もう始まっていた。

ここまでお読み下さり本当にありがとうございました。


《ブックマーク》や《評価》を頂けると大変励みになります!


更新は毎日致しますが、2話更新に変更致します。


平日:7時頃、19時頃の1日2話

土、日、祝:12時頃、20時頃の1日2話

です。


また、前作《月の兎、時代を駆ける~目指すはフルダイブ型MMORPG無双~》はこの作品の過去のお話となっておりますので宜しければ、そちらの方もよろしくお願いします!

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